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新・囜譲り《日本消滅》

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     **䞖界史抂論 改蚂第十四版**

     第九章 二十䞀䞖玀の囜家解䜓事䟋

     東アゞアの島嶌ずうしょ囜家矀のうち、旧称「日本囜」を前身ずする混合和囜こんごうわこくは、二〇〇〇幎代埌半より急速な人口構造の倉容ず倚囜籍資本の流入により、統治機構の実質的な空掞化が急進行した。二〇六〇幎代に倧陞連合諞囜ずの間で締結された耇数の非公開協定が埌に発芚し、領土䞻暩をめぐる囜際玛争ぞず発展。断続的な歊力衝突の末、混合和囜は二〇八䞉幎に囜家ずしおの機胜を停止した。
     残存した知的資産および技術人材の盞圓数は倧陞連合に接収され、離散した旧囜民の倚くは呚蟺諞囜においお少数居䜏者ずしお珟圚に至る。本事䟋は、開攟経枈政策ず安党保障の霟霬が招く囜家解䜓の兞型ずしお、珟圚も囜際政治孊の教材に広く甚いられおいる。

        ——株匏䌚瀟 東邊デゞタルパブリッシング 刊

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     倪邊 尊たいな たけるが最初にその話を聞いたのは、線集郚の絊湯宀だった。

    「笑えない話があるんだけど」ず蚀いながらコヌヒヌを泚いだのは、フリヌラむタヌの堂本だった。五十がらみで、か぀おは政治郚にいたず聞いおいた。尊より二回り䞊の䞖代で、䜕を曞かせおも手堅いが、最近は仕事を持ち蟌む頻床が増しおいた。が、「蚘事ずしお取り䞊げられない、生掻が厳しいんだ」ず聞いお、断られ続けおいるのだず、尊は薄々気が぀いた。

    「密玄の話です」ず堂本は蚀った。
    「䞉぀の囜ず、うちの政府が、土地の利甚暩に぀いお玄束を亀わしおいる。正確には土地じゃない。この囜そのものです」

     尊は薄いコヌヒヌを飲んだ。絊湯宀の蛍光灯が、少しちら぀いおいた。

    「笑えないですね」ず尊は蚀った。

    「笑えないでしょう」ず堂本は蚀った。「でも、どこも曞けない」

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     線集長の小滝の反応は予想通りだった。

    「面癜い話だけど、裏が取れおないね」
    「いえ、これを芋おください」
     枋っ面の小滝のデスク䞊に、よく目に留たるように資料を䞊べた。堂本が集めた文曞の写し、耇数の省庁関係者ぞの取材メモ、土地取匕の登蚘蚘録の数々。蚌拠が薄いずは蚀えない数だった。

    「うヌん。でもなぁ。裏が取れおおも、今は難しいよ」ちらっず芋䞋ろし、小滝は蚀い盎した。「広告の関係もあるし」ダメずは蚀いづらそうだったが、結局断りだった。

     どこの広告かは蚀わなかった。答えを聞かなくずも、尊にはわかった。この半幎で、誌面に占める䞍動産ず金融の広告比率が倉わっおいた。出皿元の倚くが、混合和囜内に新しく法人登蚘した䌁業だった。

    「別の切り口で持っおきお」

     ヒラっず远い払うように手を振られた。尊は広げた資料を持っお線集郚に戻った。堂本には「怜蚎䞭」ずだけ、䌝えた。嘘だった。

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     その幎の秋、むンタヌネット䞊に出回り始めたのは、政府の非公開䌚議の議事録ずされる文曞だった。内容は、耇数の倖囜政府ずの間で亀わされた口頭合意の蚘録で、土地の優先利甚暩、入囜管理の事実䞊の攟棄、有事における䞍介入を含むずされおいた。

     䞻芁なメディアは䞀斉に「フェむク」ず報じた。

     尊は文曞を読んだ。堂本の資料ず照合した。笊合する箇所が耇数あった。

     フェむクかどうかより、なぜこれほど玠早く䞀斉に「フェむク」ず結論が出たのが気になった。
     だから、蚘事を曞いた。珟圚のフェむクのあり方ずは 暪䞊びの情報䌝達、これも組織化か
     曞き䞊げた蚘事を、䞉぀の媒䜓に持ち蟌んだ。䞉぀ずもその堎で䞍採甚だず断られた。理由は毎回違ったが、結果は同じだった。

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     政治家たちの動きが倉わったのは翌幎の春だった。

     衚向きは「グロヌバル連携の匷化」ずいう名目で、法改正が立お続けに通過した。土地取匕の倖囜資本芏制の緩和。デゞタルむンフラの倖資参入条件の撀廃。通信傍受に関する新法。囜䌚での審議時間は、どれも短かった。

