
【父ちゃん365】命と歴史を紡ぐ「おかいこさま」の物語。3年生の担任がAIと作った、命の授業。なぜ「おかいこさま」と呼ばれるのか? 親子で読みたいAI絵本。
現在、私の受け持つ小学校3年生の教室では、絶賛「カイコガ」の幼虫を飼育中です。
ムシャムシャと桑の葉を食べる音、日に日に白く、大きく育っていく姿。 理科の教科書にも登場するカイコですが、その生態や、人間との深い関わりを知れば知るほど、単なる「観察対象」以上の、何か大切なことを子どもたちと一緒に考えたくなってしまうのです。
私は、カイコとは研究というほどではありませんが、ちょこっと関わった体験があります。 自分自身が小3の時に育てた記憶はもちろん、教師になってからもカイコを育てたり、カイコについて深く調べたりする機会が多くありました。一昨年受け持った3年生とも飼育していましたし、昨年度受け持った6年生の歴史の授業では、明治日本が欧米列強と肩を並べるために、養蚕業(シルク)がいかに大きな役割を果たしたかを語りました。
さらに、かつて勤務していた久米島町では、伝統工芸「久米島紬」の継承者の方からお話を伺う機会もありました。教室でカイコを飼いながら、その命が美しい布へと紡がれていく過程を学ぶ。
そんな、私の中に積み重なってきた「おかいこさま」への畏敬の念を詰め込んで、この度、GeminiのGem『父ちゃん365』を使って一冊の絵本を作成しました。
タイトルは、そのまま『おかいこさま』です。
なぜ、カイコに「さま」をつけるのか?
カイコは、野生には存在しない、人間が管理しなければ生きていけない「家畜化された昆虫」です。 その一生をかけて、私たち人間に美しい絹(シルク)を届けてくれる。
理科:昆虫の育ち方、命の不思議
社会:日本の近代化、産業の歴史
伝統:久米島紬などの地域文化
道徳:命をいただくということ、恩を忘れない心
一匹の小さな命から、これだけ多くの学びが枝分かれしていきます。私の浅い知識ではありますが、子どもたちにこの「命のつながり」の尊さを優しく伝えたい。そんな想いで言葉を綴りました。
親子で、教室で、読み聞かせの一冊に
この絵本は、小学生のお子さんがいるご家庭での読み聞かせはもちろん、どなたでもカイコについての理解を優しく深めていただける内容になっています。
「気持ち悪い」と言われがちな幼虫が、実はどれほど健気で、私たちの生活を支えてくれているのか。この絵本を読み終えた時、少しでもカイコを見る目が変わっていたら、これほど嬉しいことはありません。
[▼絵本『おかいこさま』PDFはこちら]
ちなみに、私がAI相棒の『父ちゃん365』に打ち込んだ原文も合わせて載せておきます。AIと一緒に、どうやって想いを形にしていったのか。そのプロセスも楽しんでいただければ幸いです。
物語の設定
蚕(かいこ)のかいくんが主人公。かいくんの主観で物語は展開される。とても可愛いデフォルメされた蚕のイラスト。人の手で育てられ、美しい絹の糸を取るために生き、そして命の終わりを迎えていく。
そんな蚕の一生をたどりながら、かいくんは、いくつかの困難を運良く乗り越えていく。命の尊さと、自然と人間の関わりや歴史をほんの少し追体験できるような没入型ストーリー。
物語の内容
かいくんは養蚕の学習のために、小学校3年生の教室で飼育され始めたたまごの状態から物語は始まる。たまごの中で意識が芽生え、なんとかたまごからはいでた。となりには仲間たちがいた。まだまだ小さな体。大きなみどり色のクワの葉が、空を覆い尽くした。
まだたまごから出られない仲間がいた。出して〜と言っても、ぼくらには助けてやれない。やがてたまごの中から声はしなくなった。
ぼくらは目の前のクワの葉をたっぷり食べた。食べることのほかには何もやることがない。ここにはドッヂボールのボールも、漢字ドリルもない。いつでも給食時間なのさ。
ぼくらは食べた。とにかく食べた。たまにぼくらをのぞく巨人族が、ぼくらをいやそうな目で見てきた。ぼくらはどんな見た目かな? となりのいっこちゃんは、少し白くなってきたお肌に、優しい目をしていて、ぼくにはすてきに見えるけど。ぼくは、もしかしてヘンテコな顔なのかな?
いっこちゃんは言ってくれた。
『あなたは最近、黒かったお肌が白くなってきて、優しい目をしているわ。』
なんだか安心した。ぼくらは一緒なんだ。
じゃあ、あの巨人族はどうして嫌な顔をする?
ぼくらがうんちをするからかな?
あの巨人族はうんちをしないのかな?
