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アンリが旅に出る理由(第一話)


    #創作大賞2026 #エンタメ原作部門

    あらすじ
    山村アンリ(17)は平凡な高校2年生であったが、
    ある時を境に地獄へ落とされるこ ととなる。

    実はアンリの住む日本では「連座法」と言う「犯罪を行った者の家族に罰が及ぶ」江戸時代さながらの連座制度が施行されていた。

    さらに凶悪犯罪等の重犯罪の場合、犯人には切腹が促されるが、犯人が切腹を拒否した場 合、その家族が「追放人」とされ人権剥奪、全財産の没収と法の適用外の人間とされてし まうのであった。

    そんな中、アンリの慕う兄、山村累(20)が
    児童連続殺傷事件「サクラガワ事件」の 犯人である事が判明。

    多くのメディアが押しかけ、アンリは学校でも街でも迫害される。

    あくまでも兄の無実を信じるアンリであったが実は、累は快楽殺人者であった。
    家族の手で累を殺せば、アンリの母も父も「追放人」から解放される。

    そのためアンリは累を殺そうとするが 結局できず累は逃走。

    その後、父の雅夫は暴徒に襲われ撲殺される。

    「累を殺さなかったため父は殺された」

    と後悔するアンリは、累の殺害許可書、ミソギ許可書を取得。

    アンリはを累を殺す旅に出ることを母に伝え去


    本編・シナリオ

    〇黒背景
    T・西暦20××年。
    拡大した経済格差と長年の国力衰退、外国との紛争により日本は軍事クーデターが勃発。伝統回帰を掲げた軍事政権は悪化した治安を回復させるため、凶悪犯罪に対し、みせしめとして江戸時代の「連座制」と「切腹」を復活させた・・・・・・。

    〇スタジアム・全景(夜)

    〇スタジアム・内部
       暗く静まり返ったスタジアム。
       5万人の席は満席。
       ステージに立つ司会者。
       司会者の横で怯えるお婆さん(76)。
       ライトが司会者に当たる。
    司会者「レディースアンドジェントルメン!」
       音楽隊が賑やかに演奏を開始。ピエロを先頭にパレードが開始。
       観客は大盛況。笑顔の司会者。会場の真ん中には震えたお婆さん。
    司会者「さあ本日の主役、神田博。そのお母様がこちらです!」
       司会者はお婆さんにマイクを渡すがお婆さんは号泣。
    司会者「おやおや?息子さんの罪。お分かりですよねぇ?」
       ステージには白装束姿の神田博(46)が大柄な刑務官に引き連られてくる。
    司会者「おおっ。神田です! 神田がやって来ました!」
       大ブーイングの観客。刑務官の腰には日本刀。
       神田は顔面蒼白。スタジアムの画面に映し出される4人の笑顔。
    司会者「皆様。黙祷を」
       静まりかえる会場。
    司会者「5年前の今日です。あの笑顔の4人はこの通り魔、神田博に命を奪われました。イライラしてたというあまりにも身勝手な理由で・・・」
       すすり泣きが会場に響く。
    司会者「さあ。神田博。アナタが最後にやるべきことは?」
       刑務官が短刀を神田に持たせる。
       震えあがる神田。泣き叫ぶ神田
    神田「いやだ! 死にたくない! 許してください!」
       泣きじゃくり土下座する神田。ブーイングの会場。
       司会者はお婆さんの顔を蹴り上げ、お婆さんは鼻血を出し倒れる。
       司会者は冷酷に話す。
    司会者「テメエが腹切らねえと、このババアが追放人になるぞ。あ?」
       怯えるお婆さんを見て神田は決意の顔。
    神田「ぐぐぐぐぐ。ぐああああああ」
       神田は腹に刀を刺す。同時に刑務官が刀で神田の首を斬り落とす。
    司会者「おおおっ! 神田はミソギを払いました! お母さん。アナタの人権は守られました!」
    お婆さん「博! 博! 博! 博!」
       お婆さんは神田の首を抱きしめ号泣。観客は拍手喝采。

