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コングのグルメ〜第13話〜

KONGには好きな言葉がある。


『新装開店』


『原品限り』


そして


『本日限定』



これらの言葉を見るたびに、KONGの思考回路は停止し、歩いていた足も止まってしまうのだ。



季節は夏。



蝉の声を聞くだけで外の暑さが想像出来る。


外に出ようもんなら


『ぐはぁ…』


…。


ちーん。


暑さだけではなく、
吸い込む空気もなんだか重く、息苦しささえ感じてしまう。


だが、


そんな気温とは関係なく腹は減る。



「夜の食料を調達せねば…。」



クーラーが付いている部屋から"ギロリ"と太陽を睨むKONG。



安全圏からの威嚇。


昔、じいちゃん家の小屋に入っていた大型犬を挑発していた事を思い出す。



「まるで成長していない…。」



テレビに反射したワガママボデーのKONGが『スラムダンク』の安西先生と重なり、
海外に行った教え子"谷沢"の試合ビデオを見た時と同じリアクションが自然と出てしまった。


「ホッホッホッホ」


安西先生を思い出した事により物語が動き出す。


「それだ!」



白髪の優しい表情。



白いお髭の安心感。



今夜は"カーネル・サンダース"に会いに行こう。



夕飯が『ケンタッキーフライドチキン』と決まったKONGは、1日のピークを夕食に持っていく。




朝食は軽く済ませ、
そのままの勢いで、
『洗濯物』『掃除』『亀の水換え』『機材倉庫の換気』にとりかかる。



亀の水換えに1時間かかってしまうのはいつもの事だが、機材倉庫の換気に予想以上の時間がかかってしまい時計を確認すると…



時刻は14時。



「もう少しだ…。」



予定では15時頃にクーラーをオンにして家を出る。



帰ってきたらそのままお風呂に直行し、
生まれ変わった姿で"キンキン"の部屋に突撃して"プシュ"っとする。



「なんて素敵なホリデーなんだ。」




午前中に干した洗濯物も"アッ"と言う間に乾いている。



(コレを取り込んで畳んだら着替えて町に繰り出そう。)



ここで止まるわけにはいかない。



KONGのようにナタデココのような意志を持つ人間は、余計な行動が入ってしまうと張り詰めた糸が容易く"プツン"と切れてしまう。


しかし、

少し汗ばんだ体で洗濯物に触れるのは、自分の物とはいえ少し躊躇してしまう。



ここは一つ。


「ウィンガーディアム・レビオーサ…」



……。


風鈴の如く揺れる洗濯物。


決して"浮く"事はなく…
ただ無駄なカロリーを使ってしまうだけだった…。


「ん?呪文あってるっけ?」


謎の確認タイムが入り、テレビのリモコンを手に取る。



(ハッ!)



「あぶない…。」


危うく目的を忘れてハリーポッターの世界に吸い込まれる所だ。


ホグワーツでの思い出は一旦忘れる為に、
一心不乱に自らの手で洗濯物をたたみ全ての工程を終える。


時計を確認すると…



14:50分。



申し分ないペース配分だ。



服を着替えて、玄関に向かい帽子を被る。

(スリザリン!!!!)


「ん?…行ってきます。」



ようやくKONGは"カーネル・サンダース"に会いに町に繰り出すのだった。



カーネルの家まで向かっているKONG。


地面からの熱が

家を出る前も水分補給を忘れていた事に気付く。


「これは…よくないな…。」


あまりの暑さに飲み物を買う為に、スーパーマーケットに寄る。



今なら思う。


コンビニでも良かった。



だが、なぜかスーパーマーケットに入ってしまったのだ。


「お茶…お茶…」



喉はカラカラ。



ゾンビゴリラが店内に土足で入店。



脇目も触れず、
野菜コーナーを通り過ぎる瞬間…
ダンボールで作られた特設ステージに"ドドド"と置かれた商品が飛び込んでくる。



『本日限定。』

【えのき】
2パック100円!!


「ぶぇ?!」



思わず、足が止まる。


1パックは75円(税抜)。


2パックで100円(税抜)。



「どえりゃぁ事になっとるのぉ!!」


(しかも本日限定だと?)


あまりのインパクトに、気がつけば『お茶』と『えのき2パック』と持って会計を済ましているKONG…。

……。

天国のような涼しい店内から…
灼熱の外に出た瞬間…
謎の達成感が生まれてしまい…
ついに糸が切れてしまった…



「えっと…
髭の生えた…
優しい顔した誰かに会いにいくんだよな…。


ああ…。


ダンブルドア先生に会いに行くんだっけ。」



ケンタッキーに標準を合わせて進めたこの日の午前中〜夕暮れ時。


突如現れた【えのき】により、呆気なく目的が変わってしまい帰路に着くKONG。

どこからか声が聞こえる。

(お前にケンタッキーはまだ早い)

と。



家につくなり、
シャワーを浴びて何故かキッチンに立って『えのき』と見つめ合うKONG。


(…プシュ!!)


「ぷはぁ…

んで…?

なぜ、今から調理をするんだ…。」


夏の暑さが判断力を鈍らせたに違いない。


謎の2パック。


1パックはとりあえず冷蔵庫にしまっているが、野菜室を開くたびこう思うに違いない。


『アントキノえのき』


とな。



「とりあえず…巻いてみるか。」



ざっくり切って、
レンジで600wでチンをして、冷蔵庫にあった【カニカマ】【ごま油】【鶏ガラ】を混ぜ、



あとはライスペーパーで丁寧に巻く。



「うむ。」


最後に
フライパンで焼くのだが、
ここでアルコールで鈍った感覚が箸捌きを妨害する。


熱を持ったライスペーパーは、ほんの少し当たっただけでくっ付いてしまう。



「なんで…焼いてからお酒を飲まなかったんだ…。」


後悔の連続。


これが成長。

全体がパリパリになったら、お皿にドン!!


へいおまち。

「誘惑キノコと後悔の巻き物」


一口食べる。

(パリパリッ)


「ッあっつ!!!!!!!!!怒」



見た目とは裏腹に、中はマグマのような熱が篭っている。


この熱さに耐えれるライスペーパーの力は計り知れない。


味は

「まぁ…美味しい」


今日は何を食べてもコレじゃない感は半端ないだろう。



ただ一つ、


箸で食べる今夜の料理は、


リモコン操作がスムーズに出来て、


思う存分ハリーポッターを楽しめる事が出来た事である。


「こんな日があってもいいんだ。」



それでは!


また!

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