ゴリラのひと暴れ
どうも。
KONGです。
本日。
我々 GET BILL MONKEYS の
『ホールパーティーも突然に』が決行される。
二日前のリハーサルの時点で、すでに答えは出ていた。
——今日は、絶対に楽しい日になる。
予想ではない。
確信である。
演奏はキレキレ、テンションは最高潮。
この日が特別な一日になることは、もはや疑いようがない。
……ただし。
たった一つだけ問題があった。
現在、KONGが直面しているある重大なトラブルである。
その解決方法を、
KONGは静かに考え込んでいた。
遡ること四日前。
KONGはいつものようにSNSを眺めていた。
すると。
ある商品が視界に飛び込んできた。
その名も——
『ゴリラのひとかみ(ピーチテイスト)』
指が止まった。
いや、止まらないわけがない。
なぜならKONGはKONGであり、 そしてそこには『ゴリラ』の文字があったからだ。
これは宿命である。
ゴリラという単語を見逃すゴリラはいない。
KONGの心は瞬時に躍った。
「ゴリラのひとかみ……?
どんなもんじゃい!!!!」
闘争本能。
野生の感覚。
そして事実確認。
この三つが、KONGを突き動かした。
その瞬間から、KONGは 血眼で東京を駆け回るゴリラと化した。
ここはコンクリートジャングル、東京。
幸いこのジャングルにはターザンロープは無いが、代わりに電車という文明の結晶が存在する。

ただし欠点もある。
移動中に
「ア〜〜アア〜〜!!」
と叫ぶと、
駅員に摘み出される可能性がある。
ゴリラにとっては、なかなか厳しい社会だ。
そんなこんなでジャングルを徘徊していると、
ついにKONGはその商品を発見する。
ペンギンがマスコットのあの大型店舗。
つまり。
ゴリラがペンギンに会いに行ったのである。
意外と、このコンクリートジャングルはファンタジーなのだ。
そしてKONGはついに手に入れた。
「ゴリラのひとかみ」
戦利品を手に、
ゴリラのくせにウキウキしながら帰路についた。
帰宅後。
KONGはすぐに封を開けた。
(パックリ)
その瞬間。
グン!!
とんでもない弾力が歯に伝わる。
まるでタイヤを噛んでいるかのような感触。
※タイヤを噛んだことはない。
噛めば噛むほどピーチの甘い香りが口の中に広がる。
ハードグミ好きのKONGも唸る完成度。
「うむ……良いゴリラだ。」
ニコニコしながら、今度は前歯でかじる。
(パクリ)
次の瞬間。
ズキーーーーーーーーーーン!!!!!

脳天を突き刺す激痛。
♪★+¥#*=:々四%☆=>‼︎‼︎‼︎
言語機能が崩壊するほどの痛みである。
ツーンなのか。
キーンなのか。
とにかくKONGの知っている"嫌な痛みランキング上位"のやつだ。
数秒後。
脳裏に浮かんだ言葉。
「……虫歯?」
しかも。
THE前歯。
ゴリラのひとかみの、このゴリラはお医者さんなのか?
KONGの健康診断をしてきた可能性がある。
「おいおい……」
「嘘だろ……」
不安になったKONGは 現代人が必ずやってしまう禁断の行動を取る。
スマホ検索。
すると…
【前歯の虫歯は進行が早い】
「なぬぅ!!!!」
【早期発見が大切】
「なぬぅ!!!!!!!!」
この瞬間から、 KONGの体に異変が起き始めた。
冷たい水。
ズキン。
温かいお茶。
キーン。
風。
ツーン。
久しぶりだね。
虫歯くん。
暗い部屋の中で、
KONGは前歯の未来を考える。
もし前歯が無くなったら…
語尾に
「〜なのだ」
をつけて新キャラとして生きるか。
それとも前歯を全部、銀にでもして
トゥースフラッシュ最強ゴリラになるか。
そんな壮大な人生設計を考えながら、 KONGは眠れない夜を過ごした。

翌日。
KONGは歯医者へ飛び込んだ。
事情を説明し、 痛みを細かく伝える。
レントゲン。
診察。
先生が歯をコツコツ叩く。
「これ、痛くないですか?」
「はふぃ」
(コンコン)
「これも?」
「はふぃ」
完全にゴリラの会話ではない。
数回続いたあと、 先生が静かに言った。
「貝吹さん……」
ゴクリ。
「これは……」
ドックン。
「捻挫です。」
ん?
便座?
KONGの思考が止まった。
は?
歯?
HA??
捻挫?
歯の?
捻挫???
KONGは思わず聞き返す。
「そんなこと…あるんですか!?」
先生は静かに頷いた。
あるらしい。
歯にも。
捻挫。
※正式名称は忘れた
ただ問題がある。
「テーピングは巻けないので自然治癒です。」
口を「いーーー」として
空気を吸っても痛いのも
捻挫の症状らしい。
だが。
虫歯じゃなかった。
それだけは救いだった。
しかし。
たまに襲ってくるこの痛み。
これはどうしたものか…。
そして迎えた本日。
ライブ当日。
つまり。
KONGの前歯は現在、捻挫中である。
今日、皆さんが目にするKONGは痛みを紛らわせるために暴れているのか。
それともただ楽しくて暴れているのか。
それは誰にもわからない。
だが一つだけ確かなことがある。
今日はきっと特別な一日になる。
なぜなら。
今日も"KONG"は"KONG"として絶好調なのだ。

それでは!
また!
