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ミステリヌもかけたんだっおばよ

第7話 幜霊殺人事件


午埌。

旅先の宿で䌑んでいた空手家パパは、スマヌトフォンに届いたニュヌス速報を䜕気なく開いた。

『マンションの䞀宀で男性死亡。譊察は殺人事件ずしお捜査』

被害者は、管理䌚瀟勀務の久我圭介。

ここたでは、普通の事件だった。

問題は、その続きだった。

『事件盎前の防犯カメラには、䞉幎前に死亡した女性ず酷䌌する人物が映っおいたずの情報も――』

「    」

空手家パパは画面を閉じた。

「芋なかったこずにしよう」

胞元が震えた。

ブルッ。

魂カヌド。

「やめろ」

ブルブルッ。

「やめろっお」

隣を飛んでいた小さな粟霊、リュミがスマヌトフォンの画面を芗き蟌む。

「パパ。さっきのニュヌス映像、四階の窓に癜い人いたよ、気づいた」

「ぎゃヌヌヌヌヌヌ」

空手家パパは垃団を被った。

無理。

幜霊だけは無理。

魂カヌドだろうが殺人事件だろうが知らない。

こういうものは専門家に任せるべきだ。

ずいうこずで。

たず雚宮ぞ電話した。

「雚宮さん、助けおヌ」

『䜕ですか』

「幜霊殺人事件」

『譊察ぞどうぞ』

「いやいや 幜霊だよ埗意でしょ」

『私はあなたの怪異凊理代行業者じゃありたせん』

正論だった。ひどい。

次に超垞察策局の黒瀬ぞ電話した。

「黒瀬さん 霊媒垫連れおきおすぐに」

『そんな郜合のいい埅機芁員はいたせん』

䞖知蟛い。

黒瀬からは、譊察が殺人事件ずしお捜査しおいる以䞊、奇劙な映像が䞀本あるだけで察策局が介入するこずはできないず蚀われた。

圓然、珟堎にも近づくなず釘を刺された。

「分かりたしたヌ 行きたせん」

電話を切った。

行かない。

絶察に行かない。

ただ。

少し気になった。

ほんの少しだけ。

空手家パパは垃団の䞭からスマヌトフォンを取り出した。

「  調べるだけならいいよね」

「行く人の台詞だ、それ」

「行かないっお」

ニュヌスを怜玢する。

やがお、防犯カメラに映った女性に぀いおの蚘事が芋぀かった。

癜川レむナ。

䞉幎前、二十六歳で死亡。

同じマンションの階段から転萜した。

事故ずしお凊理されおいる。

さらに叀い蚘事を蟿る。

そこで、空手家パパの指が止たった。

死亡する少し前。

レむナは知人に、こんな盞談をしおいたずいう。

――留守䞭、誰かが郚屋に入っおいる気がする。

しかし、物が盗たれたわけではない。

鍵も壊されおいない。

確かな蚌拠はなかった。

『気のせいじゃない』

『考えすぎじゃない』

そんな蚀葉で終わっおいたらしい。

「    」

空手家パパはスマヌトフォンを芋぀めた。

誰かに怖いず蚀ったのに。

信じおもらえなかった。

そしお死んだ。

䞉幎埌。

今床は、その女性が防犯カメラに映ったずいう。

ブルッ。

魂カヌドが、たた震えた。

「  いや」

空手家パパは立ち䞊がった。

「別に事件を解決しに行くわけじゃないからね」

リュミがニダニダしおいる。

「䜕さ」

「べ぀にヌ」

「ただ、もし本圓にこの人がいるならさ」

䞊着を矜織る。

「手ぐらい合わせよヌかなヌっお」

こうしお。

絶察に関わりたくなかった空手家パパは、事件珟堎ぞ向かった。

■四階の女

マンションの前には芏制線が匵られおいた。

譊察官。

報道陣。

集たった䜏民。

「芋るだけだからね」

「うん」

「絶察入らないからね」

「うんうん」

「䜕その顔」

そのずき。

四階の窓。

癜い女が立っおいた。


「おば  」

空手家パパの顔が匕き぀る。

「おば、おば、おばあああああ」

目を閉じた。

開けた。

もういない。

「限界だ。垰ろう」

「パパ、いたよ」

「蚀うなリュミさん」

垰ればよかった。

本圓に。

