半透明ハイキング
「カラカラカラ」、言葉の合間に水筒を振り氷がぶつかる音がする。
もう水分はないが、喉を潤したいわけではない
言葉のリズムを潤したいのだ。
気まずいわけでもない、車は夜の高速を右に左に、主に真っ直ぐと目的地へ向かっている。何もしなくても沈黙は世界を正解へ導いてくれる。
「みよっちゃんはさ〜」
「自分のこと話すの下手だよね。」
「人のことはよく聴くのに」
私は黙っている。
「この道、前にも通ったよね。」
過ぎ去る景色にかつて父と見た想い出が重なる。
そこには永遠にこのままだろうと思っていた荒廃した土地に新しい建物が建ちはじめていた。景色の向こうに、昔の景色が半透明に重なって見える。
それを話したいが、もうこの世にいない父への言葉が喉に詰まる。感情を揺さぶられ運転に集中する。集中から溢れた言葉を彼女に伝えようと思った。
「あのさ、、」
「カラカラカラ」彼女は溶けた氷の水を一口くちに運ぶ
道は前に進む。
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