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芋出し画像

曇り時々゚モヌション

    ニッポニア

    他人の倢の話ほど、぀たらないものはない。

    ず、誰が蚀っおたのだろう。
    僕もそう思う。

    思った䞊で、僕の倢の話だ。

    最近、たいにち倢を芋おいる。
    起きた瞬間、ちゃんず芚えおいる倢だ。

    挠然ず、䜕かの倢を芋た話ではない。

    はっきりず芚えおいる、倢の感觊ではなく、確かな蚘憶ずしお。

    人生に、䞀床ぐらいはそんな倢を誰も芋るのだろう。
    それが、たいにち、である。

    倧䞈倫だろうか、ずいう気になる。

    䟋えば、ある日の倢はこんな具合だ。

    僕は旅行に来おいる。団䜓旅行で、船に乗っおいる。船はすでに陞が芋えないぐらい沖に出おいる。倧きな船だ。サヌカス団が乗っおいお、毎日ステヌゞがある。絢爛豪華な船だ。その船に乗っおいるずいう倢。

    フロむトなら、僕の粟神状態を赀裞々に分析しお、したり顔をしおいるのかもしれない。

    そんな意味はない。
    ず、蚀い切れるだけの勇気、芚悟もないから、僕は曖昧にうなづいお、炭酞氎を飲み干した。


    今、被灜地に来おいる。

    僕は地方自治䜓職員であり、僕が属する自治䜓に被灜地から避難所の支揎芁請が来た。
    公募匏で手を挙げたものが優先される、だから手を挙げた。
    特に深い意味はない。

    誰かが、倒れたら、起こせばいい、それだけでいい。
    ずチバさんも歌っおいるじゃないか。


    そう、倢を芋おいたんだ。
    ホテルのある金沢垂から避難所のある䞃尟垂に向かう車の䞭。
    僕はうずうず眠っおいた。

    ずいぶん呑気だず思うかもしれない。
    けれど、車に揺られおいれば眠くなるのは必至だ。

    眠れる時に寝おおくこずは倧切だ。
    なにせ今倜は、これたで経隓したこずのない倜勀だ。

    倜に起きおいるこずが、どれだけ蟛いか知っおるか

    知らない。

    知りたくもない、けれど、吊応なく起きなければならない時もある。

    䜕もしない、けれど、起きおいる。

    様々な事情で家に居られない人がいお、僕は䜕もできないけれど、倜に起きおいるこずは、できるからやる。

    昔、その街の子ども、ずいう映画を芋た。
    これは間違いなく名䜜だからみなさん芋おください。
    森山未䟆ず䜐藀えりこが䌚話しながら倜通し歩く映画だ。
    阪神淡路倧震灜がテヌマの映画で、ほずんど䜕も起きないけれどずおも心が揺さぶられる。

    倜通し歩くこずは、僕にはできない。
    もしするずしたら、家族が怒り出すかもしれない。危険だ、阿呆なのか、ずかなんずか。
    僕は無鉄砲で、竹を割ったような性栌だから、止められるだろう。

    話がずいぶんそれた。

    避難所に着いた。

    建物の裏偎に駐車堎があり、車から降りるず、瞁偎のようなずころでタバコを吞っおいる男性がいた。僕ら支揎員の姿を確認するずすぐに宀内に入っおいった。

    その避難所は昔保育園ずしお䜿われおいお、今は地域の集䌚所ずしお継続䜿甚されおいる建物だった。
    ここに人の避難者が生掻を送っおいるずいう。
    建物には支揎物資で溢れおいた。
    半幎ぐらいは生掻するのに十分な量の食材や日甚品が、決しお広くない集䌚所に詰め蟌たれおいた。

    午埌時、ただ避難者は起きおテレビを芋おいる。
    遠慮がちに僕らは挚拶をした。避難者は誰も䞀様に、匱々しく䌚釈を返しおくれた。

    避難者ではない、䞃尟垂の職員や集䌚所の管理者ず名刺亀換をしおそう掚奚されおいたので、圌らはあたり興味がないように受け取り、これたでにきた支揎員の名刺の束に混ぜた。

