見出し画像

第52回 たどりついた場所2/3 目標は何ですか」と聞かれて――とっさに出た「エージェント」ということば

先日の勉強会でのことだ。
ひととおり終わって、雑談になったころ、一人がふと、こう聞いてきた。

「結局、これ、目標は何なんですか」

用意していた答えではなかった。
とっさに、こう答えた。

「エージェントです。手下とか、召使とか、そういう意味の言葉です。
毎日やるべきことを、少しずつエージェントに任せていくんです」

自分でも、なぜそう答えたのか、あとになって考え込んだ。
今日は、そのときのやり取りを、そのまま書く。


VocaLot、見合わせることにした

前回、こえメモ・tabikiroku・VocaLotの棚卸しを書いた。
あれを発行してすぐ、大きな進展があった。

一年半ぶりに、友人の邱さんご夫妻と、一歳になったばかりの息子さんに会った。
ご主人は、日本のゲーム会社で営業をしている人だ。
せっかくの機会なので、VocaLotのことを、じっくり話す時間をもらった。

結論から書く。
VocaLotは、これ以上の開発を見合わせることにした。
こえメモに、集中する。

理由は、こうだ。

アプリに必要なのは、「誰のために」「何を」「どうやって」作るか、の三つだ。
ただ、AIが進化したことで、「どうやって作るか」の重みは、もうほとんどなくなった。
残るのは、「誰のために」「何を」だ。

VocaLotの場合、実際に使って欲しい中国語の先生に、AIそのものへの強い拒否感があった。
だから、使ってみての困りごとを、一緒に見つけてもらうことができない。
「誰のために」という土台が、そこで崩れていた。

Preplyという、語学の先生を探せるサイトも紹介してもらった。
でも、わざわざ使ってくれる人を探しに行ってまで、開発を続けるものでもない、と思った。
使う人が見つかるまでは、いったん、やめておく。

一方、こえメモは違う。
友人のSさんが、できの悪いところも含めて、実際に使い、試してくれる。
うまく使えるようになれば、ほかの目の不自由な人たちにも、声をかけてくれる。
これ以上ない環境だ。

tabikirokuは、私自身が使う人だ。
困りごとが解決して、使えるようになれば、また進める可能性がある。

まとめると、こうなる。
作ることの難しさは、AIが引き受けてくれるようになった。
これから先、いちばん大事なのは、「使ってくれる人が、本当にいるかどうか」。
それを、いちばんの物差しにする。
それが、邱さんご夫妻との話し合いで、はっきり決まったことだった。

「結局、目標は何ですか」

勉強会も回を重ね、参加者はスマホでAIと話せるようになってくるだろう。
ゲームを作り、孫のためのドリルを作った人もいるかもしれない。

最初の勉強会で出た質問だった。
「勉強会を続けて、最後にどこへ行くんですか」。
まっすぐな問いだった。

とっさに出た「エージェント」ということば

考える間もなく、口から出た。

「エージェントです。
日本語で言えば、手下、部下、家来です。
毎日の生活で必要なエージェントを、少しずつ増やしていきたいんです」

自分で言って、少し驚いた。
準備していた答えではない。
ただ、続けて、こう説明していた。

「エージェントというのは、手下とか、部下とか、家来のような意味の言葉です。
毎日やらなきゃいけないことの中で、必要なものだけを、少しずつ任せていくんです。
今日は一つ、来月はもう一つ、というふうに」

「家来」「部下」と聞いて、皆が腑に落ちた

不思議なことが起きた。
「エージェント」という言葉そのものには、皆、ぴんと来ていなかった。
ところが、「手下」「部下」「家来」と言い換えたとたん、何人もが、うなずいた。

考えてみれば、当然だった。
この場にいる人たちは、時代劇や歴史の本で、
「家来に、あれをやらせる、これをやらせる」という話には、慣れ親しんでいる。
「エージェント」という横文字は初耳でも、
「言いつけた仕事を、少しずつ増やしていく」という中身は、
誰にとっても、初めての話ではなかった。

NECの話が、その場で飛び出した

すると、一人が言った。

「そういえば、NECがエージェントだけの部署を作ったって、ニュースで見たな」

別の一人が続けた。

「うちの息子も、会社でエージェントがどうのこうのと言ってたよ」

正直、驚いた。
世の中の会社が、まさに今、「エージェント」という言葉を使い始めていることを、この場にいる誰もが、それぞれの形で、すでに耳にしていた。

「これからはエージェントの時代だ」という声

雑談は、そのまま盛り上がった。
「そう言えば、ジェームスボンドもエージェントと呼ばれていたね」
「あれは国家のエージェントという意味だね」

「じゃあ、これからはエージェントの時代になるんだね」
「うちらも、その練習をしてるってことか」

誰かが、冗談交じりにそう言うと、笑いが起きた。
ただ、その笑いの中に、「なるほど、自分たちがやっていることには、ちゃんと先がある」という、納得の空気が、確かにあった。

なぜ、この答えが伝わったのか

あとになって、考えた。
なぜ、「エージェント」という、聞き慣れない言葉が、あの場ですんなり伝わったのか。

技術の説明をしたわけではない。
ただ、「家来に、少しずつ仕事を言いつける」という、誰もが知っている形に、置き換えただけだった。

新しい言葉を、新しいまま説明しようとすると、身構えられる。
でも、すでに知っている形に置き換えれば、年齢に関係なく、すっと入っていく。
この日、それを、身をもって教わった気がする。

知っておいていただきたいこと

  • アプリ作りで、いちばん大事なのは「作る腕前」ではなく、「使ってくれる人が、本当にいるかどうか」です。使う人が見つからないなら、いったん手を止めてよいのです。

  • エージェントは、勝手に何でもやる魔法の存在ではありません。「これをやってほしい」と、こちらが言いつけた範囲でしか動きません。

  • 家来や召使と同じで、最初は簡単なことを一つだけ、様子を見ながら任せるのが安心です。

  • 大事なこと(お金のやり取り、パスワード、家族の重要な連絡など)は、最後は必ず自分の目で確かめてください。エージェントに丸投げするものではありません。

次回予告

次回以降、「学習ドリルのあとは、実際にエージェントを、どう始めればいいのか」を、具体的に書く。
実は、この連載でこれまで作ってきたアプリの中にも、その最初の一歩は、もう隠れている。


#AI #スマホ #iPhone活用術 #初めてのAI #高齢者向けAI #シニアのAI入門 #シニア #AIの安全な使い方 #Gemini #Claude #ChatGPT #deepseek

いいなと思ったら応援しよう!

喜寿超えプログラマ🎈 よろしければサポートお願いします! いただいたサポートは全て『「思い出の場所」の記事とGoogle地図を関連付けるWeb地図アプリ』のLancersでのプログラミングの外注に使わせていただきます。 よろしくお願いします。