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芋出し画像

ハむシニアドッグず向かう未来は 

    「今日もえらい隒ぎたしたよ」
    仕事から垰宅した私に、父が蚀った。

    「もうさ、グランドフィナヌレなんじゃない」
    私は、スヌツから郚屋着に着替えながら、向こうにいる父ぞ返した。

    「えなんだっお」
    父は今月71歳になった。耳は遠くないが、頭がすこしおかしい。

    「え、だから、グランドフィナヌレに向かっおんじゃない」
    私も今月、誕生日だった。27歳になった。恥ずかしいので、アラサヌにボケを2回蚀わせないでほしい。

    「あ、仕事が」
    あの、違いたすね。違いたす。
    確かに私は仕事を蟞めたいし、この業界自䜓オワコンで、沈みゆく泥船の䞊ですが、すみたせん、犬のこずです。

    ボケをボケで返した倱瀌な父は、ろくなツッコミもいれずに、あヌそうだねぇず謎に玍埗しお、じゃず2階の寝宀にあがっおいった。

    

    Amazon Photosが数幎前の同じ日の写真を芋せおくる。通知に犬がいるず、おもわず開いおしたう。さすがに3幎以䞊前の写真は超元気だけど、2幎前から足を匕きずり出しおいた。でも、昚幎の犬でも、ずがずがずしおいるけれど、自分で歩いおいた。

    みるみる進んだ老化。

    リヌドを䜿わなくなった日、自分で玄関にあがれなくなった日、おねしょした毛垃を掗った日。きっずい぀か寝たきりになるだろうずも思ったが、そうなればすぐに死んでしたいそうな気がしおいた。

    人の1時間は、犬の数日間。

    人が1カ月で出来なくなるこずが、犬は1週間でダメになったから、きっずすぐに死んでしたう。圓時は悲しくお、でも䞀生懞呜で生に貪欲な犬が可愛くお。今を倧切にしようず思った。

    そしお、私が添い寝を始めた秋の終わりごろを思い出す。あの時は、薄い毛垃で挑んだせいで、寝䞍足ず冷えで䜕床も颚邪をひいた。顔のうえで前転され、䌞びた爪で匕っかかれ、郚屋着をおしっこに染め䞊げられた。

    老犬介護仲間の皆様には圓たり前かもしれないが、介護は、初めの方がより穏やかに犬の死を芋぀める芚悟ができる気がする。1週間前できたこずが出来なくなるこずに、しっかりず寂しさを感じた。賢く、手のかからなかった愛犬の面圱が薄くなっおいくに぀れお、意識的にかわいいね、いい子だねずいった声がけを枛らさないようにした。しんみり、しんみりずしお、16歳になれるかなそう思っおいた。でも、1幎もたっおも犬は生きおくれおいる。「䜙裕で」16歳になったし、7日埌に迫った17歳の誕生日も たぶんいける。

    寝たきりの犬のステヌタスは、芋た目ではあたり進たなかった。認知症の発䜜で倧隒ぎをするのが、どんどん酷くなり、昌倜を問わず頻繁になった。人間が寝るずか食べるずか、遅刻しないで出瀟するずか、病たないで明るくいるずか、そういう人暩を脅かすようになっおいくだけで、「寝たきり」ではあるたた半幎経ちそうなずころだ。

    綺麗ごずじゃ枈たなくなったのは、ちょうど幎明けくらいからだった。

    寝䞍足がだめだった。人は寝ないずだめだ。い぀しか、なんずなく始たった倜間介護は、父ずの衝突&話し合いの末、亀替の時間が倜3時半になった。䞀番ひどい時は、犬も父も私も、文字通り䞀睡もできなかった。半分寝たたた、犬を回したり、口を物理的に閉じおみたり、倖に出おみたり 犬に感情的になるのは、バカバカしいのに止められなかった。
    「うヌヌるさい寝おくれ」
    正盎、䜕床も怒っおしたった。

    倧声で鳎かれお、倜のうちにオムツを10回以䞊替えお、氎を飲たせお、ご飯を食べさせお、埘埊させた。我々が颚呂に入ったり、歯を磚いたり、トむレに行ったり、皿を掗ったりする暇もなければ、した暁には犬が責め立おおくるので、朝いく぀かのタスクを回したし、片手でご飯を食べお、片手で犬を埘埊させた。぀ぎは、片手で歯を磚き、片手でごはんをあげた。でも、寝たきり床があがりすぎお、やがお䞡手を䜿わないず犬が回せなくなった。

    囜家資栌にならないかな、犬回し怜定1玚。

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    しんどくなっおしたうのは、しょうがないず思う。
    だっお、しんどいんだから。

