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ライン随想録 人の行く裏に道あり花の山

    ライン随想録 1996年 井浦幸雄 スイス・バーゼル

    随想録

    「日本ではね、井浦さん、 人と違ったことをしてはいけないのですよ。
    あの人は変わった人だ、というだけで、もうマイナスのレッテルを貼られたことになるのですからね」

    「井浦さん、バブルの時にまわりの人と同じように間違いをしたとしても、ほとんど非難されなかったのですよ。
    人と違ったことをして大きな穴をあけたとき、これは致命的ですね」、
    といった話をよく耳にする。
    日本で長く暮らしたことのある身としては、その言わんとするところはよくわかるし、日本の村社会のおきてがどうであったか、 となりの作業の様子を見ながら農耕にはげんだ昔などもよく理解しているつもりである。

    最近ではこういった考え方に、はてな、と首をかしげることがしだいに多くなってきた。
    グループ、ないし全体との調和をはかることは、それなりに大事だとは思うが、 グループまたは全体が自分の考えからみて明らかにおかしい、 間違っているのではないかと思うことがままあるに違いない。
    バブルの時がそうであったし、たとえば、公害を組織ぐるみで隠したり、周囲の多くの人が、たとえば明らかにインサイダー取引に関与したりするのを目の当たりにしたりすることがあるに違いない。
    そして、 自分の良心では、いけないことだ、 間違っている、と考えているに相違ない。

    こういう時に、多くの人はジレンマに陥ると思う。

    また、そういった白黒がはっきりしている場合だけではなく、会社の業績向上や自分の昇進のために、 法とか社会ルールをやや犠牲にしなければならない場面もあるかもしれない。
    上の人もそれがわかっていて、 強制するわけではないが、暗に期待するような言動が見えかくれするということもあるかもしれない。
    自分のバックグラウンドが十分に昇進を保証するものではなく、若干のリスクを冒さねばと考えている人は、目をつぶって先へ進むということになるのかもしれない。 バブルのころには、おかしい、おかしいと思いながらも、他の人々と同調した人も多かったかもしれない。

    しかし、きれいごとかもしれないが、 自分の信条、 考え方とは決して相いれないような道を選択させられるくらいならば、 より低い生活水準でも受け入れるよう家族も含め日頃から覚悟しておくのが正解であるように思えてならない。

    そういったむつかしい話でなくとも、皆とおなじように行動すると不利益になるようなことが過密日本ではまま多くあると思う。
    盆暮れの帰省ラッシュ、ゴールデンウィークの観光地の混雑がそれである。
    当然、正月には懐かしい故郷の同窓会もあるかもしれないし、みなが集まることに意味があることも承知している。
    また、 子供の学校の都合もあるかもしれない。

    しかし、すべてを考慮に入れても、三年に一度位は集中をさける才覚を発揮するのはそう困難ではあるまい。
    最近、 年末年始の混雑がしだいに緩和されてきていると聞いているし、また混雑する連休の時をはずして、割安料金の海外旅行を選ぶ人が増えていると聞く。

    すでに、多くの人が、人の行く裏に花の山があることに気づき始めたのかもしれない。

    老齢プログラマの所感

    周りに合わせるか、自分が思うところに行くか、考える場面はありますね。
    現役時代はこんなことを考えることもあったなと思い出します。

    今も現役ですが、退職金もなくいつでもやめられる立場なんだと思うと、周りより自分の思うことが優先になります。
    周りに迷惑を掛けたくない、退職金を不意にするようなことをしてはいけないと思うことが縛りだったんだなーと思うことがあります。
    この縛りから解かれることが老人の力になるんだなと思います。


    補足

    この記事は1997年頃の「ライン随想録(井浦幸雄さん)」の復刻版です。
    当時、私の故郷の「おふくろの味」を井浦さんがWebに載せて下さった。
    この記事は住職の息子によって今も公開されています。
    しかし、井浦さんの「ライン随想録」は今やどこにも見当たりません。
    それで、当時お世話になったことを思い出し、復刻することにしました。


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    1970よりIT技術者として就職、仕事でITとバイオと中国の激変を経験。現在AIには嵌ってる。IT企業に再就職するも最前線を体験したく現役に留まっている。去年が喜寿。経験したIT技術、バイオ、中国と老後についてブログを書きます。ビットコインに詳しい。

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