鬼はどこだ?!
どうも。
鬼殺隊・非公式第十柱。
《厄柱(やくばしら)》KONGです。

二月三日。
コレが何の日だったか。
そう。
節分。
暦がそう告げた瞬間、KONGの背筋に冷たい電流が走った。
平安時代より、人は季節の変わり目に潜む災いを恐れ、"魔を滅する"つまり"魔滅"から豆に祈りを込めてきたという。
つまり厄年のKONGにとって、これ以上ない決戦の日である。
そもそもKONGにとっての魔とは何か。
厄か?
膝の痛みか?
左右で薄さが違う靴下か?
あるいは
「今日も良い事なかったな…」
という夜の静かな自己嫌悪か。
いずれにせよ、豆を投げねば始まらない。
「魔を……滅する」
声に出すだけで強そうだ。
必殺技の名前みたいだ。
しかしKONGは大人で食いしん坊。
豆を無駄にする事はしない。
自宅環境は湿度90%(ほぼ水中)となっているため、袋を開けたら最後…
食べきらねば豆は翌朝には別の生命体になるに違いない。
条件は一つ。
個包装。
投げる豆は一発でいい。
その一粒に拳の熱と人生の酸いも甘いもすべてを込め、周囲に蔓延る"魔"を一掃するのだ。

そう心に決めたKONGはスーパーへ向かった。
否、武器屋である。
乾物の呼吸・壱ノ棚。
菓子の呼吸・弐ノ棚。
健康食品・参ノ棚。
ない。
個包装の、魔滅に相応しい弾丸が見当たらない。
「これが……現代社会の闇…いや鬼の所業か…」
徘徊すること数分。
その時だった。
レジ近くに特設ステージが作られた弾薬庫を発見する。
が、全て…
お面付き…
「……ちょっと待て」
KONGの心が揺れる。
コレは絶対KONGがお面をつける側だと思われるだろう…。
別にそう思われても何の問題もない事だが、
事実は KONGが投げる側…。
なんだこの恥ずかしさ…。
揺れ動く心に天からの声が聞こえる。
『貴様にこの武器をレジに通す勇気があるのか?』
額に汗が滲む。
迂闊だった…。
鬼と遭遇した時点で、戦いはもう始まっていたのだ。
レジが見える。
笑顔が素敵な若い店員だ。
背後に並ぶ、何も知らぬ他のお客様たち。
バレてはいけない気がする…
ここに…
鬼殺隊がいることを。
KONGの震えながら、最悪のシナリオを想像する。
・レジで店員と目が合う
・無言でお面付き豆を差し出す
・『……豆まきですか?』
・終了… セルフ出禁発動。
…。
なんてこった…。
魔を滅するとは、
弱い自分をも超えること。
小さな勇気を振り絞り、KONGは静かにカゴへ…
ドン!!!
『いざ!!!関所(レジ)へ!!!』
対面する店員さん。
『頼む…何も聞かないでくれ…』
(ピッ🎵)
そこで…
まるでスローモーションのように店員さんの口が動いた…
『終わっ…』
「レジ袋はご利用ですか?」
はぅ!!!!
「いいえ、結構でござる…」
無事、関所を突破!!

世界はこんなにも優しかったのだ…。
その日の夜。
KONGは豆を一粒、静かに投げる。

「鬼は外」
声は小さい。
だが確かに豆が飛ぶ。
魔は…
滅したかどうか分からない。
しかしKONGは知っている。
小さな勇気の積み重ねで、数時間前の自分を超えることが出来るということを。
そして
なにより、
この日はKONGの中にいた、小さく臆病な鬼を確実に退治したのであった。
それでは!
また!
