点字note #8│祖父の煙草のにおい ─昭和レトロな伊予絣 & ねるねるねるねの分かち書き
原本記事
点訳後記
つい先日、輪越しのお祭りがありました。
人形が描かれた、はがきの半分ほどのサイズの薄い和紙(雛形)に生まれ年(私は丑年)などを書き込み、全身にこすりつけることで、身体の悪いところを雛形に移す。これを神社の池に流して、無病息災を祈ります。
その後、茅の輪を8の字にくぐって御本殿に手を合わせてきました。
おばあちゃん三部作を点訳したばかりで、「次は じいちゃんだな」と思っていたところだったので、祖父の浴衣のことが強く思い出されました。
noteのタイトル画像には説明文を挿入できないからと、浴衣に用いた布地について言葉での説明をすっぽかしていました。
せっかくなので、ここでご説明させていただきます。

留紺とでもいうべきか、黒に近い濃い紺色の地に紗綾形風の白い絣模様が入った余り布。ところどころに挿し込まれた青色がアクセントになっています。
布地に添えられた証紙には「伊豫絣」と「正藍(しょうあい)」の文字。正藍染めは化学薬品を用いない伝統的な藍染めの技法です。
証紙のデザインは、昭和レトロな雰囲気漂う着物姿の女性を中心に、その奥に松山城が描かれています。
ちなみに女性のファッションは……
髪型はゆるいパーマのかかったショートヘアー。
着物はおそらく伊予絣で、濃紺の地に細かく井桁や丸の絣模様があしらわれています。
赤みの強い橙色(蒲色かな?)の帯に浅葱色らしき青緑の帯締め。
そういや帯揚げが見えないけれど、帯枕を使わない貝の口にでも結んでいるんでしょうか。
あぁ、私も着物が着たくなってきた……
こうやって視覚情報を言葉で描写する作業、ちょっと小説の執筆の訓練に良さそうです。
頭の中に浮かんでいる映像を地の文に書き起こしていくのと似ていて……
私は一度は和裁士を志したほどの着物好き。その色柄を描写したいがために、時代物を執筆しているのかもしれません。
点訳者のつぶやき
ネルネル■ネルネ
はたしてこの商品名の分かち書きは、これで良かったのだろうか。
手掛かりは『点訳のてびき』の83~84ページと点訳フォーラムの語例検索。
1.繰り返し言葉の原則
二つ以上の意味のまとまりからなる繰り返し言葉は、区切って書くことを原則とする。
雨々降れ降れ → アメ■アメ■フレ■フレ
汗をかきかき → アセヲ■カキ■カキ
2.擬声語・擬態語
擬声語・擬態語は、3拍以上の繰り返しは区切って書き、2拍以下の繰り返しは続けて書く。
ヒラヒラ ↔ ヒラリ■ヒラリ
ズルズルズル ↔ ズルズル■ズルズル
3.点訳フォーラムの語例
小説投稿サイト「カクヨム」→ カクヨム
※ 語源は「書く」と「読む」
ライフスタイル雑誌「Ku:nel」→ Kunel(「クウネル」も可)
※ 語源は「食う」と「寝る」
「ねるねるねるね」の語源は間違いなく「こねて混ぜる」ことを意味する動詞の「練る」。
これが延々と何かを練り続けていることを示す文脈なら「汗をかきかき」の例と同様に「ノリヲ■ネル■ネル」などと区切って書くべきなのだと思います。
しかし、点訳フォーラムの語例によると、二拍の動詞の組み合わせからなる固有名詞はつなげて書く傾向にある様子。
仮に雑誌「Ku:nel」のネーミングの発想源であるという落語「寿限無」の一節を点訳するなら、「食う」と「寝る」のそれぞれが独立して「所」に掛かっているので、「クウ■ネル■トコロニ■スム■トコロ」と区切られるはずです。
それを雑誌名ではわざわざ「クウネル」とつなげているのですから、それぞれの動詞を独立した一語とみなすのではなく、全体をひとつの固有名詞(複合名詞)とみなしているように思われます。
それならば、「練る」の繰り返しも全体をひとつの固有名詞ととらえた上で、擬態語の例にならって「ネルネル■ネルネ」と3拍以上のまとまりで区切るのが妥当だろうと考えました。
ええっと……
私はいったい誰に向かって弁解しているのだろう?
自信がないときほどベラベラしゃべり倒したくなるものですよね。
● 点字note 一式 ●
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