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私のラパ|7年経っても帰りたい場所


    7年行っていないのに、
    まだ帰りたい場所がある。

    それは、マカオのひとつのホテル。

    私のラパ。

    最初にマカオに行ったのは2002年だった。
    日帰りだった。
    街を少し歩いただけ。

    空は少しグレーがかっていた。
    特別な記憶は、まだなかった。

    もう一度マカオに行ったのは2009年。

    そのとき最初に泊まったのは
    Hotel Lisboa Macau。

    次の旅で、別のホテルを選んだ。
    理由は単純だった。
    フェリーターミナルに近かったから。

    それが
    Artyzen Grand Lapa Macau。
    当時は Grand Lapa Macau という名前だった。

    でも私にとっては、ずっとラパのままだ。

    タクシーを降りる。

    石の段を二段か三段上がる。
    正確な数は覚えていない。

    扉をくぐると、空気が変わる。

    私はいつも、
    そこでロビーの空気を吸い込む。

    あの香りが好きだった。

    花の匂いなのかはわからない。
    でも、ラパの香りだった。

    このホテルは、
    マカオのカジノホテルとは少し違っていた。

    午後になると
    私は
    Café Bela Vista
    に行く。

    窓際の席に座る。

    窓の向こうには緑があり、
    その奥にコロニアルの建物が見える。

    コーヒーを頼む。
    そして
    Serradura。

    午後のカフェは静かで、
    その時間が好きだった。

    朝は街を歩く。

    Senado Square
    を通り、
    Ruins of St. Paul’s
    まで。

    散歩から戻ると、
    またラパに帰る。

    夜になると、
    ホテルの空気は少し変わる。

    ランプの光の下を歩いて
    NAAM Thai Restaurant
    に行く。

    ラープガイ、ソムタム、ヤムウンセン、トムヤムクン。

    マカオのホテルの中なのに、
    そこにはタイがあった。

    私はそこで、タイ語を少し使う。
    それも、ラパに来る楽しみのひとつだった。

    当時の私は、
    週末バックパッカーだった。

    金曜日の夜に出発して、
    日曜日に帰る。

    プールに行く時間は
    あまりなかった。

    それでも十分だった。

    ラパがあったから。

    マカオには何度も行った。
    でも帰る場所は、
    いつもラパだった。

    最後にラパに泊まったのは
    2019年の春。

    また来るつもりでいた。

    でも、気がつけば
    7年が過ぎていた。

    もしまたマカオに行ったら、
    私はきっとラパに向かう。

    タクシーを降りて、
    石の段を上がる。

    扉をくぐると、空気が変わる。

    私はきっと、
    ロビーの空気を吸い込む。

    あの香りを。

    それから
    Café Bela Vista の窓際に座る。

    コーヒーを飲みながら、
    外を眺める。

    窓の向こうには、
    薄い黄色のコロニアル建物。

    午後の光の中で、
    静かにそこにある。

    7年経っても、
    その景色は変わらない気がしている。

    そして思う。

    ここが、
    私の帰る場所だと。

     
     

    nazare

     
     
    海外在住。 旅とホテルとワインが好き。 続けたいことは続けて、やめたいことはやめる。 余白多めの暮らしの中で、気づいたことを書いています。

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