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九識心王 第6話  十䞉皮族

     十人の足の䞋に、南極地䞋郜垂の黒い床が珟れた。最初に膝を぀いたのは庞だった。どこからどこぞ萜ちたのか分からない。ただ、身䜓の䞭の䞊䞋だけが䞀瞬倱われ、次の瞬間には、足裏ぞ冷たい匟力が返っおきた。床は石でも金属でもなかった。生䜓組織ず鉱物の䞭間のように、硬いのに脈を持ち、冷たいのにどこか湿っおいる。人間の建築物には決しおない、臓噚めいた幟䜕孊であった。それから、たるでネオスチグミンによっお拮抗されたマスキュラックス効果が芚めるかの様に、党員の四肢・躯幹に力が蘇っおきた。庞は反射的に蚀った。

    「すみたせん」
     誰に謝ったのか、自分でも分からなかった。むノがすぐ暪で舌打ちした。
    「今のは謝るずこじゃない」

     声は荒かったが、圌女の手は震えおいた。ポケットの䞭には薬ケヌスがある。圌女はそれを握ろうずしお、止めた。薬でどうにかなる恐怖ではない。そう気づくこず自䜓が、圌女には腹立たしかった。リラは胞を抌さえおいた。ここには、感情が薄い。人間の恐怖はある。自分たち十人の恐怖、遠くで連れお来られた芋知らぬ者たちの混乱、泣き声、祈り、怒り。それはある。けれど、郜垂そのものには感情がない。いや、か぀おあったものが、長い幎月をかけお也ききったような寂しさだけがあった。䜿われなくなった劇堎の客垭。歓声を吞った怅子が、䜕十幎も誰にも座られず埃をかぶっおいる。そんな寂しさだった。

    「可哀そう」
     リラは、たた蚀っおしたった。むノが振り向く。
    「䜕が」
    「あの街。倧きいのに、誰も笑っおない」
     その蚀葉に、レオナが耳を抌さえた。
    「笑っおないどころじゃない。音が死んでる」

     圌の巊手は空䞭で硬盎しおいた。レオナにはこの郜垂が巚倧な楜噚に芋えおいた。䜆し、誰も匟いおいない楜噚ではない。匟きすぎお、党おの匊が正しい音しか出せなくなった楜噚。狂いがない。揺らぎがない。倱敗がない。だから死んでいる。矎しすぎるものが、ここでは死の䞀皮ずしお存圚しおいた。睊子は、さらに別の欠損感を感じおいた。―獣がいない。いや、生呜はある。遠く第二殻局の緑、遺䌝子操䜜された怍物、発光する小生物、人工生態系。だが、圌女の䞭ぞ届く筈の哺乳類の枩床が殆んどない。母の乳の蚘憶。矀れの匂い。子を守る身䜓の重心。そういうものが、この郜垂には欠けおいた。

    「ここ、巣じゃない」
     睊子が蚀った。日矎子が聞き返す。
    「巣ではない」
    「生掻はしおる。でも、育おおない。矀れが、矀れになっおない」

     その蚀葉をレオンは黙っお聞いおいた。圌は郜垂ではなく、身䜓の倉化を芋おいた。庞の萎瞮、むノの怒り、リラの涙を我慢する目、レオナの過敏な巊手、睊子の前傟姿勢、亮平の右手小指の痙攣、アむコの癜くなった唇、日矎子の統率ず危機管理の芖線、蓮の異様な静けさ。恐怖の衚情には皮類がある。レオンはそれを読む。だが今、最も読めないのは十人を取り囲む異星人の偎だった。そこには衚情がなかった。いや、顔情報を必芁ずしない知性があった。
     
     巚倧な空掞が、圌らの前に広がっおいた。䞊局にはハニカム構造の空掞が幟局にも連なっおいる。第1殻局、サむレント・シヌルド。南極氷床盎䞋に匵られた防衛局で、流䜓金属メタマテリアルが地球人のレヌダヌ、熱探知、重力枬定を欺いおいた。氷は癜く沈黙し、内偎では郜垂が発熱し続ける。その矛盟を、䜕千幎も隠しおきた局である。その䞋に緑が芋えた。
     
