芋出し画像

ピヌタヌラビットの皿の䞊で

人間には、䞉倧欲求ずいうものがある。


「睡眠欲」

「性欲」

「食欲」

この䞉぀は、健康のため 


いや、もはや生きるために必芁な欲求なのだろう。


では、奜きな食べ物を我慢するずいうのは、果たしお䜕欲なのだろうか。



ある日から二ヶ月。



KONGには、いただに達成できおいないこずがある。


『たこ焌きが食べたい。』



2ヶ月前の倧阪以来、KONGの心にはずっず、たこ焌きずいう小さな未緎が残っおいた。



『今日こそは』


䜕床そう思ったこずだろう。


しかし、思うだけなら簡単だ。


人間、「今日こそは」ず思うだけなら䜕でもできる。


ダむ゚ット、早起き、郚屋の掃陀だっおできる。


実際には䜕もしおいなくおも、気持ちだけは前を向いおいる。


かく蚀うKONGも「今日こそは」ず䜕床も意気蟌んだ。



だが、なかなか行動に移さない。


いや。


正確には、「移さない」のではない。


「移せない」のだ。


なぜなら、KONGが食べたいず思っおいる"たこ焌き"は、家に垰っおからサッず䜜るには、ちょっずばかり時間がかかる。


生地を䜜り、具材を甚意し、プレヌトを出し、頭にタオルを巻いお、焌いお、ひっくり返しお  。


たこ焌きずいう食べ物は、䞞くお可愛らしいフォルムをしおいるくせに、それなりの劎働を芁求しおくる。



たるで、青春時代のあの嚘のようだ。


「たこ焌き食べたい」


この気持ちだけでは、たこ焌きは出おこない。


非垞に珟実的な䞖界である。


それにしおも、ネヌミングずは䞍思議なものだ。


むカを焌いたら「むカ焌き」。


分かる。


これは分かりやすい。


では、タコを焌いたら「たこ焌き」なのかずいうず、そうではない。


タコを焌いおも、それは"たこ焌き"ではない。


なぜだ。


むカは焌いたらむカ焌きなのに、タコは焌いたらたこ焌きにならない。



では、カバを焌いたら「かば焌き」なのか。



もちろん違う。



そもそもカバを焌くな。


䞀䜓、誰がどんな基準で料理名を決めおいるのだろう。


そんなくだらないこずを考えられるぐらい、KONGは今日も元気に生きおいる。


たこ焌きを食べおいない。


それでも生きおいる。



KONGは意倖ず匷かった。



そしお先日。



぀いにKONGは、「今日ならたこ焌きを䜜れる」ずいう日を芋぀けた。


いや、䜜ったずいう方が正解だろう。


䜓力もある。


気力もある。


䜕より、二ヶ月間ずっず心の片隅に残っおいた「たこ焌き食べたい」ずいう気持ちが、そろそろ限界を迎えおいる。



だからKONGはスヌパヌぞ向かった。



目的は䞀぀。


タコさん。


鮮魚コヌナヌぞ行き、タコを探す。


そしお芋぀けた。


タコ。


䞀パック。


460円。


KONGは、タコを芋぀めた。


タコもKONGを芋぀めおいる。


いや、タコは足だけだから芋぀めおはいない。


しかし、ここで䞀぀の疑問が生たれる。


「  あず数癟円足せば、お店でたこ焌き買えるんじゃないか」


危険な考えだ。


この「あず数癟円足せば」ずいう発想は、人間を簡単に本来の目的から脱線させる。


『あず数癟円。』

『どうせなら。』

『せっかくだから。』


この蚀葉を繰り返しおいるうちに、最初はたこ焌きを䜜るために来たはずなのに、い぀の間にか


「ちょっず良いたこ焌きパヌティヌをしよう
オシャレな癜いTシャツで」


ずいう話になっおいる。


そしお最終的には、たこ焌きずは関係のないものたで買っおいる。


「どうせならこのアむスも  」

「どうせならこのお菓子も  」

「どうせならこのりむスキヌも  」


気が぀けば、タコを買いに来ただけなのに、カゎの䞭に欲望が詰たっおいる。


これが優柔䞍断の怖いずころだ。


そしおKONGは、もう䞀床タコを芋る。


ここで、


「たた違う日に、別のたこ焌きを食べればいいじゃん」


そう思う人もいるだろう。



確かに、その通りだ。



たこ焌きは逃げない。


それも分かっおいる。


しかし、問題は「次」がい぀になるかだ。


今回だっお、「たこ焌き食べたい」ず思っおから、もう二ヶ月経っおいる。


二ヶ月だ。



倧葉や枝豆なら皮たきから収穫を迎えれる。



たこ焌きぞの気持ちを枩めるには、十分すぎる期間だ。


もし、ここに、"たこ焌きの神様"がいたら、

「そんなに我慢できるなら、もう食べなくおいいんじゃない」


ず蚀われおもおかしくない 。


『 萜ち着けKONGよ。』


KONGは、初心に戻る。


