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短線小説 雚の日の傘

    冷たい雚が打ち぀ける倕暮れの駅前タヌミナル。
    傘を差しながらタクシヌ乗り堎の最埌尟に䞊んだずき、私は無意識にお腹ぞ手を添えおいた。
    ダりンコヌトの䞊からでも、そこが䞞く倧きく膚らんでいるのがわかる。
    劊嚠8ヶ月。少し歩くだけで足の付け根が痛み、腰が鉛を抱えたように重怠い。

    ​氎たたりに反射するネオンをがんやり眺めおいるず、すぐ前に䞊んでいたふたり組のおばさたがくるりず振り返った。

    ​「あら、もうすぐね」

    「䜕ヵ月」

    ​目元に枩かいシワを刻んだおばさたが、私の䞞いお腹に芖線を萜ずしお優しく埮笑む。

    ​「8ヶ月です」

    ​私が答えるず、ふたりは顔を芋合わせお倧きくうなずいた。

    ​「そう、ほら私たちの前に䞊びなさい。寒いでしょう、早く乗りなさいな」

    「えっ、いえ、そんな ちゃんず順番を埅ちたすから」

    ​恐瞮しお手を振る私を、おばさたたちは「いいのいいの」ず背䞭をポンポンず叩いお前に抌し出した。するず、そのさらに前に䞊んでいたトレンチコヌトの若い男性が、状況を察しお振り返った。

    ​「どうぞ、僕も別に急がないので、前にいっおください」

    ​爜やかな笑顔で譲っおくれる男性に、おばさたふたりのテンションが跳ね䞊がる。

    ​「あらヌ 男前ねあなた」

    「埳を積んだわね 近いうちに絶察良いこずあるわよ」

    ​倧音量の耒め蚀葉が雚音を突き砎っおタヌミナルに響き枡る。
    男性は照れくさそうに頭をかき、呚囲の埅ち客たちも䜕事かず芖線を向けた。
    事情を察した呚囲の人々の衚情が、次々ず柔らかいものに倉わっおいく。

    ​「私のもどうぞ」

    「僕も倧䞈倫ですよ」

    ​声が連鎖するように広がり、おばさたふたりが「ありがずね」「お兄さんも優しいわぁ」ず賑やかに私を前ぞ促す。

    ​も、モヌれみたいになっおる  

    ​混雑するタクシヌ乗り堎の傘の列が、私の前で巊右に割れおいく。

    申し蚳なさず感動ず、そしおおばさた方の圧倒的な゚ネルギヌに抌されながら、私はぺこぺこず䜕床も頭を䞋げおその「海」を進んだ。
    あっずいう間に、私はタクシヌ乗り堎の先頭に立っおいた。
    滑り蟌んできた黄色いタクシヌのドアがぷしゅヌず開く。

    ​「ありがずうございたす  」

    ​埌ろを振り返り、列を぀くる党員に向かっお深くお蟞儀をした。

    先ほど譲っおくれた男性も、芋知らぬ䌚瀟員のおじさんも、そしお列のあちこちから枩かい拍手が小さく沞き起こった。
    最埌尟の近くから、おばさたが倧きく手を振っおいるのが芋えた。

    ​乗り蟌んだタクシヌのシヌトは柔らかく、暖房の熱気が冷え切った身䜓を包み蟌む。
    ぜん、ずお腹の䞭で小さく力匷いキックを感じた。たるで「あたたかいね」ず喜んでいるみたいだった。

    ​「お客さん、なんだかすごい歓迎ムヌドでしたね」

    バックミラヌ越しに運転手さんが笑う。

    ​「はい  すごく、枩かい人たちばかりで」

    ​窓の倖を芋るず、雚のタヌミナルで順番を埅぀人たちの姿が芋えた。あの男前の男性も、賑やかなおばさたたちも、ただ雚のなかで䞊んでいる。

    ​「運転手さん」

    「はい」

    「この街、今日すごく優しいです」

    ​そう呟いおお腹をさする。

    䞖界は時々、思っおもみない方法で海を割っお、芋たこずもない優しさの道を芋せおくれるらしい。

    私は車窓を流れる雚の街明かりを眺めながら、ただ芋ぬ我が子に「䞖界はこんなに枩かいんだよ」ず心の䞭でそっず語りかけた。



    #拝啓文芞郚

    Mr.Qさんからの参加型䌁画から今回も玠敵なお題を頂きたした。
    ありがずうございたした。
    良かったらたくさんの䜜品が玹介されおたすので、ぜひ遊びに行っおみおください。


     
     

    liar

     
     
    䞻に短線小説を曞いおたす。 ゞャンル問わずなので、気に入っおくれたら、たた読みに来おください。 読むのも奜きなので、いろんな曞き手さんの䜜品にも出䌚いたいです。 フォロヌもしお貰えたら嬉しい、よろしくお願いしたす。

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