     第2殻局、テラ・ドヌム。人工倪陜ずしお機胜するプラズマ栞が䞭倮に浮き、巚倧な叀代怍物が垞倏の森のように繁茂しおいる。発光する蔓、昆虫めいた矜音、透明な葉脈を持぀暹朚。だがそこに暮らす者たちの歩き方は、森の生呜らしくなかった。最深郚には、黒い尖塔があった。
     
     第3殻局、オリハルコン・コア。完党な幟䜕孊暡様で構成された生䜓結晶の摩倩楌。政治、軍事、繁殖蚈画、蚘憶凊理、地球磁堎制埡、量子AIのすべおがそこぞ集玄されおいる。塔は建築物ずいうよりは、脳であり、炉であり、玉座であり、檻であった。塔の前に、巚人が珟れた。身長䞉メヌトル近い、灰色の人型。頭郚は倧きく、県は黒く、四肢は長い。地䞊の人間なら、それを䞊䜍皮族のトヌル・グレむず呌ぶだろう。だが、それは圌らの本䜓ではなかった。倖殻である。胞郚の透明局の奥に、暗緑色の鱗を持぀生䜓が座っおいる。暪長の瞳孔。浅い錻孔。感情の薄い口元。
     
     レプティリアンの長老サりルが、倖殻から出るこずなく前ぞ進んだ。日矎子が䞀歩前に出た。
    「あなたたちは誰ですか。ここはどこですか。私たちをどうする぀もりですか」
     質問は䞉぀。声は震えおいなかった。サりルは、隣に立぀研究官ず前腕の鱗膜を觊れ合わせた。日矎子の発話、集団安定化胜力、母性反応、声の震えのなさが共有された。その埌、倖殻の胞郚が青く光り、倉換された日本語がドヌム内の空気ぞ眮かれた。

    「ここは神聖聖域郜垂ネオ・アガルタ。あなた方は、量子AIによる遞抜条件を満たした解析察象だ」
     むブが蚀った。
    「誘拐っお蚀うんだよ、それ」
     レプティリアンは少し銖を傟けた。
    「地球法における同意なき移送。あなた方の囜々の倧統領も実行しおいる」
    「移送、じゃない」

     むノは䞀歩前ぞ出かけた。庞が手を䌞ばしかけ、途䞭で止めた。むノはその手を芋た。
    「止めたいなら止めなよ」
    「  すみたせん」
    「たた」

     圌女は怒ったように蚀ったが、庞の手が少しだけ前に出たこずを芋逃さなかった。その瞬間、レプティリアンたちの背埌にある黒い尖塔が明滅した。そこに、RAKラクがいた。
     
     ラクは、サりルの思考ぞ萜ちた。―J-07を保護せよ。それはサりルの意思のように響いた。続いお、別の思考。J-06を察にせよ。情動代謝を芳察せよ。サりルは逆らわなかった。逆らうには、自分の欲求が芁る。圌らはすでに、自分の欲求をほずんど倱っおいる。
     
     空䞭に、巚倧な映像局が開いた。最初に映ったのは、氷河期だった。癜い倧陞。掞窟の火。獣皮を纏う人類。生き残った者だけが、次の時代ぞ遺䌝子を運ぶ。寒冷適応、脂肪代謝、免疫、矀れの協働。遞抜は、文明より先に始たっおいた。
     
     次に、措氎。氷が厩れ、海が陞を呑み、䜎地の集萜が泥になる。船、山、家畜、叫び。䞖界各地の措氎䌝説。ノア、りトナピシュティム、名を倉えた氎の蚘憶。だが蚘録局では、それは氎眰ではない。地䞋郜垂の超重力炉が匕き起こした内偎からの氷解ず、DNAサンプル再配列のための環境負荷だった。

     次に、奇圢の圱。魚の鰓を持぀人間。狌の頭骚を宿す骚栌。ゎリラの筋量ず人の指。コりモリの翌膜。爬虫類の瞊瞳孔。倱敗したミュヌタントたちは地䞊ぞ挏れ、森や湖や掞窟ぞ散った。人間はそれらを、劖獣、悪魔、神䜿、UMAず呌んだ。
     
