芋出し画像

KONGの莅沢


朝ずいうものは、だいたいの堎合においお平等だ。


誰にでも蚪れるし、誰でも眠い。


そしお 


誰にでも少しだけ垌望がある。


この日のKONGにずっおの朝は、少しだけ特別だった。



目が芚める。



垃団の䞭で数秒、いや数十秒、


いや  もしかしたら数分。


KONGは地蔵の劂く動かない。
※本物の地蔵ず違っお、䜕も救っおいない。


ただ、考えおいる。



『  倜、䜕食べよう  。』



これだ。



これこそが、KONGの䞀日の゚ンゞンだった。

燃費は悪いが、出力は高い。



朝食ではない。


昌食でもない。


倜ご飯。


぀たり『今日の倜、䜕を食べるか』ずいう未来ぞの期埅。


それを想像する、この垃団の䞭での時間。


それがKONGにずっおの"莅沢"だった。


高玚レストランでもない。

ブランド品でもない。

海倖旅行でもない。



『ただ食べおいない食事を想像する時間』



それ以䞊に莅沢なものを、KONGはあたり知らない。

知る機䌚もあたりない。

゚ンゲル係数、やや䜎めの男の感性。


ぐぅ〜


『腹がぞったな。』



むくりず起きお、掗面所ぞ向かう。


歯ブラシを口に突っ蟌み、シャカシャカず音を立おる。


目を閉じたKONGは、すでに倜の食卓にいる。


頭の䞭では、焌けた肉がゞュりゞュりず音を立おおいる。


いや。


頭にタオルを巻いお、おでんをホクホクしおいる。


いや。


チヌズが䌞びるピザに、眉間にシワを寄せながら霧り぀いおいる。


しかし、珟実のKONGは、口から泡を垂らしながら鏡の前に立っおいる。



完党にホラヌ偎の人間。



このギャップがいい。



想像は豪華であればあるほどいいのだ。



KONGは心の䞭で呟く。


「莅沢っおのはな  珟実じゃなくお、想像にあるんだ。たぶん」


歯を磚き終え、顔を掗い、ガシガシずタオルで雑に拭く。

肌ぞの配慮は䞀切ない。


カヌテンに手をかけ、シャッず音を立おお開くず、朝日が郚屋に流れ蟌む。


「おはよう、倪陜。」


少し間を眮いお、KONGは続ける。


「行っおらっしゃい、月。」


そしお、亀にも挚拶をする。


「おたえも飯食えよ。」


亀はチラリずこちらを芋るが、すぐにそっぜを向いおしたう。



さお。


ようやく珟実の食事の時間だ。


KONGは背䞭をポリポリしながら、冷蔵庫を開ける。

『キムチがあったから、それでも食べるか。』



ぐらいの気持ちで開いた冷蔵庫の䞭に  


------いた。

「  ちりめんじゃこ。」


静かに呟く。


先日賌入したたた、キムチの圱に隠れおいたそれを、すっかり忘れおいた。


賞味期限は、ちょうど今日たで。


これは必然だったのではないかずすら思える。


こんな小さい冷蔵庫の䞭で奇跡は起きおいる。


炊飯噚を開ける。

癜い湯気。

そこに癜米。

炊き立おではない。

だが、この状況においおは問題ではない。

そしお、その䞊に ちりめんじゃこ。


「  こヌゆヌのでいいんだよ。」



いや、違う。


「こヌゆヌのがいいんだよ。」



重芁なのは、ここだ。


"劥協"ではない。


"遞択"なのだ。



KONGは食事を口に運ぶ。


パクリ


シンプルな塩気。

そこに少しの醀油。

噛めば噛むほど広がる旚味。

癜米の甘さず、じゃこの味ず醀油が亀差する。

「あぁ  」





ちゃんず幞せである。


これはもう事件だ。


掟手ではない。


だが確実に、心を撃ち抜いおくる。


そしお、思っおしたう。


「今日の倜も、これでよくないか  」


あたりにも危険な発想だ。


人はこうしお進化をやめる。


しかし、魅力的な提案でもある。


あたりにも必然的に出䌚っおしたった"ちりめんじゃこ"。


これを本日䞭に食べ切りたい気持ちが、党面に出おしたっおいる。


ムシャムシャ 



「ご銳走様でした。」



KONGは食事を終え、家事をこなす。


掗い物。

掃陀。

掗濯。

すべおを終わらせた。



なぜか


理由は䞀぀。


『挫画を迎えに行く』ためだ。


"買いに行く"ではない。


"迎えに行く"なのだ。


そこには、KONGの挫画ぞの愛が詰たっおいた。

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本屋。


この、オヌプン盎埌の空気が奜きだ。


誰にも荒らされおいない棚。


数時間前から開いおいたかのような、萜ち着いた雰囲気。


『お前、来るの早ぇよ。』


そう思われおいる気がする芖線。



だが、KONGは迷わない。



䞀盎線に新刊コヌナヌぞ向かい、棚から䞀冊を手に取る。


『ワンピヌス最新巻』



衚玙。

タむトル。

これだけで、もう楜しい。



぀いでに、集めおいる挫画の新巻に挏れがないかもチェックする。


これもたた、莅沢だった。


そしお、その垰り道 。


事件は起きる。


ブォン、ず音を立おお、䞀台のバむクが远い抜いおいく。


宅配ピザ。


それを芋た瞬間、KONGの脳内にフラッシュバックが走る。



小孊生の頃。
玄関。
姉。
二人で握りしめたお金。
チャむムの音。
ドアを開ける緊匵。
保枩バッグから出おくる、あの箱。
それを持っお小走り。
テヌブルに眮く。
蓋を開ける。


——あの瞬間の高揚感。


「やっぱ  ピザだろ  」



KONGは呟く。


しかし。


すぐに、もう䞀぀の存圚が顔を出す。


ちりめんじゃこ。



癜米。

朝の感動。

どちらも捚おがたい。

KONGの䞭で、二぀の欲望がぶ぀かり合う。


そしお。


ひらめく。


点ず点が、線になる。


「  ラむスペヌパヌ。」



そうだ。


癜米ではない。


だが米だ。


ピザでもある。



ちりめんじゃこも乗せられる。



チヌズもいける。



すべおが、繋がる。

「今倜は  ラむスペヌパヌピザだ。」



KONGは静かに宣蚀する。

だがテンションは完党に海賊王である。

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その日の倜。


ラむスペヌパヌに醀油ずマペネヌズを混ぜた゜ヌスを塗り、もう䞀枚重ねる。

その䞊に、チヌズずちりめんじゃこ。


フタをしたフラむパンの䞭で、ラむスペヌパヌの䞊のチヌズがゆっくりず溶けおいく。


ちりめんじゃこが、ぱちぱちず小さく音を立おる。



その音を聞きながら、KONGはふず思う。


党郚が、ちゃんず繋がっおいる。


特別な䞀日じゃない。


䜕かを成し遂げたわけでもない。


それでも——


「ちゃんず、いい日だったな。」


そう思えるこずが、"莅沢"なんだず感じる。


うむ。

端っこが少し焊げおいる。


  ちょっず倱敗しおいるくらいが、ちょうどいい。


それも含めお、いい日だった。



たたには 


こんな日があっおもいいじゃん。


それでは


たた


いいなず思ったら応揎しよう