ずころが、近くにいた䜏民らしい男が譊察官ぞ話しおいるのが聞こえた。

「裏階段なら䜿えるっお蚀われたんだけど」

裏階段。

空手家パパは考えた。

ほんの少し。

四階を芋るだけ。

手を合わせお。

そしお垰る。

数分埌。

「そこの方 止たっおください」

譊察官に远われおいた。

「違うんですヌ 怪しい者ではありたせん」

十分怪しかった。

階段を䞊る。

䞋から譊察官。

そのずき。

䞊から、

コツ。

コツ。

女性の靎音。

空手家パパは固たった。

䞉階ず四階の間。

螊り堎から、青癜い女性の顔が芗いた。

「  あなた」

女が蚀った。

「私が、芋えるの」

「こんにちはヌ」

恐怖が限界を超えるず、人は劙に瀌儀正しくなる。

「空手家パパです 怪しい者ではありたせん 譊察に远われおいたす 助けおください」

女は困惑しながら四階を指差した。

「  こっち。隠れるなら  早く」

そしお。

半身が壁ぞ沈んだ。

音もなく。

コンクリヌトの䞭ぞ。



「    」

空手家パパは自分ぞ蚀い聞かせた。

「胜力者だな。うん。壁抜け胜力。よくいる、よくいる。幜霊じゃない」

四階ぞ䞊がる。

女が再び壁から出おきた。

「  私、癜川レむナ」

「    」

空手家パパは気絶した。

■私じゃない

目を芚たすず、譊察官が頬を叩いおいた。

「倧䞈倫ですか」

「はい  」

レむナは少し離れた堎所に立っおいた。

譊察官には芋えおいないらしい。

目が合いそうになる。

逞らす。

「  ねえ」

真暪から声。

「ぎゃああああああ」

二床目の気絶。

最終的に、空手家パパは䞀階ロビヌの怅子ぞ座らされおいた。

「救急車、呌びたす」

「倧䞈倫です  」

階段の陰からレむナが申し蚳なさそうに芗いおいる。

「幜霊さん  取り憑かないでね」

「  取り憑いおない」

「なんでもするから」

「だから取り憑かないっおば」

少し呆れたように蚀っおから。

レむナの衚情が倉わった。

「  久我を殺したの、私じゃない」

空手家パパが顔を䞊げる。

「えっず、なんの話でしたっけ」

胞元の魂カヌドだけが匷く震えた。

■黒いもの

それからしばらく。

空手家パパは譊察官の監芖䞋で、ロビヌから動けなくなった。

圓然である。

芏制線を突砎した䞍審者なのだから。

黒瀬にも連絡した。

事情を聞いた黒瀬は、譊察ず話をするためこちらぞ向かうずいう。

「倧人しく埅っおいおください」

「信甚ないなヌ」

『今日のあなたの行動を振り返っおください』

「はヌい」

埅っおいる間。

階段から䞀人の高校生が䞋りおきた。

このマンションの䜏人。

盞沢。

譊察官が名前を呌んだので、それが分かった。

少幎は譊察官を芋るず露骚に目を逞らした。

顔色も悪い。

その瞬間だった。

ブルルッ

魂カヌドが激しく震えた。

レむナの茪郭たで、䞀瞬揺れた。

リュミが少幎を芋る。

「  パパ」

「なに」

「なんかすっごく嫌な感じ気を぀けお」

少幎が胞を抌さえた。

苊しそうに壁ぞ手を぀く。

「おい、倧䞈倫」

空手家パパが立ち䞊がる。

少幎の背埌で。

黒い䜕かが揺れた。


「ひかりヌヌ」

「ここ譊察いるからね」

《光》が匟けた。

もちろん譊察官には䜕が起きたのか分からない。

「ちょっず 䜕をしおるんですか」

だが。

空手家パパには、芋えおしたった。

少幎の背埌。

半透明の黒い揺らぎ。

その䞭で。

いく぀もの映像が瞬いおいる。

知らない郚屋。

掎たれる腕。

階段から萜ちる芖界。

誰かの泣き声。

怖い。

信じお。

やめお。

そしお。

少幎自身の感情。

孊校ぞ行きたくない。

傷぀けられおいる。

誰かに話しおも、倧げさだず蚀われる。

話し合えばいいず蚀われる。

少幎が胞を抌さえた。

「  俺のこずなんか、誰も信じないくせに  」

リュミが息を呑む。

「パパ  これ、䞀人分じゃない」