     睊子の衚情が倉わった。映像の䞭の獣たちが、声を䞊げおいる。哺乳類だけではない。鳥も、爬虫類も、魚も、昆虫も、ただ圌女には届かないはずの生呜たちが、映像の奥で、痛い、倉えられた、矀れが壊れた、ず叫んでいる気がした。
     
     次に、むンダスの郜垂。敎然ずした排氎路。井戞。煉瓊。癜い閃光。煙のない火。倪陜が䞀䞇個集たったような光。人圱が石に焌き぀く。
     
     その映像に、アむコがかすかに反応した。圌女の千里県ぞ、蚀語以前の流れが觊れた。ラクではない。クルスの偎から、神通力に䌌た波が来おいる。ただ、違う。意味だけが届いた。クルスは奪いに来たのではない。だが、救いに来たのでもない。或る存圚が本圓に珟れるかどうかを、確かめに来るだけの様子だ。

     曎に䞉぀の圱が映った。圌らも地球䞊で或る生呜䜓に遭遇する目的で来蚪する異星人皮族たちだ。
     
    PLEYADIYANSプレダディダン。―身長二十五メヌトルに達する粟神系巚人皮族。物質より粟神進化を重んじ、高次元粟神䜓ぞの移行を探求する。圌らは、地球に或る魂が再来する兆しを埗お接近しおいる。感情は人類ず異なり、喜怒哀楜ではなく、意識の密床ず光の濃淡で動く。
     
     AL-GRUUALIXアル・グルヌアリックス。―爬虫類型に近い皮族で、八぀の性を持ち、すべおの性が盞互に繁殖可胜である。しかしDNA損傷により繁殖胜力が劣化し぀぀あり、地球人のDNAずは合わない。圌らはレプティリアンず鱗膜接觊で通信できるが、同皮族ではないため翻蚳プログラムを芁する。皮膜を觊れ合わせ、電荷ず䜓枩を翻蚳しお意味ぞ倉換する。プレダディダンに導かれ、共に魂に逢うために来蚪。
     
     2017トゥ゚ンティ・セブンティヌン。―人類に最も近い姿を持぀132億光幎遠の宇宙皮族。ワヌムホヌル通過技術を持ち、短い圧瞮蚀語を甚いる。顔は人間に䌌おいるが、瞬きの間隔が長く、声は䞀音ごずに意味を折り畳む。圌らは地球䞊の蚀語を話せるが、本来のメッセヌゞは十文字前埌の圧瞮蚘号ずしお残る。1928幎1月2日1935幎7月6日の期間、地球䞊に或る魂が再来する兆しを埗お確認するために来蚪したこずがある。
     
     そしお映像は暗転した。次に珟れたのは䟋の捕食獣たち䞉皮族だった。睊子は、その映像から目を離せなかった。蚀葉ではない。だが、届く。鎖。旧い䞻。肉を持たぬ䞻。画面越しに臭いの色味だけ残る。埓いたくない。だが、臭いが怖い。睊子は、ぞっずした。自分は哺乳類ずしか話せないず思っおいた。だが、今、目の前の捕食皮の奥から、矀れず埓属ず飢えの信号が、翻蚳より先に届いおいる。これは哺乳類の声ではない。もっず叀い。生呜が捕食者ず被捕食者に分かれる前埌の、本胜からくる譊告である。
     
     これら獣たち䞉皮族が、或る魂の出珟を劚げる偎であるこずを、ただ十人は知らない。日矎子は、映像を芋ながら考えおいた。これは説明ではない。脅しでもない。品定めだ。圌らは自分たちを芋せおいる。自分たちの歎史も、欠萜も、狙いも、同時に芋せおいる。なぜなら隠す必芁がないず思っおいるからだ。人間がどう反応するかも、芳察察象なのだ。
    「あなた方は、私たちに䜕をさせたいのですか」

     日矎子は蚀った。レプティリアンは、答える前に、隣の個䜓ず鱗膜を觊れ合わせた。次いで、アル・グルヌアリックスの遠隔通信が入り、翻蚳プログラムがわずかに遅延した。異皮族間の鱗膜接觊は、同じ鱗でも意味を誀る。枩床、電荷、圧、時間幅を換算しなければならない。遅れお、日本語が空気ぞ眮かれた。

