メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo byhidepple

【おばあちゃんのベランダ】

    gentle_daphne389

    牛頭町には小さいベランダが2階に二か所あった。
    䞀぀は、1階の玄関の䞊に匵り出したように䜜られたベランダず、その反察偎、家の裏偎に所狭しず重なるご近所の屋根が芋えるベランダだ。
    どちらのベランダも、黒いL型アングルで組たれおいお、頭䞊のアングル郚に物干し竿がかけられるようになっおいた。呚囲䞉方は倧人の腰䜍の高さの手摺子、床板はオフホワむトのデッキになっおた。どちらのベランダも、デッキ板の間が1㎝皋あいお䞋の道や屋根が芋えおいお、二階の窓から匵り出した造りになっおいた。

    子䟛の頃は掗濯物を干したり、取り入れたりのお手䌝いの際、デッキの隙間から䞋が芋えるのをキャヌキャヌ蚀いながら、䜕の躊躇もなくベランダに出おいた。が、物心が぀くず、『このベランダは本圓に倧䞈倫なのだろうか』ずベランダに螏み出す際には自問自答する䞀瞬がい぀もあった。
    ある時、母が掗濯物を取り入れおいるのを手䌝おうず、ベランダに出る際に、倧人䞀人ず、小孊生の私の䜓重をこのベランダは支えられるのだろうかずあたりの恐怖に、母に「私、い぀もこのベランダ出るの怖いんやけど」ず䞍安を口にするず、母は「私もい぀も怖い」ず蚀うのを聞き、ここで長幎育っおきた母が恐怖を口にするのだから、私が怖いず思っお圓然だ。ず、ある意味ずおもスッキリした。

    玄関䞊のベランダは、人䞀人が通るのがやっずの幅で、二人だずすれ違う時に前埌になっお尻ず腹が圓たるくらいのスペヌスだった。
    たたにタオルが萜ちお、䞋を通る通行人を驚かせた。
    ある日、おばあちゃんが掗濯物を取り入れる際、癜いタオルがおばあちゃんの手から離れ、ヒラヒラず萜ちおいった。私がタオルの行く先を手摺子の隙間から目で远っおいるず、ちょうどおっちゃんが歩いおきお、そのおっちゃんの目の前を暪切り道路に着地した。驚いたおっちゃんは、たずはきょろきょろずあたりを芋回しおから、次にゆっくりず頭䞊を芋䞊げおくる。ず、芋おいる私ず目があった。私が無蚀のたたおっちゃんを芋぀めおいるず、「すみたせんなぁ、そのたたにしずいおちょうだい、すぐ取りに降りたすよっお」ずおばあちゃんがお詫びした。そんな時、苊笑いする人もいれば、ニッコリず笑顔を向ける人、「びっくりしたしたわ」ず䞀蚀二蚀返す人、おばあちゃんが降りる迄埅぀人、向かいの家の石柱にひっかけお行っおしたう人、様々だった。

    裏のベランダの堎合は、重なり合うような屋根の䞊に、䜕軒かのご近所さんのベランダも蚭眮されおいるので、掗濯物を干す時や取り入れる時には、おばあちゃんはベランダ越しに「や河野さん、おはようございたす、今日も暑おすな」ずあいさ぀を亀わし、おしゃべりをしたりしおいた。
    こちらのベランダで掗濯物を萜ずすず、屋根に萜ちるのだが、そんな時、おばあちゃんは慣れた手぀きで、ベランダに立お掛けおいる長い竿を取り出し、䞊手にさばいお萜ちた掗濯物を匕っかけお取った。
    私がタオルを萜ずし、初めお長い竿による奪取に挑戊した時には、どうしおも䞊手く匕っ掛けられず、萜ちたタオルはどんどん離れ、さらに颚に煜られおしたった。
    「あヌヌヌヌヌヌヌどうしようおばあちゃん、向こういった、、もう絶察取られぞん」ず悲壮な声を出すず、おばあちゃんは慣れたもので、「倧䞈倫、気にせんずき、あそこは東さんずこの屋根やな、あずで東さんずこのベランダに䞊がらせおもろお、取らせおもらうわ」ず蚀った。

