旅先での一人飯
先日。
大阪でライブを行った。
実はこの日、KONGは珍しく前乗りでメンバーより一足先に大阪にINしていた。
一人で過ごす大阪の夜。
少しの寂しさもあるが、KONGの心は確実に踊っていた。
頭の中には『たこ焼き』の文字が浮かんでいる。
『たこ焼き』と『ハイボール』。
ソースの味と鰹節と青海苔の風味。
熱々を頬張り、口の中をハイボールで冷ます。
嗚呼。
『待っていてくれ、大阪の夜。』
この時のKONGは、もう完全にグルメ番組の主人公である。
そう思いながら、KONGは手配してもらっていたホテルに到着。
するとどうだろう。
放たれた先は、とても静かなビル街だった。

賑やかな街の大阪を勝手に想像していたKONGに対して、大阪がKONGに用意していた街には大きな差があった。
街の声が聞こえる。
『たこ焼き屋はございません。』
『ここはオフィス街です。』
……そんな気がした。
食を楽しむために旅行をする人も多い。
『コレを食べる!!』
と決めていた胃袋を、急きょメニュー変更から100点に持っていくのは非常に難しい。
カレーの口なのに蕎麦を勧められるくらい難しい。
(チラリ)
時計を確認する。
【22:15】
近所のスーパーもほとんど閉店している状況。
夜とはいえ、汗が滝のように流れてくる。
身体の水分だけは大阪観光を満喫していた。
『……やってしまった。』
情報社会と言われるこの時代で、前もって宿泊ホテルの周辺を調べていなかった時点でKONGの負けは確定していたのだ。
スマホの充電は無駄に90%あるのに情報量は0%。
心を躍らせるだけで、
現地のことを知らないのは、
夏後半のクラゲが大量発生している海に飛び込んだ幼少期で痛いほど学んだはずだろうに。
しかし、せっかくの大阪の夜。
魔法の言葉。
『とりあえずビール』
が言いたい。
KONGは街を歩きながら、一つのお店を見つける。

『この出会いは、偶然じゃない。』
大阪で店で一人飲み。
憧れの"孤独のグルメ"のようなシーンを思い描く。
行けるか?
今日のKONGはいつもと違う気がする。
足取りはスイスイとお店の方向へ進んでいく。
(チラリ)
お店の入口付近で男女たちが楽しそうに会計を行っている。
『コレが"コンパ"というやつなのか?』
なんとも眩しい光景である。
このお方達の間をすり抜けて、
汗だくのおじさんが突入するのは、レンタルショップで2泊3日か7泊8日を迫られた時に、
『4泊5日で。』
とお願いするぐらいKONGにとって難易度が高い。
一歩。
また一歩。
……いや、無理だ。
チラ見したまま足は止まらず、
気付けばKONGは"あなたと、コンビに、ファミリーマート"へ吸い込まれていた。
暑い外から、
『どうぞ、ゆっくりして商品を選んでください。』
と優しく言われているような気持ちになる涼しい店内。
その優しさに甘え、約10分間店内を3周ほど悩む。
そして、夕食が決まった。

店員さんが温めてくれた"炭火焼き鶏ハラミ"は、KONGの持参したウイスキーによく合う。
「……うまい。」
想像以上にうまい。
この瞬間のために、たくさん汗をかきながら街を歩いたのだろう。
そう思えば、すべて伏線だった気さえする。
普段コンビニで夕食を買うことが滅多にないKONGは、この出会いを純粋に喜んだ。
しかも、この味はどこにいても味わうことができるのだ。
『今夜何たべようかなぁ?』
"炭火焼き鶏ハラミ"があるじゃないか。
『え?!今日誕生日パーティーするの?!』
"炭火焼き鶏ハラミ"があるじゃないか。
『クリスマスにチキンが食べたいなぁ。』
"炭火焼き鶏ハラミ"があるじゃないか。
組み合わせは無限大。
東京だったら買う機会がなかった。
大阪だったからこそ、出会うことができたのだ。
思い通りにならないからこそ、思いがけない出会いがある。
この日、たこ焼きは食べられなかった。
でも、大阪で食べたコンビニの炭火焼き鶏ハラミは、きっとこれから先も忘れない味になる。
遠回りしたから出会えた夜だった。
1人外食が苦手なKONG。
苦手なことがあったら逃げてもいい。
ただ、
「逃げるなら前に逃げる。」
今日もKONGは、そんなことを思いながら元気に生きている。
それでは!!
また!