    〇飲み屋(夜)
       暗く薄汚れた飲み屋。人相の悪い客達。
       店主がテレビを見ている。テレビでは司会者がカメラ目線で語る。
    司会者「全国の皆さん。凶悪犯罪を犯すことは家族の人権も奪う事になります。そのことを肝に銘じて・・・・・・」
       席でバンダナを頭に巻く山村アンリ(19)がテレビを消す。
       小柄の美少女。
    店主「おいおい!なんで・・・・・・」
       鋭い目つきで店主を睨むアンリ。
       店主は仕事に戻る。
    アンリ「この男。知らない?」
       アンリは山村累(20)の写真を出す。
       首を振る店主。ため息をつくアンリ。
       人相の悪い客A、B、Cが店に入ってくる。
       客Cはアンリの肩に腕をかけるがアンリはその腕を払う。
    客C「ふられちゃった。さみしぃ」
       客Cはアンリの写真を奪う。
    アンリ「返しなさい」
    客A「おお、こわ」
       からかう客A。客Bが写真を見て驚く。
    客B「おいっ!これ、山村累だ!」
    客C「山村累って。あの山村累?」
       客Bはアンリのバンダナをはがす。
       アンリのおでこには七色の鎖の刺青。
    客A「マジか!この女、追放人だ!」
    客C「オマエ。山村累の家族?」
    アンリ「だったら?」
       平静なアンリ。にやつく客達。
    客C「今夜はついてるな。こんな美人に人権無いなんて」
       客達はナイフを取り出す。
    客A「大人しくしろ。殺しはしねえ」
    客B「売られた後は知らねえけど」
       下卑た笑いの客達。だが隙を見てアンリは客Aの股間を蹴り上げる。
    客A「ぐおっ」
       うずくまる客A。
    客B「て、てめえ」
       すかさず客Cの顎を蹴り上げるアンリ。
       失神する客Cのナイフを取り、客Bの喉へ。震えあがる客B。
    アンリ「アタシら追放人もね。正当防衛の権利は残されてんの。このまま喉笛掻っ切ろうか?」
       足が震える客B。
    アンリ「失せな」
       逃げていく客B。驚いている店主。
    アンリ「邪魔したわね」
       アンリは店を出て行く。

    ○ 駐車場(夜)
       アンリはバイクのエンジンをかける。
       地図を確認するアンリ。
    アンリ「今度こそ」
       アンリは累の写真を見る。
    アンリ「殺す」
       アンリはバイクで去っていく。

    ○倫道高校・全景
       T・二年前

    〇同・2年A組
    スクリーンに映し出される映像。
       映像は戦争と原子爆弾の投下映像。
       授業をする浅田山門(29)。
       生徒の中に山村アンリ(17)、佐竹美琴(17)。
    浅田「こうして第三次世界大戦の後、衆愚政治を起こした民主主義は脆くも崩れ去った。一方、新たな世界秩序はテロや凶悪犯罪を誘発することとなった」
       浅田は前に乗り出す。
    浅田「そこで我々は治安回復のため、ご先祖様の知恵を借りようと江戸時代の制度を復活させたわけだ」
    美琴「江戸時代の制度?」
    浅田「みんながよく知る『連座法』だ。犯人の家族に罰が課せられる制度のことだな」
       クラスのどよめき
    浅田「残酷なようだがこの制度。専門家によると『犯罪者も家族が大切』ということで、とても抑止力になっているそうだ」
       皆、納得している。
    浅田「では凶悪犯罪や重大なテロの場合、犯人はどうなる?」
    美琴「死刑、はもう無いんでしょ?」
       考える美琴。
    浅田「誰か分からんか?」
       再度起立するアンリ。
    アンリ「ハイ。犯人に切腹が促されます」
    浅田「さすが、山村。死刑が無い今。切腹も江戸時代の知恵の一つだな」
    浅田「では犯人が切腹を拒んだ場合は?」
       アンリは答えようとするが授業終了のチャイム。
    浅田「じゃ今日はここまで」
       生徒達は立ち上がる。
    浅田「皆もお互いの監視を忘れずに。疑わしきは密告。忘れるなよ」
       はーい、という皆の声。
    浅田「あと来週までにレポート5枚もな」
       「えーっ」という嫌がる皆の声。

    〇享宝大学・全景

    〇同・医学部・解剖室
       白衣を着た医学生達がラットを解剖。テキパキ解剖をする山村累(20)。
       医学生は顔色が悪い。
       累は穏やかな笑顔。
    医学生「俺ダメ。全然、慣れない」
       吐きそうになる医学生。
    累「俺。やっとくよ」
    医学生「す、すまん。頼んだ」
       医学生は口を押え急ぎ解剖室を出る。
       累は口に笑みをたたえ解剖を続ける。

     
     
    脚本小説書き。第2回北杜市シナリオ佳作、第12回小説でもどうぞ最優秀賞https://koubo.jp/article/9348、「54字の物語11」掲載、ノースアジア文学賞優秀賞、第49.51回城戸賞最終。

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