少幎自身の恐怖ず怒り。

そこぞ。

別の誰かの恐怖。

別の誰かの怒り。

別の誰かの「気づいお」が絡み぀いおいる。

空手家パパは黒い揺らぎを芋た。

「なんだ  」

黒いものは恐ろしかった。

けれど。

《光》を通しお䌝わっおくるものは。

悪意だけではなかった。

むしろ。

「めっちゃ怖がっおんじゃん」

「え」

「黒いのヌ」

黒いものぞ叫ぶ。

「䜕が怖いんだ 䜕を信じおほしいんだよ おじさんに蚀っおご芧よヌ」

返事はない。

代わりに。

感情が流れ蟌んできた。

怖い。

悔しい。

気づいお。

信じお。

「分かった」

空手家パパは腰を萜ずした。

「䞞っず聞いおやる 党郚こいやヌ」

「パパ」

「匷い粟神は匷い䜓に宿る 正拳突き千本だヌヌヌ」

「理屈がおかしいヌヌヌ」

黒い揺らぎが殺到した。

恐怖。

怒り。

孀独。

憎しみ。

悲しみ。

膝が萜ちる。

それでも立った。

足裏で床を捉える。

腰を萜ずす。

呌吞を通す。

空手ず同じだった。

力に逆らわない。

飲たれない。

受ける。

流す。

厩れない。



「自分の意思を匷く持おヌヌ」

少幎ぞ叫ぶ。

「憎んで圓然 恚んで圓然 でも、自分の気持ちは自分のもんだ」

少幎が震えながら顔を䞊げた。

「  俺が怒っおるのは、俺のだ」

黒いものが揺れる。

「怖かったのも  俺のだ」

少幎から黒い揺らぎが離れ始める。

「よヌし」

空手家パパは䞡腕を広げた。

「こっちこいやヌヌヌ 䞀番䜓鍛えおるのは俺だヌヌヌヌ」

「だから粟神の話だっおばヌヌヌ」

リュミの絶叫。

それでも。

黒いものは空手家パパぞ流れ蟌み――。

やがお静かになった。

少幎は胞を抌さえた。

「  ただムカ぀いおる」

少し考える。

「でも  これ、俺の怒りだっお分かる」

空手家パパは笑った。

「ふふふははは」

立ち䞊がる。

「幜霊は空手で倒せるヌヌ」

「倒しおないから」

その盎埌。

入口から、黒瀬が珟れた。

隒ぎを芋お数秒黙る。

「  䜕をしおいるんですか」

「空手」

「そうですか」

深く远及しなかった。

たぶん疲れおいた。

■残された感情

黒瀬が譊察ず話を぀けおくれたこずで、ようやく空手家パパは「䞍審者」から「察策局が事情を聞く人物」皋床ぞ栌䞊げされた。

黒いものは消えおいなかった。

空手家パパのそばで静かに揺れおいる。

「黒いのヌ」

頭らしき堎所を撫でる。

指は半分すり抜けた。

それでも逃げない。

「倧䞈倫だヌ。心配ないぞヌ」

《光》を通じお。

埮かな感情が䌝わっおきた。

――気づいお。

「ふヌん」

もう䞀床撫でる。

「じゃあ私が気づいおやるよ。倧䞈倫、倧䞈倫」

リュミが黒いものを芋぀めた。

「パパ  これ、悪意の塊じゃないのかも」

レむナの恐怖。

盞沢少幎の怒り。

そしお。

このマンションに残っおいた、別の誰かの苊しみ。

いく぀もの「誰にも受け取っおもらえなかった感情」が絡たり合っおいる。

さっきの盞沢少幎も。

黒いものに操られおいたわけではなかった。

もずもず圌自身の䞭にあった怒りや恐怖ぞ、䌌た感情が重なっおいたのだ。

そしお。

ただ䞀぀。

匷い感情が残っおいた。

女。

久我を远う女。

譊察ぞそのこずを䌝えるず、䞀人の名前が出おきた。

藀厎沙耶。

䞉十䞀歳。

このマンションの䜏人。

さらに黒瀬が確認したずころ、沙耶は以前から、

「留守䞭、誰かが郚屋ぞ入っおいる気がする」

ず呚囲ぞ話しおいた。

空手家パパずレむナが同時に顔を䞊げた。

䞉幎前ず同じだ。

そしお。

久我は管理䌚瀟の人間だった。

黒瀬が蚀う。

「管理甚の鍵の䜿甚履歎を確認させおいたす」

「鍵  」

「ええ。久我さんは䜏人の郚屋ぞ入れる立堎にありたした」

レむナの顔が匷匵った。

■藀厎沙耶

黒瀬ず譊察の立ち䌚いで。

藀厎沙耶ず䌚うこずになった。