    支揎員は䞀週間単䜍で入れ替わっおいく。圌らはもう慣れおしたっおいるのだ。


    最初の倜は長かった。

    緊匵もあり、仮眠を取ろうず思っおもうたく眠れない。

    倜間の支揎員は僕を含め名で、初察面の別の自治䜓の職員だった。
    僕ずその支揎員は少なくずも日間、倜を共に過ごさなければならない。
    仲良くなった方がいいに決たっおいる。
    だから僕はできるだけ話しかけおみた。
    奜きな話題は䜕か、探し続けた。
    圌は、同䞖代で、あたり饒舌に喋る方ではなかった。
    けれど、同じ立堎なのだから、険悪にならないように、その䌚話に付き合っおくれた。

    話も匟たず、ほずんど無蚀で、ストヌブの燃える音がチラチラずきこえる。
    深倜なのに時折、集䌚所に面した道を自動車が通りすぎおいく。
    隙間颚がたたにここたで届く。

    こんなにも倜が長いなんお知らなかった。

    新聞が時に届く、それを指定の䜍眮に動かす。
    僕がやったのは本圓にそれぐらいだった。
    延々ず流れおいるテレビを時々芋぀぀、空が癜んで来るのを埅った。

    朝がくればやるこずがあるのか。
    朝食を䜜るのは、避難した人ず、近所のおばさんだった。

    昔、賄いの仕事をしおいたんだ。
    ずその人は蚀った。

    䜜る料理は確かに料理屋の賄いの味だった。
    簡単に䜜っおいるのに、なぜかうたい。

    四半䞖玀前のこずだけどね、ずいうが、衰えおいない。
    料理する力は衰えないのだ。

    巡り巡っおその人は毎食、自分を含む、呚りの人のために料理をする。

    頌り始めれば、関係が成立し、支えられる偎から支える偎ぞ行き来する。

    家は党壊し、垰る堎所はないけれど、今こうしお料理しおいるその姿は、茝いおいるはずだ。

    異論ないだろ

    初日、支揎員は食料を自分で確保するように、ずおふれが出おいたため、コンビニでおにぎりを買っお持っおいった。

    が、しかし、僕らは朝食のお手䌝いをしお、䜙ったものを食べお、ず蚀われる。

    䜙ったもの、ずいっおも、たくさん䜜っおいるから党郚䜙っおいる。

    残れば次に回されるだけだが、食材はいくらでもある。

    䜜り気力さえあれば無限の可胜性。

    だから、食べ尜くしおも問題ない。

    暖かい、味噌汁ずご飯、その日は麻婆茄子が朝食に出おいた。

    いきなり正解が出た気分だ。

    僕が今回の被灜支揎䞭に食べたものの䞭で最も矎味かったのは、この麻婆茄子になる予感しかしなかった。

    それから迎えにきた日勀組に簡単な匕き継ぎをしお避難所を埌にする。

    昚日は暗くお芋えなかった被害家屋が時々あっお、やはりここは被灜地なんだな、ず、金沢ぞ戻る車に揺られ眠りに぀く寞前に思った。


    睡眠を取らなければ人間は生きおいけない。
    それは知っおる。

    同時に人間はその環境に適応する。

    たずたった睡眠をずるこずができないのなら、隙間睡眠は埐々に凝瞮されおいく。

    ある睡眠は、匹の魚である。

    その小さな魚は倧海で、ずおも匱い存圚である。

    すぐに倩敵に芋぀かり、远い立おられる。
    日々、戊々恐々ずしお、逃げ回っおいる。

    もう匹の睡眠が生たれる。
    か匱き存圚は協力するこずで、その䞖界で生きながらえようずする。
    圓然の遞択だ。

    さらに匹、匹、匹。

    気づけば睡眠は矀れをなし、その胎動を埅ち構えおいる。
    すでにか匱き存圚ではなく、組織ずしお、呚りに圱響を䞎え始めおいる。

    本人はただ、気づいおいない。
    あくたでも個人ずしお、固たっおいるだけである。
    脆く、儚い組織なのである。
    そこにルヌルも習慣もない。

    ある日、赀い睡眠が生たれる。

    圌は他の睡眠ず容姿が違う故、蔑たされ、囃し立おられる。
    その睡眠の名を、スむミヌずいう。

    スむミヌは悩む、僕のように目立っおいおはすぐに食べられおしたう。
    僕は異胜の、出来損ない。
    䜕のために生たれおきたのだろう。

    スむミヌにそっず耳打ちする高霢のフゞツボがいた。
    お前はあの組織の目である。
    お前が率いるのじゃ。

    スむミヌは睡眠の矀れの目ずなる。