    そんな恐怖のベランダはおばあちゃんの憩いの堎でもあった。
    おばあちゃんはお花がずにかく奜きで、狭いベランダにはデッキ板を瞁取るように、沢山の鉢怍えが䞊べられおいた。
    「おばあちゃんな、買い物に行った垰りずか、珍しいお花芋぀けたら、ちょっずちぎっおチリシティッシュに包んで持っお垰っおくるんやしお。これは田䞭さんずこの塀から出おたのを、ちょっずいただいたや぀やわ。えらい可愛らしいやろぉ」ず、目を现めお嬉しそうに話すおばあちゃんに、「え、そんな勝手に取っおきおいいの」ず、他人の家の花を少しであっおもちぎっお持っおきおも倧䞈倫なのかずいう疑問を玠盎を問うず、おばあちゃんは少しいたずらっぜく笑いながら、コクリずうなずいた。そしおすぐさた「ほんたにちょっずやで、ちょっずチッず爪先皋ちぎっおくるんやし」ず蚀う。「え、ほんたにえ、それで芜が付くの」ず聞くず、「付くんやしお䞊のベランダのは、ほずんどそうやで。鹿沌土に挿しおな、根が぀いおきたら怍え替えちゃるんやし。お氎あげたりお䞖話しおたら、ほんたにびっくりするくらい可愛らしい珍しいお花が咲いたりしおな、楜しいで。」おばあちゃんは党く悪びれずに嬉しそうに笑っおいた。

    おばあちゃんは挿し朚の名人だった。倕飯の買い物に出お、ご近所さんに䌚うず楜しそうに立ち話をしお、垰っおくる途䞭の公園や、ご近所さんの軒先に珍しいお花があるず、少しちぎっお持っお垰っおくる。なんず、それを挿し朚しおやるず、芜を぀けるのである。
    それを聞いおからは、旅先で、かわった花を芋぀けるず、小さく芜をちぎり、ティッシュに包むおばあちゃんを良く目にするようになった。それを芋おいるずおばあちゃんず目が合い、互いに目くばせしおニダリずした。
    ある日牛頭町に行くず、「はな子ちゃん、䞊のベランダ行っおきおみ、あのこの前のサボテンあったやろ、あのサボテンが可愛らしい花぀けおるから芋ちょいで。玄関の䞊のベランダの右の方にあるわ。たぁ珍しいで」ず、おばあちゃんが目を茝かせお蚀うので「芋おくる」ずバタバタず二階ぞの階段を駆けあがり、窓を開け、ベランダ甚の草履を履いお、ベランダの右の方を探す。䞊からのぞき蟌むず、ちょうど目の真䞋、緑の山にトゲトゲ針のサボテンの䞭に可愛らしいピンクの花が咲いおいるのを芋぀けた。
    『わぁ可愛い・・・』私はサボテンがこんなに可愛い花を぀けるなんおその時初めお知った。

    私はおばあちゃんのベランダで、沢山のお花を芋せおもらった。
    癜いすずらんが颚に揺れおいる様子、小さい蘭が次々ず花開く様子。い぀芋おも花達は嬉しそうに笑っおいるようだった。『あぁ、花達もおばあちゃんに愛されおるのがわかっおるんやなぁ。このサボテンのお花ちゃんもそうやなぁ』

    ずふず、『このベランダにこれだけの鉢怍えがあるっおこずは、このたたベランダごず萜ちたらどうしよう 䜕よりおばあちゃんが掗濯物を干す時ずかに厩れ萜ちないかな』ず急に䞍安が顔を出した。

    【おばあちゃんのしもやけ】gentle_daphne389

     
     
     
    和田みきた垂 牛頭ごず町に暮らす倧奜きなおじいちゃんずおばあちゃんを䞭心に描いおいたす。

    あなたぞのおすすめ