
「ティコが撮れるなら、土星も撮れるはず。」――コンデジで挑戦してみた
月面の「ティコ」という
クレーターを聞いたことがありますか。
満月の頃になると「ティコ」を中心に
数千キロにわたって白い筋(光条)が
広がっているのが双眼鏡でも
はっきりと観察できます。
下の写真は、半月のときですが、
月の中でも有名なクレーターで
直径約80kmと言われています。

昔、天文雑誌か何かで、
こんな風に書かれていました。
「ティコ」というクレーターと「土星」は、
同じくらいの大きさに見える。
だったら――
土星だって、撮れるんじゃないか。
と僕は思った。
上の月を撮ったカメラは、
Canon PowerShot SX70 HS。
いわゆる
コンパクトデジタルカメラ、コンデジだ。
僕の頭の中は、いつの間にか
この実験でいっぱいになっていた。
そして、もう一つ。
僕は、手持ち撮影にちょっと自信があった。
どうせならと、今回は、
三脚を使わないことにした。
問題は、土星を望遠最大まで拡大すると、
ほんの少しカメラが動いただけでも、
画面の中から土星が逃げていくことだった。
手で持っているだけでは、どうしても揺れる。
そこで僕は、カメラを地面に押し付けた。
カメラそのものをできるだけ
動かさないようにして、ファインダーを覗く。
土星を探す。合わせる。
少し動く。また探す。
そして、シャッターを切る。
そんなことを繰り返した。
今思えば、ずいぶん原始的な方法だ。
でも、僕はこういうことが嫌いではない。
「高性能な機材がなければ撮れない」
ではなく、
「今あるもので、どこまでできる?」
と考える。
写真を撮っていると、
そんな遊び心が出てくることがある。
そして――
撮れた。
小さい。
ものすごく小さい。
「これが土星です」と言われなければ、
見逃してしまうくらい小さい。
でも、その小さな光の中に、確かに何かがある。
拡大してみる。
すると――
輪が見える。
思わず、笑ってしまった。
「本当に写った……」
もちろん、天体望遠鏡で撮影した
土星とは比べものにならない。
細かな模様が見えるわけでもない。
輪の構造を詳しく観察できるわけでもない。
それでも、僕にとっては十分だった。
なぜなら、最初から
「きれいな土星の写真を撮ろう」と
思っていたわけではないからだ。
「コンデジで、土星の輪まで届くのか?」
それを試してみたかった。
そして、届いた。
三脚も使わず、地面にカメラを押し付けて。
たった一枚の小さな写真。
僕がコンデジで撮ったのは、
ほんの小さな土星だった。
けれど、その小さな写真の中には、
「やってみたら、できた」
という、ちょっとした喜びが写っている。
土星が撮れてしまった。
そうなると、人間は欲が出る。
「じゃあ、金星は?」
「木星は?」
調子に乗った僕は、同じ方法で撮ってみた。
月(ティコ)・土星・金星・木星を1枚の写真にしてみました。
ここからは、
実際に撮れた写真を見てください。
小さなコンデジで、
三脚も使わず、
地面にカメラを押し付けて撮った、
僕の「宇宙」です。
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