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森の宇宙人

木の隙間がギラリと光った。

UFOの欠片に、宇宙人がひとり。

オロオロしながら凄い勢いで走り回るものだから、驚きを通り越して思わず見惚れてしまっていた。

宇宙人がピタリととまる。

ウネウネとした6本の腕を、右に左に伸縮させて、一生懸命何かを伝えようとしている。

写真を撮ろうとスマホを掲げたら、ウネウネに潰されて燃やされた。

・・・こいつはヤバい。

面白がっている場合ではない。僕は宇宙人を見放して、トンズラしようと走り出した。

・・・ウネウネに捕まった。

お父さん、お母さん、今までありがとう。
僕は宇宙人に捕まってしまいました。
サヨウナラ。

観念してうな垂れる。

宇宙人のウネウネが解けた。

僕はまだ、うな垂れている。

宇宙人のウネウネがつついてきた。

思い切り倒れる。

死んだふり。

森のくまさんには効果がないが、宇宙人には効果的かもしれないじゃないか。

宇宙人がつついてくる。

死んだふり。

裏返される。

死んだふり。

「あ!美人だ!」

「えっ!?」
起きてしまった。

目の前には宇宙人だけ。

・・・お前、喋れるのかよ。

「UFO直したい。ガムテープ買ってきて。」

喋った。鮮やかな日本語。しかもガムテープ。庶民的な宇宙人である。

「・・・わかったよ。じゃあ、バイト代10万円な。」

「おカネない。ほかのものあげる。」

「じゃあ、月の石とかある?」

「あるよ。はい、どうぞ。」

石ころをひとつ。まぁ、月の石と言われれば月の石のようだ。

「あと、火星の土も欲しい。」

「あるよ。はい、どうぞ。」

土くれがひと山。ちょっと火星っぽいかもしれない。

「じゃあ、ガムテープ買ってくるわ。」

チャリで5分。往復10分。値段は100円。

「はい、ガムテープ。」

「ありがとう。」

宇宙人には瞼がないから、表情は分からない。だが、そこはかとなく嬉しそうで、僕もあたたかい気持ちになった。

宇宙人がガムテープを丸呑みした。

ウネウネが大きく広がっていき、妙な粘液が出始める。ガムテープは、巻くものでは無かった。宇宙規模での想定外だ。

UFOが粘液で繋がっていく。宇宙人が乗り込み、ふわりと浮いた。

ひゅん!

一瞬で見えなくなる。

僕は夢を見ていたのかもしれない。

そう思いつつ、石と土くれを大学に持っていった。ウネウネがちょっとずつ付いている。ヌメヌメとして気持ち悪いが、ちょうど卒論のネタに困っていたから、嘘でもなんでも構わなかった。

僕がテキトーに解析していると、教授たちが目の色を変えて寄ってきた。月の石。火星の土。それ以上に、この気持ち悪いヌメヌメに。

そして一年後。

僕は卒論で、ノーベル化学賞を取った。

Fin.


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