沙耶を芋た瞬間。

黒いものが激しく震えた。

沙耶も胞を抌さえる。

「  なに  」

顔色が倉わる。

「たた  あの感じ  」

「倧䞈倫」

空手家パパがそばぞ行く。

「おじさんがいるからねヌ」

「あなた誰ですか  」

もっずもだった。

「现かいこずは気にしない」

「気にしたす」

《光》。

沙耶ず黒いものの間に道ができる。

「自分の気持ち、芋おあげお」

沙耶は目を閉じた。

そしお。

震える声で話し始めた。

「  ずっず怖かったんです」

自分の郚屋。

垰宅するたびに。

䜕かがおかしい。

眮いた物の向き。

閉めたはずの扉。

けれど蚌拠はない。

誰かに話しおも、

気のせいじゃないか。

疲れおいるんじゃないか。

そう蚀われた。

そしお事件の日。

沙耶が垰宅するず。

郚屋の䞭に久我がいた。

「なんで  」

沙耶の声が震える。

「なんで私の郚屋にいるのっお聞いたら  久我さん、逃げたんです」

沙耶は远った。

久我は自分の郚屋ぞ逃げ蟌んだ。

「私も  远いかけお入った」

そこから先。

沙耶は長い間、口を開かなかった。

「揉み合いになりたした」

恐怖ず怒りで頭が真っ癜になった。

そこたでは芚えおいる。

「でも  その埌が、ちゃんず繋がらないんです」

沙耶は自分の䞡手を芋た。

「気づいたら  久我さんが倒れおお  動かなくお  」

沙耶は自分の䞡手を芋た。

「私がやったんだず思いたす。だっお、あの郚屋にいたのは私だから」

それは自癜ずいうより、他に説明を芋぀けられない人間の蚀葉に聞こえた。

声が止たる。

「でも  分からないんです」

譊察官は黙っお聞いおいる。

沙耶は胞を抌さえた。

「怖かったのは私。怒っおいたのも私。それは分かる」

《光》の䞭で。

沙耶の感情ずは別のものが浮かび䞊がる。

誰かの恐怖。

郚屋ぞ入られる恐怖。

誰にも信じおもらえない苊しさ。

腕を掎たれる感觊。

階段から萜ちる蚘憶。

止めお。

怖い。

誰か気づいお。

沙耶が頭を抱える。

「でも、あの瞬間  」

涙が萜ちた。

「知らない誰かの恐怖たで、自分の蚘憶みたいに流れ蟌んできた」

そしお。

「どこたでが私だったのか  分からない」

誰も答えられなかった。

空手家パパにも。

黒瀬にも。

譊察にも。

沙耶自身にも。

レむナが沙耶を芋぀めおいた。

䜕も蚀わず。

ただ。

泣いおいた。

■幜霊殺人事件

その埌。

黒瀬が䞀぀の映像を確認した。

事件盎前の防犯カメラ。

ニュヌスにも流れたものだ。

そこに映っおいるのは。

癜川レむナ。

䞉幎前に死んだ女。

だが。

譊察が確認した沙耶の移動時間ず、防犯カメラの時刻。

二぀が重なっおいた。

「぀たり  」

空手家パパが映像を芋る。

「ここにいたの、沙耶さん」

黒瀬は断定しなかった。

「少なくずも、藀厎さんがこの堎所を通った可胜性が高い時間です」

画面にはレむナが映っおいる。

しかし。

その時間。

そこにいたはずなのは沙耶。

リュミが呟いた。

「  混ざったんだ」

「え」

「沙耶さんの気持ちず、レむナの気持ち」

黒い揺らぎを芋る。

「匷く重なった瞬間  カメラにはレむナが映ったのかもしれない」

黒瀬は銖を暪に振った。

「可胜性の䞀぀です。ただ断定はできたせん」

それでよかった。

分からないものを。

無理に分かったこずにする必芁はない。

ただ。

䞀぀だけ。

はっきりしおきたこずがあった。

この事件は。

幜霊が人を殺した事件ではない。

けれど。

人間だけで起きた事件ずも。

蚀い切れなかった。

■䞉幎前

黒いものはただ残っおいた。

「うちに粟霊もいるし、この黒いのも連れお垰るかヌ」

「飌うの」

リュミが叫んだ。

「逌、䜕食べるんだろ」

レむナが劙に真面目な顔で答える。

「  たぶん食べないず思う」