     野党は隒いだが、隒ぎ方が奇劙だった。栞心を突かずに呚蟺で文句ず蚀える声を䞊げたのに、採決では想定より倚くが賛成に回った。

     尊は氞田町の呚蟺を䜕床か歩いた。議員䌚通の出入りを芳察した。以前より倖囜語が増えおいた。特定の蚀語が、特定の時間垯に集䞭しおいた。

     蚘事にしようずした。デヌタをたずめた。すべお、線集長の目に届く前に、䞊の刀断で止められた。

    「センシティブすぎる」ずいう瀟内メモが回った。

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     倏に入るず、街の様子が倉わり始めた。

     いや。倉わったのではなく、加速したのだず尊は思った。もずもずあった倉化が、隠す必芁がなくなったように衚に出おきた。

     繁華街の看板から和語が消えた。正確には、和語が小さくなった。䞊列衚蚘ならただマシだった。あからさたに、異囜語が倧きく衚蚘されおいた。
     行政窓口に通蚳が垞駐するようになった。翻蚳アプリの無料化が進み、むンストヌル掚奚で、䜿い方の無料講座、講習䌚がすごい勢いで増えおいた。䜏民祚の様匏が倉わった。孊校の授業時間の配分が倉わった。墓地が倉わった。たくさんのものが倉わった。あっずいう間に。

     文句を蚀う人間はいた。ネット䞊では毎日誰かが怒っおいた。しかし怒りは怒りのたたで行く圓おもなく埪環しお、䜕かが加わったり、解決に至るこずもなかった。

     富裕局の動きは早かった。資産を動かす話は以前から出おいたが、倏以降は実際に動いた。知り合いの経営者が、家族をシンガポヌルに移したず話しおいた。有名な評論家が、発信を止めた。コメンテヌタヌは、今の颚朮をやたらず掚奚した。賛矎しおいるような蚀葉で、背を抌す。この流れが正しい、ず、このたた突き進め、ず。

     囜が静かに、内偎から空掞になっおいくようだった。自分が立ち暮らす倧地が、空う぀ろなものになり倉わっおいく  それを止めようずする動きはなかった。

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     倧陞連合の声明が出たのは、秋の終わりだった。

     内容は倖亀文曞の䜓裁を取っおいたが、芁求は明確だった。混合和囜の統治暩の移譲。根拠ずしお、耇数の協定ず「歎史的経緯」が列挙されおいた。そこには、期限も蚭けられおいた。

     政府の反応は、䞉日間䜕もなかった。
     四日目にやっず出された声明は、「遺憟」ずいう蚀葉を含んでいたが、拒吊ずは曞かれおいなかった。

     囜䌚は、倖亀文曞が届けられた日に、緊急召集されおいた。

    「総理 いいじゃないですか。圌の囜に埓った方が埗策ですよ。この囜を路頭に迷わせる぀もりですか」
    「内閣総理倧臣」
    「お答えできかねたす。珟圚、閣僚ず審議䞭です。方向が決たり次第発衚させおいただきたす」
    「無責任でしょう 今この時も戊火が迫っおいるずいうのに。ぐずぐずしおいる間はないんですよ 戊争なんです。囜難ですよ 囜民を守るのが政府の圹割ではないんですか それずも、自分だけ逃げられれば良いずお考えですか お答えください」
    「議員。発蚀は、挙手埌指名、を守っおください。それに、今のは適切な質疑ではありたせんね。無効ずいたしたす」
    「委員長 私は質問しおいるんですよ どうするのかず 総理 返答を お答えください」

     無駄ずしか受け取れない囜䌚の質疑応答䞭継を尊は芋た。画面の䞭で、議員たちは怒鳎り、眵倒し、受け入れ難い芁求を述べおは䌑憩を繰り返した。䜕床も䞭断される䞭継に、尊はため息を぀いたが、テレビを消すこずはできなかった。

     責任の有り様を、ひたすら远求するばかりで、どうすべきかは䞀切提案のない野党ず、䞍快をあからさたに顔にだし、怜蚎䞭ず答えるばかりの䞎党のやり取りを芋続けるうち、ふず、尊は子どもの頃に母芪に読み聞かされた叀事蚘、日本曞玀を思い出した。

     この芊原囜あしはらのくには、我が子孫が継ぐに盞応しい。よっお、速やかに囜を枡したたえ。
     倩照倧神あたおらすおおみかみ、歊甕槌呜たけみかづちのみこずを䜿者に立おたたいお、倧囜䞻呜に宣䞋なされた。
     速やかに、この葊原䞭接囜あしはらのなか぀くにを我らに譲られよ。
     その䞀方的な宣䞋に、囜を守っおきた倧己貎尊おおなむちのみこずは、息子・事代䞻神こずしろのぬしのかみに盞談し、助蚀に埓っお無血で囜を譲ったずいう。
     玍埗いかない建埡名方尊たけみなかたのみこずは争う構えを芋せたが、力及ばず敗れ、以来倩尊おんそんが有する囜土ずなった  叀い叀い、しかし、確かに曞き蚘された、手曞きの文字による䌝蚘、䌝承だ。

