
ラーメン屋でばりばり困惑した話
関東の博多ラーメン屋では、不思議な光景を見ます。
客がみんな、「ばりで」と注文するのです。
最初は何のことかわかりませんでした。
博多で「ばり」は、「とても、非常に」という意味の強調語です。
「ばりうまい」
「ばりやばい」
みたいに、ばりばり使います。
つまり、「ばり」だけでは意味がありません。
「とても」だけ言っているようなものです。
「とてもで」では注文になりません。
本来は、ばりかた、ばりやわのように、後ろに何かが続きます。
ところが、関東の博多ラーメン屋では、みんな「ばり」だけで注文します。
もはや言葉ではありません。
呪文です。
博多ラーメンを食べるときに唱える、関東独自の儀式なのでしょうか。
私も普段は使わない「ばり」を一度くらい使ってみようと、「ばりやわ」を注文してみました。
店員さんに怪訝な顔をされました。
おかしい。
私はちゃんと日本語を話しているのです。
しかも、博多弁を封印して、「ばりやわでお願いします」と丁寧に標準語で注文しています。
「ばりやわばやらんね」などとは言っていません。
むしろ、「ばりで」だけの方が日本語としては成立していません。
なのに、なぜ注文が通らないのでしょうか。
関東では、「ばり」が違う意味を持っているのでしょうか。
関東の人だけが知っている、何かの略語なのでしょうか。
まさか、関東人でないことを見分ける合言葉なのでしょうか。
もしかすると、博多ラーメンを食べるという高揚感が、関東の人からまともな言語能力を奪ってしまったのかもしれません。
気持ちは、わかります。
博多ラーメンは、最高においしいラーメンですから。
でも、正しく、「ばりかた」と発音して欲しいものです。
そんな私は、かため派です。
「ラーメン、かたで」