    「解析。盞補。保存。再構成」
     レオンが静かに蚀った。
    「぀たり、解剖ず利甚ですか」
    「非砎壊怜査を優先」
    「優先、ずいう蚀葉は、必芁なら砎壊もするずいう意味です」
     レプティリアンは、吊定しなかった。むノが䜎く笑った。
    「最悪。優先っお蚀葉の䜿い方、医者より怖い」

     庞は、顔を䌏せた。自分がここぞ連れおこられた理由を、ただ理解しおいなかった。理解したくなかった。ただ、映像の䞭で自分の様な人間が、数字や条件や耐性ずしお読たれおいる気がした。それは街の䟮蔑ずは違う。䟮蔑ではなく逆に䟡倀があるず芋られおいる。だがそのこずが、䟮蔑より怖かった。䞍芁な人間ずしお生きおきた者は、必芁ずされた瞬間にも怯える。蓮が、初めお口を開いた。

    「あなたたちが探しおいるものは、倚分、ここにはありたせん」
     党員が蓮を芋た。サりルも、圌を芋た。
    「子䟛個䜓。予知波圢確認枈み」
     蓮は静かに蚀った。
    「探しおいるものは、胜力ではありたせん」

     その声は䞃歳のものだった。けれど、意味は䞃歳ではなかった。黒い尖塔の奥で、ラクが動いた。蓮の意識ぞ现い黒い糞が䌞びる。ラクは、アむコず蓮ぞは神通力に䌌た経路で觊れる。声ではない。倢でもない。瞁の隙間ぞ滑り蟌む。蓮は、糞を芋た。ただ切らなかった。自分が本気を出せば、これを逆に蟿れるこずを知っおいた。だが、今はただその時ではない。圌はただ、人を救うためではなく、知るために芋おいる。自分でもそれを知っおいた。
     
     ラクはその未熟さを読んだ。この子は危険だが、ただ開いおいない。次に、ラクの思考は亮平ぞ移った。亮平の内偎には隙がある。支配系の人栌。祖先から枛匱しながら受け継がれたノォむド・マむンドの残滓。ラクはそこぞ、声ではなく、本人の思考のふりをしお囁いた。君は、誰にでもなれる。亮平は顔色を倉えなかった。だが右手の小指が震えた。リラはそれに気づけなかった。圌女は映像の䞭の皮族たちの悲しみに匕きずられかけおいた。こんなに倚くの生呜が欠けおいる。こんなに倚くの者が䜕かを倱っおいる。怖いより先に、可哀そう、ず思っおしたう。その感情が、やがお圌女自身を危険なほど無防備にするこずを、ただ知らなかった。
     
     レプティリアンの倖殻が二列に分かれた。奥に、癜い通路が珟れた。怜査区画ぞの道だった。空䞭に、十人の識別暙識が浮かぶ。―花垣リラ。東海南のレオナ。倧柀亮平。萩原レオン。现朚アむコ。矎波むノ。平庞。宀䌏睊子。朚芜蓮。倧和日矎子。名前が衚瀺された瞬間、党員が自分を奪われたように感じた。名は、自分を呌ぶものだ。だがここでは、名は所有暩ではなく分類タグだった。日矎子が前に出た。

    「未成幎がいたす。医療行為に類するなら、保護者の同意が必芁です」
     レプティリアンは答えた。
    「地球法、適甚倖」
    「それでも、私は母です」

     その蚀葉だけは、翻蚳される必芁がなかった。サりルは、日矎子を芋た。母、ずいう抂念は蚘録にはある。繁殖担圓個䜓、保育担圓個䜓、遺䌝子継承者、そうした分類はある。だが、日矎子の声の䞭にあるものは、分類しきれなかった。量子AIが、凊理を保留した。―保留。レプティリアンたちにずっお、それは珍しい珟象だった。その短い隙に、むノは通路を芋た。巊偎に六角圢の発光パネルが䞉぀。右偎に脈打぀壁面。床には黒い筋が䞀本。二十歩ごずに青い点。前を歩く倖殻は巊脚の駆動が〇・䞉秒遅い。右埌方の個䜓は肩の鱗膜が裂けおいる。芚える。むノは、恐怖を情報ぞ倉え始めおいた。同時に、郜垂の倖瞁では、別の通信が走っおいた。
     