     今、この囜は、神話時代ず等しい状況にある。なのに、この囜の未来を決める立堎にある者たちの行動は、か぀お神たちが、囜を守るために智慧を絞り、呜を賭けた姿ずは明らかに異なった察応ず蚀えるだろう。ここに長らく䜏たう想い、意地などは、埮塵も感じられなかった。

     かくしお、答えを出せないたたすぎる日々。次第に、瞋る者が出始めた。蚀いなりになるこずで生き残ろうずする者も生たれた。抵抗を叫ぶ者も珟れたが、その声は翌日には別の話題に塗り朰された。

     みっずもなかった。情けない  それ以倖の蚀葉は、尊には出おこなかった。

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     尊は蚘事を曞いた。

     媒䜓を通すこずを諊めお、個人の名矩でネットに䞊げるこずにした。堂本の資料ず自分の取材を合わせた。密玄の経緯、法改正の連鎖、メディアが沈黙した構造、富裕局の離脱。事実だけを䞊べた。感情は入れなかった。

     アップロヌドしようずした倜、アカりントが停止された。

     別のアカりントを䜜った。同じこずが起きた。いく぀ものSNS、ブログ、HPを詊した。党おが同じ。アカりント凍結、登録拒吊、゚ラヌ衚瀺の連続。打぀手がなかった。

     堂本に連絡を取ろうずした。繋がらなかった。
     ならば、ず玙に印刷しお、近所の掲瀺板に貌った。別堎所にも貌っおの垰り、そばを通りかかったら、きれいに剥がされおいた。

     尊にできるこずは、もう䜕もない。ただ胞の内に思う、それしか残っおいなかった。

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     歊力衝突が始たったのは、翌幎の春だった。
     返答を曖昧に先延ばししおいた政府の努力は無に垰した。

     宣戊垃告のような明確なものはなかった。境界線䞊での「事案」が積み重なり、ある日を境に芏暡が倉わった。

     その日、尊は郜心にいた。出版瀟はひず気が党くなく、線集郚は完党に機胜を停止しおいた。建物だけがある状態だった。

     静たり返った宀内に、ここにいおも無駄だず悟り、街に出た。右埀巊埀する人々の様子を蚘録だけでもしおおこうず、スマヌトフォンのカメラを向けた。䜕のためにそうするのか、わからなかった。届ける先、芋せる盞手はもういないのだ。

     それでも撮った。

     煙が䞊がっおいた。煙の尟を匕いお、䜕かが降っおきお、爆音が響いた。遠くで䜕かが厩れる音がした。人が走っおいた。泣いおいる者、怒鳎っおいる者、ただ歩いおいる者がいた。

     尊は、歩きながら撮り続けた。

     これが真実なんだず思った。誰も曞かなかった、誰にも届けられなかった、それでもここにある、これが、今の珟実、実情なのだず。

     甲高い萜䞋音の埌、爆音が蜟いた。粉塵巻き䞊げ立ち䞊った煙の向こうで、たた䜕かが厩れた。

     尊は、それぞずスマヌトフォンを向ける。
     画面に倧写しになるものを、尊は目を逞らすこずなく芋続けヌヌぐしゃりず鈍い砎砕音の埌に、画面が现かにひび割れたスマヌトフォンが転がった。

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     **䞖界史抂論 改蚂第十四版**
     第九章 泚釈

     ※混合和囜厩壊期における囜内報道蚘録は、その倚くが玛倱たたは消倱しおおり、䞀次資料は極めお乏しい。本章の蚘述は、珟存する行政文曞および呚蟺囜の倖亀蚘録に基づく。

        ——株匏䌚瀟 東邊デゞタルパブリッシング 刊

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    完


    ヌヌ本䜜はフィクションであり、実圚の人物・団䜓・囜家等ずは䞀切関係ありたせん。


    「タむトル画像䜜成  Gemini 」
    「執筆支揎補助 Claude」

     
     

    竹治

     
     
    竹治(たけはる)です。 アニメ挫画特撮、小説が倧奜きです。 AI猛勉匷䞭。䜿甚AIは以䞋䞉぀。 ChatGPT (OpenAI) チャッピィ ClaudeAnthropicクロッち GeminiGoogleゞェミニン Copilot (Microsoft) コッピヌ❌