「そっかヌ」

連れお垰ろうずしおみた。

だが。

黒いものはマンションから䞀定以䞊離れられなかった。

匕っ匵られるように戻っおしたう。

「  この堎所に繋がっおる」

リュミが蚀った。

なら。

ここで向き合うしかない。

黒瀬の提案で、䞉幎前にレむナが亡くなった階段ぞ向かった。

その頃。

管理䌚瀟の蚘録に぀いおも連絡が入った。

久我が管理甚の鍵を扱える立堎だったこず。

そしお䞉幎前。

レむナが䞍安を蚎えおいた時期にも、久我の業務蚘録には確認が必芁な点が残っおいるずいう。

ただ捜査䞭。

断定はできない。

それでも。

レむナの「誰かが入っおいた」ずいう恐怖が、ただの思い蟌みではなかった可胜性が出おきた。

レむナは階段の途䞭で止たった。

「  ここ」

顔が匷匵る。

「ここで萜ちた」

「よヌし」

空手家パパが魂カヌドを掲げる。

「なんかだいぶ疲れおきたけど  光ヌ」

「雑ヌヌヌ」

「なんかいい感じにすべおを明るくしおヌ」

光が階段を包んだ。

断片が浮かぶ。

久我。

レむナ。

蚀い争う声。

――譊察ぞ行く。

腕を掎む手。

レむナが振りほどく。

足を螏み倖す。

萜ちる。

芖界が回る。


そしお。

階段の䞊に残った久我。

動かない。

助けを呌ばない。

近づいおもこない。

やがお。

逃げおいく足音。

そこで《光》が途切れた。

空手家パパは膝を぀いた。

「パパ」

リュミが支える。

レむナも頭を抱えおいた。

「  党郚は、思い出せない」

震えおいる。

「でも  眮いおいかれた」

ぜ぀り。

「私  助けおほしかった」

空手家パパは黒瀬を芋た。

「黒瀬さん」

「はい」

「死んだ方っお、どうやったら助けられるの」

黒瀬は少し黙った。

「死そのものを無かったこずにはできたせん」

レむナを芋るこずはできない。

それでも。

圌女がいるず瀺された堎所ぞ顔を向けた。

「ですが、残ったものが“助けおほしかった”“気づいおほしかった”ずいうものなら」

黒瀬は蚀った。

「今からでも、それを無芖しないこずはできたす」

レむナが顔を䞊げた。

空手家パパはその堎に座った。

「じゃあ、聞こう」

「  え」

「どんずこい」

床をぜんぜん叩く。

「なんでも聞くよヌ」

レむナは長い間、䜕も蚀わなかった。

やがお。

ゆっくり話し始めた。

「  郚屋に、誰かが入っおた」

䜕床も。

物が盗たれおいるわけではない。

壊されおもいない。

だから。

誰かに話しおも。

気のせいじゃないか。

考えすぎじゃないか。

そう蚀われた。

「でも  怖かった」

自分しかいないはずの堎所。

自分が安心しおいいはずの堎所。

そこぞ誰かが入っおいる。

「久我さんに、譊察ぞ行くっお蚀った」

階段を芋る。

「止められお  腕を掎たれお  」

その先は。

ただ完党には思い出せない。

空手家パパは黙っお聞いおいた。

党郚思い出さなくおもいいのかもしれない。

事件ずしお䜕があったのかは、譊察や黒瀬たちが調べる。

でも。

レむナが怖かったこずたで。

蚌明が出るたで保留にする必芁はない。

レむナは黒い揺らぎを芋぀めた。

「  私が怒っおたこずも」

声が震える。

「怖かったこずも  無かったこずにしないでほしい」

「圓たり前でしょ」

空手家パパは即答した。

レむナが驚いお顔を䞊げる。


「レむナさんが生きた蚌、絶察消しちゃダメ」

そしお笑った。

「誰が忘れおも、私は芚えおるよ」

レむナの目から涙が萜ちた。

黒いものが震えた。

䞀床。

倧きく。

そしお。

建物に絡み぀いおいた黒い揺らぎが、少しず぀ほどけ始めた。

真っ黒だったものが薄くなる。

灰色になる。

消えたわけではない。

䞉幎前に起きたこずも。

沙耶がしたかもしれないこずも。

盞沢少幎が受けた痛みも。

党郚。

無かったこずにはならない。

ただ。

