コングのグルメ〜第11話〜
春は夜桜。
夏には星。
秋には満月。
冬には雪。
それで十分酒は美味い。
それでも不味いなら
それは自分自身の何かが病んでる証拠だ。
(byるろうに剣心 比古清十郎)
うむ。
確かにその通りだ。
カッコいい。
たまらなくカッコいい。
KONGはこのままだと
春は蒲焼さん太郎。
夏はカルパス。
秋もカルパス。
冬なら蒲焼さん太郎。
それで十分酒は美味い。
と、風流を楽しむ気配が全く無いまま歳を重ねてしまう。
今宵も"蒲焼さん太郎"で晩酌をするのも悪くはないが、たまには憧れの男に近づく為の行動をしたっていいじゃないか。
「春は夜桜か…」
夜桜。
サクラ。
(ガタン!)
KONGは"飛天御剣流"とは程遠い無駄な動き多めで立ち上がり、調味料などをまとめている棚をガサゴソする。
「やはり…ない…」
自宅で滅多に使わない調味料や乾物は、使い切った後にしっかり補充する事はあまりない。
「今日は…アレがなければ…」
(ガサゴソ…ガサゴソ…)
KONGは必死に探す。
「最後に使ったのイツだ…??」
それほどまで記憶が薄れている乾物だとしたら、たとえ見つかっても賞味期限はおそらく切れているだろう。
ありそうで無さそう…
無さそうでありそう…
料理をする家庭にも、
ありそうで無さそう…
無さそうでありそう…
その名も
【サクラエビ】
数分間のサルベージは虚しく、KONGは【サクラエビ】を求めて町に繰り出すのであった。
町を歩きながら【サクラエビ】を使った夕食を考える。
「うーん。」
サラダの上に"パラパラ"かける…。
薄いピザ生地にチーズと【サクラエビ】を乗せて最後に刻み海苔と雑魚をかける…。
「悩む…。」
どれも美味そうだ。
顎に手を置きコナンくんスタイルで歩いていると、チラリと目に入る近所の蕎麦屋。

「…おぉ…蕎麦か。」
思えば『蕎麦屋』でお酒を飲んだ事は一度もない。
小さい頃、蕎麦屋で【天ぷら】を食べながらお酒を飲み、KONGが全部食べ終わる絶妙なタイミングで蕎麦を注文していた祖父を思い出す。
もう何十年も前の話だ。
「天ぷら…いいなぁ…。」
『かき揚げ』が頭をよぎるが
"玉ねぎNO thank you"なKONGはサクラエビを使った『かき揚げ』以外の答えが出ないまま、コナンくんスタイルでスーパーマーケットをウロウロする。
しかし、店内を一周し終えた買い物カゴを見てみても"蒲焼さん太郎"と"サクラエビ"しか入っていない。
それにしても…
「赤いなぁ…」
いっその事"蒲焼さん太郎"で一品作ろうとかと思いながらチルドコーナーに足を運ぶと、ある商品が目に飛び込む。
(ピキーン!!!)
「これは…」
蒲焼さん太郎が"タラのすり身"をベースにしているのであれば"魚のすり身"仲間として【竹輪】を採用すればいいではないか!!
「なんやて!!」
コナンくんモードが功を奏したのか、『服部』が忍者の『ハットリくん』にバトンタッチされ、忍犬『獅子丸』の如く【竹輪】を手に取り、鼻歌まじりで会計を済ませたKONGは帰るのだった。
家に着くと早速調理にとりかかる。
【天ぷら粉】に【サクラエビ】を混ぜて【竹輪】の中に【チーズ】を入れて揚げる。

ついでに、
冷蔵庫にある【蒲鉾】を横半分に切れ目を入れを【しそ】を挟み

【青海苔】を混ぜた【天ぷら粉】にぶち込み丸ごと揚げる。

"パチパチ"と食欲をそそる音を立てる【天ぷら】は、たまに"パチン"とKONGに攻撃を仕掛けてくる。

「よせやい!!」
恐怖を取り除く為、KONGも戦闘体制に入る。
(プシュ!)

KONGは跳ねる油への抵抗力が20上がった。
【天ぷら】をひっくり返す判断力が30下がった。
おかげで少し焦げてしまったが気にしない。
後は皿に盛り、わさび塩で食べる。

(サクッ)
「これは…うまい。」
揚げ物は揚げたてが美味しい。
【竹輪】と【チーズ】の相性が良いのは知っているが、【サクラエビ】が良い仕事している。
「天ぷらにして正解だった。」
ありがとう、サクラエビ。
目を閉じて、夜桜を想像する。
何度やっても、
『名探偵コナン 迷宮の十字路』
しか想像できない。
でも、いいのだ。
口の中では【サクラエビ】の風味が満開になり、
春の夜を楽しむ事が出来たのだから。

それでは!
また!
