
ダムと、桜と。
コンクリートは、冷たい。
それは当たり前のことで、
誰も疑わない。
でも春になると、
その壁のすぐそばで
桜が咲く。
何も知らないように。
何も気にしないように。
人間が水を堰き止めた場所に、
花が来る。
毎年、来る。
壁に触れるわけでもなく、
ただ、そこに咲いて、
また散っていく。
ふと、一曲が頭に流れた。
The Clashの”The Card Cheat”。
カードで不正をした男の死から始まり、
戦場で名もなく倒れた者たちへと
視点が広がっていく曲。
パンクバンドが、
オーケストラで、
忘れられた人間を悼む。
壊れているのに、美しい。
どちらが永いのだろう、と
ふと思う。
コンクリートの時間と、
桜の時間。
きっと答えは出ない。
だから今日も、
二つは並んで、
青い空の下にいる。