    途端に矀れは巚倧な意志をも぀存圚ずなり、倧海を優雅に泳ぎ回る。

    芁するに、僕は倜勀に慣れおいった。
    短時間を睡眠を積み重ねるこずで、長い睡眠ず比范しおも遜色ないように䜓は適甚しおいった。

    避難所ずいっおも、その堎しのぎの集䌚所である。
    人が暮らすこずに特化されお䜜られおいるわけではない。

    人が暮らす䞊で支障あるこずがい぀くもあり、圓然、その党おを解消できるわけもないから、暮らす人が劥協に劥協を重ねお暮らすこずになる。

    䟋えば、トむレは集䌚に来る人が、ちょっず催した時に䜿甚する皋床で想定されおいる。
    毎日数十人が䜿うようなタフな䜜りではない。
    それでも日本の高い技術が快適さを支えおいる

    倧量の排泄を受け入れる䜓制でないトむレが詰たり、やがおトむレを敬遠し、避難者は䜓調を厩しおいく。
    いわゆる負のルヌプに陥りがちだ。

    そう、突然、トむレが䜿えなくなった。
    仕方なく隣の斜蚭のトむレを䜿おう、ずいうこずになる。
    月である。
    今たで、倜䞭に起きお、それでも冷えた集䌚所内を移動し、さらに冷えたトむレに行くだけでも苊痛であった。
    そこにきお、䞀旊極寒に近い倖に出お、隣の斜蚭に入り、そのトむレを䜿う、である。

    みんな奜き奜んでここで暮らしおいるわけではない。
    家が党壊で垰る堎所がないだけである。

    怒号を济びせられおもしょうがないのではないか。

    それでも、穏やかに、そのうち盎るんやなず確認するだけの避難者。

    その境地に僕はい぀か至るだろうか。

    石川を埌にする。

    毎日時間を回、䜕もない郚屋で埅機したこずに比べれば、石川から京郜北郚たでの時間ほどは䞀瞬だった。

    もう日垞に戻っおきた感芚。

    䞍思議な気がした。

    もう、関わるこずはないのだろう。
    あの避難所の、生掻をしおいる人たちずは。

    僕にもう少し、正矩感や、優しさがあっお、継続的に被灜者ず関わろう、などず思ったのなら、関係は継続するのかもしれない。

    けれど、そんな高尚な人物ではない。
    僕は俗物、そのものである。
    すぐに楜な方ぞ、ふらふらず歩いお行っおしたうのだ。

    家に垰れば家族は暖かく僕を迎えおくれるだろう。

    お土産はたくさん買った。
    それを子䟛たちは喜んで受け取るだろう。
    もちろん僕はそれで満足だ。

    僕がいない間、䜕かしら負担をかけおしたったこずは事実だ。

    だからせめお、楜しい気持ちになっおもらいたい、ず僕は思った。

    今回、支揎なのか、芳光なのか、埮劙なずころであった。

    結局、䜕もできなかったず蚀った方が早いかもしれない。

    日間、石川県にいたわけであるが、支揎する偎も環境によっおさたざたである。

    僕のように、倜埅機するだけの支揎もある。

    氎道も電気も通っおいない環境での必死の支揎もある。

    䞎えられた環境䞋で、粟䞀杯のこずをするしかない。

    もう䞀床行くか、ず聞かれたらもちろん行く。

    望むずころだ、ずさえ、思うだろう。

    そうしお日間、僕は被灜者を支揎しお、぀ら぀らず語るのだろう。

    軜薄、ずは思わないが、䜕か違う気がした。

    そう蚀う答えを探しおみんな生きおるんだろ銬鹿者が。


    今回、僕は昌に金沢を歩き回っおいた。
    矎味しい物も食べた。
    芳光地も芋た。

    倜、埅機の際に仮眠をずるこずができるからだ。
    倧倉ありがたい䞀方、もっず求めおもいいのではないか、ず思う。

    僕らはただただやれる、ず。

    そう思っおいるのは僕だけかもしれない。

    倜勀、それ自䜓が慣れおいないから倧倉なんだ。

    そうかもしれない。

    被灜者、それを支える地元垂職員からの蚀葉に救われる。

    あなたがいるから、私たちは倜に䌑むこずができる。
    それたでは亀代で、倜も埅機しおいた。

    おじいちゃん、おばあちゃんは、䞍安なのだ。

    だから決しお無意味だったわけではない、ず思い蟌もう。

    配られたトランプで勝負するっきゃないのさ、それがどんな圹割だろうず。

     
     
     
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