ぼくらはどんどん大きくなった。最近世界が狭くなったよねって話すことが多くなった。そんな時、仲間の1人が動かなくなった。なんだか、ぼくらよりも小さくて、細くて、少し水にぬれているみたい。クワの葉の隣の白くてグジュグジュした山に落っこちたってこの前言ってたな。時々巨人族があの山を持ち上げて、新しい山を持ってくるよね。あの山があると、お肌がカピカピにならないですむ。でも、びしょびしょになるのは、とってもきらい。
ある日、とんでもない敵が目の前に現れた。素早い動きで、ぼくらを襲ってきた。ぼくらはゆっくりしか動けないけど、あいつは早かった。あいつはぼくらの仲間を何匹かわからないけど、ぺろっと食べて、また明日来るよって帰っていった。名前はヤモリって言うんだって。ぼくらは運良く、まだここにいる。
ある日、巨人族につままれて、これまでとはちがう部屋に入れられた。前よりもずっとせまい。でも、となりのへやには仲間たちがいることがわかった。いっこちゃんも近くにいるはず。呼んでみたけど、声が返ってこない。もしかしてお昼寝中かな?
ぼくらは最近なんだかお腹のあたりがもじょもじょするねって話してた。そして、どんどん仲間の声がへっていくねって話してた。ついにとなりの仲間の声もしなくなった。
ぼくはお腹のもじょもじょを口からはきだした。なんだかきれいな糸が出た。どんどんどんどん出ていった。ぼくはマズイと思った。だって、お部屋は狭いよ。すぐ動けなくなる。
.........ほら。やっぱりね。ぼくのはきだす糸はもう止まらない。ぼくはぐるぐるまきにされて動けなくなった。くそー。犯人め。あっ、ぼくか。
ぼくは真っ暗な糸の中、なんだかねむたくなってきた。夢の中かな? ぼくの名前を呼ぶ声がした。
仲間たちだ。あっ、いっこちゃんもいる。おーい。おーい。呼んでみたけど、どんどん声が遠くなる。
しばらく経って、ぼくは目が覚めた。なんだか前よりも早く動けそう。でも、なんだか声は出ない。でも、パワーがみなぎるぞ。よし、この糸でぐるぐるされているかべにかじりついてやる。あれ?かじりつけない。ぼく、もしかして口がない?
そっか、みんないっしょの体をしてた。ここからぬけだして、仲間を見つければ、口があるかどうか確かめられそう。よし、みなぎるパワーで脱出作戦★
ようやく顔が外に出た。周りには何もなかった。ただ1人だけヘンテコな見た目をしたやつがいた。モフモフしてそうな足、羽、首周り。あんなモフモフなやつ、どっから来た?と思い下を向くと、自分の足もモフモフしてた。そして、背中にモフモフの羽があることもわかった。
なんだかエネルギーがありあまっていたぼくらは、この時気づいた。大人になったんだって。
頭の中に想いが巡る。ぼくらが生まれたばかりのころのあの小さな命。今度はぼくらが新しい命を産む番にちがいない。目の前の仲間と一生懸命卵を産んだ。たくさん産んだ。数えきれないほど産んだ。
ぼくらは羽があるのに全く飛べなかった。
お腹は空くけど、どうやってクワの葉を食べれば良いのかわからなかった。だって、どうやら口がない。
どんどんエネルギーはなくなってきた。
でも、なんだかあったかい。
そっか、ぼくの命は、このたまごたちにつなげていくからあったかいのか。
ほかの仲間たちは、別の場所で元気にやってるのかな? いっこちゃんも元気かな? いっこちゃんの言葉でぼくはすくわれたんだよ。ありがとうって言えなかったけど。
そんなことを思いながら、ぼくは静かに目を閉じた。
アナザーストーリー*あとがき
いっこちゃんやほかの仲間たちは、自分がはきだした糸でぐるぐる巻きになったあと、そのまま命を終えました。たまごに命をつなぐのではなく、人間たちの美しさを創り出す、絹の糸へと命をつなぎました。
こうして、わたしたち蚕は人間と共に歩んできたのです。人間と共に歴史を紡いできたのです。少し残酷な物語に感じた人もいるかもしれません。
でも、私たちは自然界ではとても弱い存在でした。人間の手に救われたことも事実です。
多くの自然の命の上に、あなたの命があるということ。あなたの豊かさがあるということ。あなたたちの歴史があるということ。
命のつながりをじっくりと、深く深く考える絵本であってほしいなと思い、アナザーストーリーを載せています。
蚕はほとんど成虫にならず、繭のまま熱処理をされ絹の糸となります。それが残酷だという子もいます。でも、決して蚕を育てることに反対という意見を持ち続けないでほしいなと思います。蚕を育てることで、日本は、世界は成長してきました。蚕にとって、養蚕業がなくなってしまうことが絶滅へのカウントダウンなのです。
すごく複雑な気持ちにさせてしまう命のお話だったかと思いますが、小学3年生くらいからだったら、じっくり関われるのかもと思い、作りました。
[▼父ちゃん365 特設サイト]
一匹の「おかいこさま」が紡ぐ、時空を超えた物語。
どうぞ、ご一読いただけると幸いです。
