空の上で結ばれた、どうでもよくて尊い友情。
今年最後のnote。
今年を振り返ってみると、KONGの予想を軽く三回転半ひねりで超えた人たちが、画面の向こうで笑い、頷き、時には黙って読み終えてくれていたことに気づく。
直接、言葉を交わしたわけじゃない。
それでも確かに、
目には見えない"素敵なsomething"で繋がっている、
そう思える一年になった。
なぜならKONGは、
言葉が一切通じない場所で、
人生でトップクラスの"謎の友情"を体験してしまったからだ。
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それは、中国からの帰りの飛行機。
『あと数時間で東京』
この言葉が、人をどれほど油断させるか。
KONGは優雅だった。
なぜなら和田さんが頼んでくれていた機内食を完璧なタイミングで完食してしまったのだ。

……完全に、やってしまった。
数分後。
KONGの腸内では、緊急会議が招集されていた。
『議論:今すぐ動くかどうか』
沈黙。
重苦しい空気。
やがて、誰かが小さく手を挙げた。
『……今でしょ』
満場一致だったに違いない。
--ゴゴゴゴゴゴッッ……
地鳴りのような音が、KONGの下腹部を震わせる。
「野郎どもォ!!!」
「全力で働け!!!」
号令とともに、内臓たちはブラック企業の社員のように一斉に稼働を開始した。
残業? 無給? 知ったことか。
今この瞬間が、彼らの繁忙期なのだ。
これはもう逃げられない。
向かうべき場所はただ一つ。
神聖にして厳粛、貴族も使用すると噂される
“ダンディールーム”(トイレ)。
……しかし。
そこには個室が二つ。
そして。
並んでいるのは三人の先客。
嫌な既視感が、背筋を駆け上がる。
(行きの飛行機と同じじゃないか……)
冷や汗が、こめかみを伝った。
「まさか…ここで……?」
その瞬間。
――ドゥゥゥゥゥン!!!!

機体が大きく揺れた。
(ポーン♪)
シートベルト着用サインが、希望をへし折るように点灯する。
「やはりここでかぁぁぁぁ…。」
空の非常事態。
腹の非常事態。
二つの災厄が、奇跡的なタイミングで重なった。
人生とは、油断した人間にだけ、完璧なコンボを叩き込んでくる。
客室乗務員さんにより、
前に並んでいたおじ様とKONGは、後方座席に強制送還。
いや違う。
これは隔離、扱い的には収納だ。
たまらずKONGは立ち上がろうとする。
(あ、いや、ちょっと待って、これは本当に…ヤバいん…)
その瞬間。
隣のおじ様が、
KONGの肩を両手でガッと掴む。
「……座ろう」
何を言っているかわからないが、そう聞こえてしまった。
短い一言。
何より強い。
わかってる。
命が大事なのも、揺れてるのも。
でもね。
KONGの腹も、今、命がけなのだ。
KONGは全世界共通だと思っている言語で訴えた。
「まいぼでー、べりー、はぷにんぐ」
KONGの言葉にウンウンと頷くおじ様の表情も真剣そのもの。
そしてなぜか、
KONGの背中をさすり始める。
さらに、
勝手にベルトを締めてくる。
優しさなのか。
拘束なのか。
——ドゥーーーーーーン!!!
再び大きく揺れる機内。
おじ様は中国語で何かを語りかけてくる。
雰囲気的には、
「落ち着け。今は命だ。」
……たぶん。
ひょっとしたら
「次は俺だからな。先行くなよ。」
かもしれない…。
真相は闇の中。
ただひとつ確かなのは、
この人がKONGを本気で心配してくれている事だ。
ジェスチャーもすごい。
腹を見る。
頷く。
背中をさする。
KONGが立とうとする。
肩を掴まれる。
座らせられる。
背中をさする。
もはやチームだ。
矢吹ジョーの丹下段平。
幕之内一歩の鴨川源ニ。
この人がいれば世界タイトルを獲れるかもしれない。
信じてみるか。
"まいぼでー"を。
結果、見事にKONGは見知らぬ中国人おじ様に応援されながら着陸。
無事、生還。
空港で、ゲートを通ると偶然おじ様と再開して目が合う。
言葉はない。
ただ、
お互いに手を挙げる。

それを見た和田さんはKONGにこう言った
「……お知り合いですか?」
KONGは答えた、
「ピンチを切り抜けた仲です。」
和田さんは笑っていた。
名前も知らない。
言葉も通じない。
便座を挟んだ関係でもない。
それでも確かに。
空の上で、友情は生まれていた。
このnoteも、
もしかしたら誰かと、
そんな謎の繋がりを生んでいるのかもしれない。
言葉を交わさなくても。
顔を知らなくても。
「なんか、ウケる…。」
それだけで成立する友情が、
この世界には確かにある。
今年もありがとうございました。
よいお年を。
それじゃあ。
また。

