
【読み切り短編小説】見られてる。
ビル群と空、
地下鉄とトイレ以外なら
どこからでも見てる気がする。

職場へ向かうとき、
雨降るかな?と見上げた。
「大丈夫そう」

勤務後、雨。空を見渡した。
「ラッキー、これなら」
と駅まで走った。

地下鉄の出口。
傘を差しいく人はいない。
でも、みんな僕のように肩や足元が濡れてる。

次の日、また傘を忘れた。
「天気予報通りなら買えばいいか」
そして、

僕は家の方の空を見た。
「今日も大丈夫そうだ、走るか」
走ってるのは昨日も今日も僕くらい。

出口へと登る人たちについて行く。
傘を忘れた人が多かったのか、
またみんな雨に降られたようだった。
次の日、1階まで階段降りて
傘を忘れたことに気づく。
天気予報では1日雨…のはずだ…

勤務明け、雨だ。
家の方向を見た。
……降ってない?

出口へと向かう。
雨に濡れた人々。
僕以外も?
そんなこと…え、なにこれ

視線を感じた。
四方をぐるぐると何度も見た。
足はもつれそうになる。
翌朝、天気予報は1日快晴。
めずらしく休日に外に出る。

屋根と空、じっと見続けた。
「動いてない…」
雲が動かない、なんなんだよこれ…
僕は早足で、
とにかく進んだ。
信号をいくつも、
幹線道路も超えた、
もうすぐ隣の県……

ああ、あの雲の形…そんな、なんで…
四方をぐるぐる何度も見る。
ここの人たち
なんとも思ってないのか…?
どういう……僕がおかしい??
四方を見た、空の四方を。
人々、建物、空、
人々、建物、空、
人々…建物に空…
ひと、たてもの、そら
強い視線を感じ取った。