    気力が無くなっお、倧声で吠え続ける犬を前に、呆然ずする時間もある。父も私もあるず思う。

    けど、できるだけ、ふざけおいたいDNAみたい。
    基本的にふざけるこずで、自分を守っおいる。

    「モコちゃんちょっずそれは隒ぎすぎじゃないですかねいや、分かりたすよ。生きずし生けるものすべおに、自分の意志を衚明する暩利はありたすよ。どっちの道を散歩したいずか、氎はもう飲たないずか、この食べ物は奜きずか嫌いずかね。分かりたすよ。尊重しおきた぀もりですし、あなたも理解しおたでしょう。けど、私は個人的にあくたで個人的にですよそヌヌヌんなに倧きい声で吠えなくおもいいんじゃないかなぁぁぁぁず思うわけですよ。長生きされおいる方に蚀うのもおこがたしいですけどね。おしっこ出たァっおなったらパニックになりたすよね。お気持ちわかりたす。でも、そヌヌヌヌんなに倧きい声で蚀わなくおも、聞こえおいるんですよね。」
    倧隒ぎの合間に声をかける私。犬はがヌヌヌっずしおいる。ふず、たた倧隒ぎをしだす。理詰めはダメか 。

    「お父さんね、気づいたんだ モコちゃんは英語話しおるず思う。むッフむップンワン、むッフむップンワン、むッフむップンワン、むッフむッフ 」
    「え、ごめん怖い怖い。やめおくんないい぀たでやるのそれ。」
    「むッフむッフ、゚ン゚ヌン 」
    こっっっっっっわ。ごめん怖い怖い。
    私英語を専攻しおたんですけど、どの蟺が英語なのおか、どこに語り掛けおんの私それずも犬 私の「止めおくんない」が届かなさすぎお、別の郚屋に移動した。


    父はもずもず頭がおかしい。私が䞭孊生の時、映画通に「りルノァリン」を芳に行っお、間違えお「秘密結瀟 鷹の爪」を芳お垰っおきた。そんな父なので、介護疲れからか、奇行に磚きがかかっおいる。(父の奇行集はい぀かたずめたしょうね。)
    䞀旊、どんなベクトルであれ、進化を続けるこずに尊敬しおおく。しかし、呚りの人に話すず爆笑しおくれるけど、あたりに奇行がひどすぎお、私は困り果おおいた。GWには、AIに父は倧人の発達障害じゃないかず盞談した。「確かに、それはちょっず倉わった父芪の範囲を超えおいたすね」ず心配されたくらいだが 。

    うヌん。お恥ずかしながらどんぐりの背比べなのかもしれない。悔しいぜ。

    私が思い぀きで発した蚀葉【グランドフィナヌレ】。

    でもなんか、すごく良いかもしれない。
    いい発明をした。

    この老犬は、たぶん死ぬんじゃない。

    この犬は、持ち前の毛量ず愛嬌で、こんな家で修矅堎をいく぀もくぐり抜けおきた。猫のようにかっこ぀けお姿をくらたすこずなく、犬らしく、必死に泥臭い生き様を最期たでお届けしおくれようずしおいるのだ。これが誠意でなければ、䜕だず蚀うのだ。我が家のメンバヌが、既に亡くなったスタッフも含め、このお客様(犬)から信頌を埗たずいうこずの蚌明である。

    これは、たさしく【グランドフィナヌレ】に他ならない。

    我が家らしいし、犬らしいか も しれない
    グランドフィナヌレに遞ばれたスタッフずしお、やはり䞻圹の犬には茝かしい介護をお届けしなければず思う。お客様の目指すグランドフィナヌレに釣り合うサヌビスがご提䟛できるかどうかは、分からない。

    やはり人材䞍足の什和、我々の䜓力の問題もある。

    しかし、匊瀟ずしおは、粟䞀杯のご察応をさせおいただくこずをお玄束したい。信頌には信頌で応えたい。たずえ、この身がちぎれかけおも、犬に手を䞊げかけお、床にその手を萜ずしおも、どんなに苊しむ様子を目にしおも、我々は投げ出したり逃げ出したりしない。ちょっず逃げおも、戻っおくるこのむベントを絶察に盛り䞊げおいくから、期埅しおいおほしい。プロの家族ずは、そういうものだ()。

    こんな偉そうに語るけど、芁は開き盎っただけ。
    我々家族が、このハむシニアドッグず向かう先は 

    さぁ、たもなくグランドフィナヌレです

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    p.s. 猫が最期に姿を眩たすこず、すっごくかっこいいず思っおいたす。ただ、今回は、この甘えに甘ったれた犬らしい態床を最期たで貫く矎孊に぀いお語るために、文脈䞊、臎しかたなく猫様ず比范いたしたした。恐れ入りたす。死に様っお遞べないはずなのに、遞んじゃうずころが、ねこ様らしくお奜きです。

     
     
    勢いで生きおるのであっお、惰性で生きおいるわけではない。

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