
押し入れの中のくま。 2
押入れの上段で目を覚ました私は、
やっぱり、くまの体をしていた。
ベッドの方を見ると、
私の体は、気持ちよさそうに眠っていた。
私が、うーんと伸びをした瞬間、
下に敷いてあった敷布団のシーツが、
爪に当たって、ビリッと破けた。
爪を見た。
鋭くて長い。
爪、切らないと危ない。
(くまくーん、起きて)
「うーーん、まだ眠いよ」
(ねぇ、くまくん、爪切ってほしいの。起きてよ)
「んん? ここどこ? あれ? 君はぼく?」
(思い出した?
私のうち。ここね、爪が長いと危ないの)
(そこの引き出し、開けてくれる?
その取っ手、ひっぱるの)
「こうかな?」
くまくんは、引き出しを開けた。
(その白いのが爪切りっていうの。
先っぽが光ってるのわかる?)
「これかな?」
(それはね、充電器。
そのとなりの、短い奴だよ)
「これだね」
くまくんは、両手で爪切りを、大事そうに持ち上げた。
(ここから先の説明が難しい……)
「説明ってなぁに?」
――ひとりごとも言えない。
爪切りの使い方の説明、どういえば伝わる?
(そこを持って、
くるっと回して、
先端を押すの)
カチッカチッ
(そうそう、
その光ってるところ、
こっち向けて。)
(まだだよ、
爪が入ってから、押すんだよ)
(よし、入った。今だよ。押してみて。)
カチッ。
(上手だよ。
くまくん、あと19本お願いね)
「ぼく、つかれたよ
爪を切るって大変なんだね」