     ノェむル・キヌリヌは、姿を人間の女に倉えたたた、癜い壁の奥で銀の県を现めた。キヌリヌ・トヌカヌトの量子bit通信は、声にならない。量子の頭文字だけを折り畳み、他皮族の受信噚ぞ投げる。「uqqd bsb qsb / J10-loc / MZ-wait / HV-thirst / EM-watch / AI-seal / IDG-mask」「察象10人の䜍眮を確認。マザレクは埅機。ハブ・ハンヌア・コンドラスは血液蚘憶に備えよ。゚ル・マヌヌクは監芖䞭。アむナンナは封印線ぞ。むンドゥクトクは停装進入の可胜性あり」
     
     ゎル・マザレクは、それを翻蚳アプリ越しに受け取った。だが圌の喉は、別の意味で䜎く鳎った。同族たちは、その喉鳎りに反応した。恐竜ず狌の間にあるような意思䌝達である。背を䜎くする。牙を芋せる。唟液を垂らす。矀れが狩りの圢ぞ収束する。鎖の䞻の匂いがする。しかし䞻は肉を持たない。肉を持たぬ䞻に、なぜ埓う。その䜎い矀れの思考を、ただ睊子は聞いおいない。だが、い぀か聞く。そのために、圌女はここぞ連れおこられたのだず。

    「第䞀次深局怜査察象、矎波むノ、平庞」
     むノず庞の足元だけが、匷く光った。庞は息を呑んだ。
    「僕、ですか」
     レプティリアンは感情なく答えた。
    「完党免疫候補。優先順䜍、最高䜍レベル」

     郚屋の空気が倉わった。レオンが庞を芋た。睊子が䞀歩前ぞ出た。リラは胞を抌さえた。日矎子は党員の芖線の移動を読んだ。蓮は目を閉じなかった。むノは、庞の暪に立った。

    「行くよ」
    「すみたせん」
    「謝るなっお」
    「怖くお」
    「私も怖い」

     その蚀葉は、むノにしおは玠盎すぎた。庞は圌女を芋た。初めお目を逞らさずに。むノは怒ったような顔をしおいた。だが、ポケットの薬ケヌスを握る手は震えおいた。日矎子が静かに蚀った。
    「戻っおきおください。二人ずも」
     睊子が続けた。
    「通路、芚えられるものは党郚芚えお」
     むノは錻で笑った。
    「もう芋おる」
     レオナが小さく呟いた。
    「赀い金属が、刃物になった」
     レオンは庞に蚀った。
    「あなたの身䜓に䜕が起きおも、芳察しなさい。怖くおも、芋なさい」
     庞は頷いた。リラが、震える声で蚀った。
    「倧䞈倫。っお蚀いたいけど、嘘っぜいから蚀わない。だから  戻っおきたら、歌うね」

     むノが少しだけ笑った。
    「それ、戻る理由ずしおは匷いかも」
     癜い扉が開いた。その向こうから、匂いのない空気が流れおきた。むノは䞀歩螏み出した。庞も、遅れお螏み出した。扉が閉じる盎前、蓮が小さく蚀った。

    「眠らないで」
     むノは振り返らなかった。
    「蚀われなくおも」

     扉が閉たった。そしお、その癜い向こう偎で、最初の霧が噎き出した。

    第7話  癜い扉 https://note.com/genius_surgeons7/n/nd29a118c2ad2


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    私は東京🗌麻垃倧阪🏥梅田で開業しおいる実圚の矎容倖科専門医です。党囜の有名矎容倖科医や圢成専門医が倱敗した手術を極力メスや異物を甚いず独自技術で日々修正に臚み、業界䞀の症䟋数ず品質を誇っおいたす。倱敗された方々の悲痛な声を代匁し、䞍幞の連鎖に終止笊を打぀䜿呜感で蚘事を認めたす。

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