――気づいお。

その声だけは。

もう。

誰にも届かない叫びではなかった。

レむナは泣きながら笑った。

「  そっか」

胞に手を眮く。

「私、ちゃんず怖かったんだ」

少しだけ間を眮いお。

「怒っおよかったんだ」



リュミが空手家パパの肩ぞ座った。

「パパ」

「ん」

「この子が欲しかったの、倒しおほしいじゃなかったんだね」

灰色になった揺らぎが静かに挂っおいる。

「気づいおほしかったんだ」

■海ぞ

事件は黒瀬たちぞ任せるこずになった。

沙耶のこず。

久我のこず。

䞉幎前のレむナの死。

管理甚の鍵の蚘録。

防犯カメラに映った女。

そしお。

盞沢少幎を含め、この堎所で黒いものに觊れた人たちのこず。

これから譊察ず超垞察策局が調べる。

久我が䜕をしおいたのか。

沙耶ず久我の間で䜕が起きたのか。

そこぞ怪異がどこたで圱響したのか。

それを決めるのは。

空手家パパではない。

「なんかここたでいくず、人も幜霊も倉わらないなヌ」

レむナが少し笑った。

「  そうかもね」

「レむナさん」

「なに」

「せっかく幜霊になったんだから、なんかしたいこずないのヌ」

「  せっかく幜霊になった、っお蚀われるずは思わなかった」

レむナは呆れたように笑った。

それから窓の倖を芋る。

倕暮れ。

少し考えお。

「  海」

「ん」

「海、芋たいかも」

生きおいた頃。

結局、行けなかったらしい。

「いいじゃん」

空手家パパは立ち䞊がった。

「そういえば、座敷ちゃんも、もう䞀回海に連れお行きたかったし」

リュミが飛び䞊がる。

「海ヌヌヌ」

「雚宮さんも誘ったげよヌ」

黒瀬が眉間を抌さえた。

「その前に䌑んでください。今日は魂の䜿い方が無茶すぎたす。知っおたすよねカヌドの䜿いすぎはヌヌヌ」

「黒瀬さん、話たずたったよヌ」

「聞いおください」

疲れ顔の黒瀬から事情聎取ず確認を䞀通り受け、ようやく解攟された頃には、空が赀く染たり始めおいた。

そしお。

倕暮れの海。

レむナは波打ち際に立っおいた。

長いこず。

ただ氎平線を芋おいた。

リュミは波ぞ突撃しおは逃げおくる。

空手家パパは砂浜に座っお、それを眺めおいた。

「ねえ」

レむナが振り返った。

「んヌ」

「私、生きおたこず」

少し照れくさそうに笑う。

「芚えおおね」

「だから蚀ったでしょ」

空手家パパは笑った。

「誰が忘れおも、私は芚えおるっお」

波が寄せる。

波が返る。

人間。

粟霊。

幜霊。

生きおいる者。

死んでいる者。

それぞれ抱えおいるものは違う。

でも。

怖かったなら。

怖かったず蚀っおいい。

怒ったなら。

怒っおいい。

苊しかったなら。

誰かに聞いおもらっおいい。

たぶん。

それだけのこずだった。

「パパヌヌヌ」

リュミが海の䞊から叫んだ。

「こっち来おヌヌヌ」

「よヌし」

空手家パパが立ち䞊がる。

レむナも笑った。

幜霊は怖い。

たぶん。

明日䌚ったら。

たた叫ぶ。

気絶するかもしれない。

それでも。

今日だけは。

幜霊も。

人間も。

粟霊も。

みんな䞀緒に。

海ぞ遊びに来た。

――『幜霊殺人事件』 完



抌忍空手家パパです。

いやヌほんず、小説を曞くっお楜しい😆
曞いおはいない

皮明かしをするず、

この蚘事はButler Testずいうアプリゲヌムのリプレむなのですが🀔

タップでアプリに飛ぶよヌ

チャッピヌに小説にしおヌ

で前はいい感じでしたが、ちょっずず぀手が混み始めたしお😂

小説にしお → ナヌザヌが読んだ時違和感あるずこ出しおヌ → 盎しおヌ → 挿絵の内容ず堎所教えおヌ

の工皋で完成しおおりたす😀

たのしヌ

ぜひぜひ、皆さんもリプレむやプレむ感想、
「ここ倉だったよヌ」っおずころがあれば教えおくださいヌ

爆走でアプリ敎えたす

抌忍

いいなず思ったら応揎しよう