
『嘘』
「うわわぁ」
情けない声をあげたのは1ヶ月ぶりのことであった。
木の上に緑色のヘビが垂れ下がっている。
日本で見る野生のヘビとは全く色彩が違う、鮮やかなグリーンパイソンである。
脱走したであろう個体を眺め、驚かさないよう写真を撮り、警察に連絡した。近くに交番があるようですぐ来てくれるらしい。
「すみません、ご連絡した後藤です」
到着した警察官が見たのはなんとも不思議な光景であった。丁寧に挨拶するサラリーマンと思しき男性の肩に緑色のヘビが乗っており、チロチロと舌を出して周囲の情報収集をしているようだった。
「えっと…?このヘビはあなたの…ではなく?」
「あ!なんか待ってる間に懐かれただけで自分のヘビではないです!迷いヘビですね」
「そうなんですか…あの〜ヘビを肩に乗せたまま交番に来ることできますか?」
「ええ?」
結局、後藤と名乗る男性はヘビを肩に乗せて交番まで歩いたらしい。ヘビはというと少し名残惜しそうに男性の肩から離れ、ちゃんと保護されたようだ。
「うわわぁ」
この情けない声をあげたのはそう、1ヶ月前。
後藤という男が、可愛がっていた緑色のヘビに噛まれた時のこと。