愛が終わっても、声は残る。——Syreeta『Syreeta』
1972年6月20日、MotownのサブレーベルMoWestよりリリース。1971年10月〜1972年2月にかけて、ニューヨークのElectric Lady Studios、ロサンゼルスのCrystal Industries、ロンドンのOlympic Studiosにて録音。プロデュースはStevie Wonder。全9曲38分32秒。 
Syreetaという音楽家
本名Syreeta Wright。Stevie WonderのバックボーカルグループWonderloveのメンバーとして頭角を現し、1970年の「Signed, Sealed, Delivered」に参加。その後Wonderと共にすべての楽曲を共同作曲した1971年のアルバム『Where I’m Coming From』でも活躍した。 
二人の協力関係は結婚生活を3年上回り、すぐれた作品をもたらし続けた。本作はリリース時点ですでに離婚していた元夫Stevie  Wonderがプロデュースした、痛みと温もりが同居するデビューアルバムである。
『Syreeta』という一枚
レーベル:MoWest(Motown)。全9曲、38分32秒。Stevie Wonderの初期70年代の実験的なアプローチを反映し、ストリングスに彩られた70年代ソウルの定型とシンセサイザーを取り入れたファンクの試みが融合している。 
——愛が終わっても、声は残る。
オープナー「I Love Every Little Thing About You」はWonderが自身の『Music of My Mind』向けに録音した楽曲をファンク志向で再解釈した一曲。「Black Maybe」はジャズ的なバラードに社会意識的な歌詞を乗せた本作のハイライト。「Baby Don’t You Let Me Lose This」は感染力のあるコーラスと滑らかなシンセサイザーが絡み合うミッドテンポの佳曲。SyreetaのBeatlesカバー「She’s Leaving Home」ではトークボックスが印象的に使われ、Smokey Robinsonの名曲「What Love Has Joined Together」のカバーはSyreetaの感情豊かな声を余すところなく引き出す。クロージング「To  Know You Is To Love You」ではStevie Wonderとのデュエットが38分を温かく締めくくる。
どんな夕暮れに聴いてほしいか
夏の終わり、日が短くなり始めた夕方に。誰かとの記憶が少しだけ遠くなった頃に。愛が終わった後でも音楽だけは残ることを、この声が静かに教えてくれる。
TRACKLIST
1 I Love Every Little Thing About You
2 Black Maybe
3 Keep Him Like He Is
4 Happiness
5 She’s Leaving Home
6 What Love Has Joined Together
7 How Many Days
8 Baby Don’t You Let Me Lose This
9 To Know You Is To Love You (with Stevie Wonder)
愛が終わっても、声は残る。
幻音社
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