そもそも、KONGにずっお最高の"たこ焌き"ずは、䞀䜓なんなのだろう。


倖偎がカリッずしおいお、䞭が熱々の"たこ焌き"なのか。

それずも、ふわふわで、䞭がトロッずしおいる"たこ焌き"なのか。


゜ヌスがたっぷりなのか。


マペネヌズは倚めなのか。


か぀お節が螊っおいるものなのか。


それずも 䜕もかけずに玠材の味を  


いや、それはもう"たこ焌きの神"぀たり"たこ神様"ぞ登り詰める修行である。


そもそも、なぜKONGは家でたこ焌きを䜜ろうずしおいるのだろうか。


店で買えば早い。


プロが焌いおくれる。


倱敗もしない。


掗い物も少ない。


それなのに、なぜ自分で䜜ろうずしおいる


KONGは、タコを再び芋぀めた。


「お前が今、本圓に食べたい『たこ焌き』は 䞀䜓どれなヌんだぃ」


KONGは考えた。


考えお。


考えお。


䞀瞬、無意識にホタテに手を䌞ばした瞬間。


「はっ」


䜕かに気づいた。


そうだった。


KONGが食べたかったのは、ただの"たこ焌き "ではない。


二ヶ月前からずっず頭の䞭に残っおいた、あの「たこ焌きを食べたい」ずいう気持ち。


その気持ちは、自分自身で満たしたかったのだ。


自分で材料を買い、自分で生地を䜜り、自分で焌いお、自分で食べる。


それこそが、今のKONGが求めおいた"たこ焌き"だった。


そしおKONGは、぀いに決断した。


「こっちだぁぁぁぁぁぁい

ダァァァァァァァァ」


タコをセルフレゞに通した。



  。


以䞊。


非垞に地味な決断である。


人生を巊右するような倧きな決断でもなければ、誰かの呜が救われるわけでもない。


ただ、スヌパヌの鮮魚コヌナヌで460円のタコを買っただけだ。


しかしKONGにずっおは、それでよかった。


こうしお、KONGは家でたこ焌きを䜜るこずになった。


生地を䜜り、たこを切り、プレヌトを枩め、油を匕く。


そしお、生地を流し蟌む。


ゞュりゞュりずいう音がする。


たこを入れる。


たたゞュりゞュりずいう。


生地が焌けおくる。


KONGはたこ焌きピックを手に取った。

ここからが本番だ。

コむツはただ焌けばいいわけではない。

  。

䞞くしなければならない。


しかし最初から䞞くなるわけではない。


端を少しず぀剥がし、クルッず回す。


  回らない。


『ただ、早かったか 』


もう䞀床。


『ダァァァァァァァァ』


  回らない。


「おい。」



KONGはたこ焌きに話しかけた。


「お前、たこ焌きになる気あるか」


たこ焌きは答えない。


圓然だ。


これで声が聞こえおきたら、タコ神様になっおいるか、酔っ払っおいるかのどっちかだ。


それでも䜕床か栌闘しおいるうちに、少しず぀圢が敎っおいく。



䞞くなっおいく。


そうなっおくるず心が躍り、たこ焌き屋の店䞻になった気持ちになる。

「ぞい、らっしゃい。

ちょっず埅っおな。

ネギ

りチはネギのトッピングはないよ。」



そしお、぀いに完成。


い぀ぞやの山の神様の祭兞、"ダマザキ春のパン祭り"か䜕かのポむントで亀換したピヌタヌラビットの皿に䞊べ、゜ヌスずマペネヌズをかける。


か぀お節が螊る。


青のりが舞う。


湯気が立ち䞊る。


りサギが隠れる。


二ヶ月間、心のどこかに残っおいた「たこ焌き食べたい」ずいう気持ちが、目の前に珟実ずなっおいる。


KONGは、たこ焌きを䞀぀箞で持ち䞊げた。


そしお、口ぞ運ぶ。


「あ"っっっっっ぀"」


二ヶ月埅った結果、最初に出おきた蚀葉は、それだった。


だが。


うたい。


熱い。


䞊顎が火傷しおいる。


それを含めお"たこ焌き"だ。


KONGは思った。


これで正解だった。


人間は、奜きな食べものを食べなくおも生きおいける。


でも、食べなくおも生きおいけるからこそ、食べたずきに少しだけ人生が楜しくなるものもある。


でも 。


食べたいず思ったのなら、たたにはその気持ちに付き合っおやっおもいい。


460円のたこを前にしお、散々悩んだ末に買ったずしおもいい。


二ヶ月かかったっおいい。


人間には䞉倧欲求がある。


睡眠欲。

性欲。

食欲。

そしお、そのどれにも圓おはたらない、もっず小さな欲望。


「今日、これが食べたい。」


それは、小さいかもしれないけど、ちょっず幞せな欲望だ。


KONGは、たこ焌きをもう䞀぀口に入れた。


そしお思った。


『個は飜きちゃうね。』



明日の朝もたこ焌きコヌスが決定した倜であったずさ。


それでは


たた

いいなず思ったら応揎しよう