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KONGの世界を豆腐で救え。

【5/24 AM 11:00 都内某所】


「はい…。


それはチョットわからないですね。。


はい…。


かしこまりました。


向かいます。」



(ピッ…)



どうして、こんな事になってしまったんだ…。



こんなはずじゃなかった…。



………。



【遡ること…13時間前】


金曜の夜。



翌日に何も予定が無いKONGは浮かれていた。



『明日は休みだじょ〜
  明日の夜はお肉食べるんだじょ〜』



まだ金曜の夜。


すでに翌日の"夕飯"のコトを考えている。



気が早いにも程がある。



しかし、それが"贅沢"というものだ。



朝から市場に行って、肉を吟味し、仕込みをして、夕方から酒を飲みながら焼き始める。


そんな完璧な休日プランを脳内で完成させながら、KONGは夜のスーパーへ向かっていた。



『今日は魚にするか…』

 

時刻は22時。


この時間帯でまだ営業しているスーパーは不思議な空気を纏っている。



惣菜コーナーには割引のシール。



野菜コーナーには見事に商品を売り切ったスペース。



お肉や鮮魚コーナーにも目には見えない"戦いの空気"が残っている。



おそらく…。



日中賑わって、金曜の夜にパーティーをする者たちが去って行った後の世界だろう。



だが、
優柔不断のKONGにとって、選択肢が少ないのはむしろありがたい。



『いっぱいあると、決められないんだじょ。』



鮮魚コーナーを一周する。  



そして。



唯一残っていた魚を手に取った。



『サバだ…』



選択の余地は無し。



でも、サバは嫌いじゃ無い。



味噌漬け、塩焼き、トマト煮。



この魚の可能性は無限大だ。



「うむ。」


KONGは頷き、鯖を持ってレジに並ぶ。



『砂漠で捌くサバ…ってか…フッ。』


なんともつまらない事を考えながら、レジの順番を待つ。

浮かれている証拠だった。



こうして帰宅。



そして風呂。



風呂上がりに魚の煙を浴びることすら男らしいと思ってしまう。



かなり幸せな状態である。



チラチラとグリルを覗き込みながら、ハイボールを流し込む。



『早く食べたいんだじょ〜』



焼き上がった鯖を皿へ移す。



脂が光っている。



焼き加減は完璧だ。



(ごくり)


空腹のKONGが鯖を頬張る。



うまい!!!



流し込むハイボールも最高だ。



塩加減が足りない気がするので、一振り。


(パラパラ)


もう一口。



更にうまい!!!



『今日もこの瞬間の為に頑張ったんだじょ〜』



空腹からか、少しハイペースで魚を胃袋に叩き込む。



こ、これは!!



箸が止まる。



痛い。



この感覚は良く覚えている。



たしか…恋する季節。




気になっている娘が、知らない男子と楽しそうに話しているのを見た時の、
あの"チクリ"とした感覚。



……いや違う。



そんな青春の甘酸っぱさではない。



完全に。



骨である。



『刺さってるんだじょ……。』



絶望。



サバーオブテラーである。



魚の骨が喉に刺さった瞬間、
なぜ人類はここまでテンションが下がるのか。



さきほどまでの幸福が全部消える。



『実は良く無い』と噂されている"ご飯を丸呑み作戦"を実行しようとするが、ご飯を炊いていない。



今のKONGが丸呑み出来そうなモノを冷蔵庫から探す。



キムチ。



納豆。



ちくわ。



違う。



なんか…そうじゃない。



そして。



見つけた。



豆腐。



『君に決めたじょ!!』



ポケモントレーナーのように叫びながら、KONGは豆腐を取り出す。


今のKONGにとって、豆腐は食材ではない。



希望なのだ。



そして、豆腐を一噛みして飲み込む。



(ゴクリ…)



『痛いじょ…』



むしろ更に刺さった気がする。



これだからやったらダメなのだ。



口を大きく広げて、指を突っ込む。



触れそうで触れない。



嗚咽が走る。



まるで戦火の中、塔の上にいるシータとパズーのような歯痒さ。



ふと、


"小骨は数日後に溶ける"



と、いう言葉を思い出す。



『でも、コレは小骨なのか?』



その後も手立てがなく、
まるで風呂で耳に入った水のように翌日にはスッキリしていることを願いながら、その日は眠りについたKONGであった。

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【5/24 AM 10:00 】


目が覚めて、軽く喉を動かすKONG。



『痛いじょ…』



まだ、体内には骨が装備されている。



もはや頼れる所はただ一つ。



病院である。



『魚の骨で病院?』


KONGはここにきて"見えない所の痛みに弱い男"であると知る。



しかし休日診療の病院を探すが、なかなか見当たらない。



人生初の#7119を試みる。



するといくつか病院を紹介され、休日診療ともあり、なかなか距離はあるが、片っ端から電話を開始する。

【5/24 AM 11:00 都内某所】

4件目

(プルルルル)

看「はい。◯◯クリニックです。」

K「あ、もしもし、実は魚の骨が喉に刺さってしまいまして」


看「いつ頃刺さりましたか?」

K「昨夜です。」

看「痛みはありますか?」

K「はい。。。」

看「診る事は可能なのですが、首より下になると耳鼻咽喉科では処置出来ないのですが、喉ですか?」

(首から下ってドコまで?)


テンパるKONG。


K「それはチョットわからないですね。」


看「さようでございますか。」


(ごめんなさい。)


K「はい…。」


看「一度こちらで診てみましょう!」


K「かしこまりました。

   向かいます。」


(ピッ…)


どうして、こんな事になってしまったんだ…。


こんなはずじゃなかった…。


………。


【5/24 PM1:30】


病院に到着。


あれよあれよと内視鏡。


ドン!!


先生「あ!見事に刺さっております。

   痛かったですね。」


(ゴソゴソ)


先生「ここなら、取れます!!」


(シュ!!!)


おや?


痛みが消えた。



先生「なかなか立派な骨です。」



治療時間数分。



悩んだ時間、半日。



病院から外に出て喉を動かす。



違和感はあるが痛くはない。



先程までと見える世界が違う気がする。



心がこんなに軽くなるなんて。



こんなフレッシュな気持ちは中々味わえないだろう。



この気持ちを味わうために…
神様はKONGにこの休日を与えてくれたのだろう…。


よし。


『今夜はパーティーをするじょ!!』



この時…



KONGは浮かれていた。



それでは!



また!

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