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遥香様は迷走中 13

    華子

    病室には、玲子が毎日のように顔を出してくれた。

    「紫苑、今日もかわいいわね」

    玲子は慣れた手つきで紫苑を抱き上げた。

    「玲子様、抱っこ上手ね」

    「そう?」

    玲子は紫苑の顔をのぞき込んで、ふっと笑った。

    「紫苑の鼻、蒼介さんに似てる」

    私は思わず息をのんだ。
    私も同じことを思っていたからだ。

    玲子は何も言わなかった。

    私も何も言わなかった。

    だけど、その沈黙は不思議と苦しくなかった。
    二人とも、同じ人のことを思っていたからかもしれない。


    「遥香、ベイビーの名前、もう決めたかい?」

    レオン様が、画面の向こうで
    私たち親子を愛おしそうに見つめていた。

    「えぇ。紫苑よ」

    「シオン?」

    「九条家では、男の子の名前に『紫』の字を使うことが多いの」

    「なんだか、僕の名前にも似ているね」

    レオンは機嫌よく笑った。

    その笑顔を見ていると、
    不思議と心が軽くなった。

    「紫苑か。素敵な名前だね」

    「紫苑―――」

    レオンは、目を細めて紫苑に手を振っていた。

    「レオン様」

    私は、レオンの名を呼んだ。

    「ん?遥香、どうしたんだい?」

    「今度、瑞乃国にいらっしゃるときには、結婚指輪を持って来てちょうだい」

    「えっ……」

    画面のレオンがフリーズしたのがわかった。

    「えっ?遥香、それ本当?」

    レオンが目を見開いた。

    私は、ふふっと紫苑を撫でた。

    「オーマイガーッ!!」

    レオンが画面から離れてガッツポーズで部屋中を走り回る姿が
    映し出された。

    「レオン様……」

    私は思わず額を押さえた。
    前言撤回したくなった。



    最後までお読みいただき、ありがとうございました☆

     
     
     

    華子

     
     
    ステキブンゲイに載せたレッドチェッカーという小説をもとに、流行語大賞をとるための活動をしています。#レッドチェッカー #チェックチェッカーチェッケッスト 10月1日「レッドチェッカー」kindle出版しました。 #熊本応援プロジェクト  #小さな一歩 発起人でもあります。

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