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ラノベ曞いおみた『神様なんおやりたくなかった 恵比寿様になっちたった俺ずギャル匁財倩の䞃぀の村再建蚘』第二話

    第2話 ギャル匁財倩、村に垰る

    「で、垰る方法は」

     キララが聞いおきた。

    「知らねぇ」

    「䜿えな」

    「お前も知らねぇだろ」

    「うちは今聞いた偎だし」

    「聞く盞手を間違えおる」

     朝。

     恵比寿村。

     俺は村の広堎にいた。

     広堎ず蚀っおも、ただの空き地だ。

     真ん䞭に壊れかけの井戞。

     暪に干からびた魚。

     奥に傟いた祠。

     貧乏テヌマパヌクかよ。

     隣には、癜ギャル匁財倩こず倩音キララ。

     昚日死んだ。

     俺も死んだ。

     死んだ二人が朝から「垰りたい」ず蚀っおいる。

     なかなか終わっおいる。

    「ねえ、゚ビ」

    「ケむむチ」

    「神様なのに垰り方知らないっお、やばくない」

    「神様になった芚えがない」

    「でも拝たれおたじゃん」

    「勝手に拝たれた」

    「りケる」

    「りケねぇ」

     そこぞ、村の老人がやっおきた。

    「恵比寿様。匁財倩様」

    「様をやめろ」

    「無理です」

    「即答すんな」

     老人は真面目な顔で蚀った。

    「人間界ぞ戻る方法でございたすが」

    「あるのか」
    「あるの」

     俺ずキララの声が重なった。

     村人たちが少し嬉しそうな顔をした。

     やめろ。

     倫婊みたいに芋るな。

    「詳しくは分かりたせん」

    「おい」

    「ですが、匁財村には叀い蚘録が残っおいるかもしれたせん」

    「匁財村」

     キララが銖をかしげた。

    「うちの村」

    「はい。匁財倩様の村でございたす」

    「いや、うち枋谷の人間なんだけど」

    「匁財村です」

    「話通じない系」

    「この䞖界、だいたいそうだぞ」

     俺はため息を぀いた。

     垰る方法。

     匁財村。

     叀い蚘録。

     どう考えおもむベント発生である。

     ラノベなら、ここで目的地が決たる。

     珟実なら、面倒ごずが増える。

     俺の人生はだいたい埌者だ。

    「行くしかないか」

    「だね」

     キララは琵琶を背負い盎した。

     いや、背負い方が劙に䌌合っおいる。

     ギャルなのに琵琶。

     違和感があるのに、なぜか様になる。

    「゚ビ、荷物持っお」

    「自分で持お」

    「うち匁財倩なんだけど」

    「俺も恵比寿らしいぞ」

    「じゃあ゚ビが持぀じゃん」

    「なんでだよ」

     老人が目を现めた。

    「仲がよろしいですな」

    「違う」
    「違うし」

     たた声が重なった。

     村人たちが嬉しそうにした。

     やめろ。

       

     匁財村たでは、海沿いの道を半日ほど歩くらしい。

     半日。

     埒歩。

     死埌の䞖界なのに亀通機関がない。

     せめお銬車くらい出しおほしい。

    「ねえ、゚ビ」

    「ケむむチ」

    「歩くのだるくね」

    「だるい」

    「神様ならワヌプずかできないの」

    「できるならもう垰っおる」

    「それな」

     キララはすぐ座りたがる。

     すぐ氎を飲みたがる。

     すぐ「䌑憩しよ」ず蚀う。

     でも、道端で転んだ子どもを芋぀けたら、俺より先に走った。

    「倧䞈倫 ケガしおない」

     声が急に優しくなる。

     ギャルなのに、面倒芋がいい。

     子どもの膝に぀いた砂を払っお、頭をなでお、笑わせおいる。

     なんか悔しい。

    「お前、意倖ずちゃんずしおるな」

    「は」

    「いや、なんでもない」

    「ギャルなめおる」

    「なめおない」

    「ギャルは埌茩ず子どもには優しいんだし」

    「そういうルヌルあるのか」

    「ある」

    「初めお聞いた」

    「今芚えたらいいじゃん」

     無茶苊茶だ。

     でも、少し分かる。

     こい぀は、たぶん俺ず同じだ。

     口は悪い。

     態床も軜い。

     でも、困っおいるや぀を芋たら䜓が動く。

     そういう損なタむプだ。

    「ねえ、゚ビ」

    「ケむむチ」

    「さっきからその竿、邪魔じゃない」

    「邪魔だよ」

    「眮けば」

    「眮けない」

    「なんで」

    「手が勝手に持぀」

    「こわ」

    「こわいんだよ」

     俺は釣竿を芋た。

     倩恵の竿。

     そう呌ばれおいた。

     䜕ができるのかは知らない。

     今のずころ分かっおいる胜力は、眮けないこずだけ。

     呪い装備じゃねぇか。

       

     匁財村は、想像よりも静かだった。

     いや、静かすぎた。

     入口に倧きな鳥居。

     奥に舞台。

     川沿いに家。

     色の耪せた提灯。

     壊れた倪錓。

     ひび割れた石畳。

     たぶん昔は賑やかだった。

     たぶん祭りの村だった。

     でも今は、音がない。

    「  ぀たんな」

     キララが䜎い声で蚀った。

    「ただ䜕も芋おないだろ」

    「芋たから蚀っおんの」

     村人たちが出おきた。

     恵比寿村よりは倚い。

     でも、みんな暗い顔をしおいる。

     そしおキララの琵琶を芋た瞬間、ざわ぀いた。

    「匁財倩様  」

    「たさか」

    「次代様」

     昚日芋た流れだ。

     たた土䞋座か。

     ず思ったら、違った。

     匁財村の人たちは土䞋座しなかった。

     ただ、困った顔をした。

     歓迎ずいうより、戞惑い。

     喜びずいうより、䞍安。

     キララが眉を寄せた。

    「なにその顔」

     村人の䞀人が頭を䞋げた。

    「匁財倩様。ようこそお戻りくださいたした」

    「戻った芚えないんだけど」

    「ですが  申し蚳ありたせん」

    「なにが」

    「この村にはもう、匁財倩様をお迎えする䜙裕がありたせん」

    「は」

     キララの目が现くなった。

     怖い。

     普通に怖い。

    「匁財倩の村なんでしょ」

    「はい」

    「音楜の村なんでしょ」

    「昔は」

    「祭りの村なんでしょ」

    「昔は」

    「今は」

    「  祭りは、癟幎ほど前から行っおおりたせん」

    「はあ」

     キララの声が裏返った。

    「癟幎 癟幎も祭りしおないの」

    「はい」

    「バカなの」

    「キララ、初察面」

    「だっおバカじゃん」

     村人たちがう぀むいた。

     キララは止たらない。

    「匁財倩の村で音なし 祭りなし 倪錓壊れっぱ 提灯しなしな なにそれ。やる気ある」

    「キララ」

    「ないなら䜜ればよくない 音出せばよくない 歌えばよくない」

     村人の䞀人が、ぜ぀りず蚀った。

    「そんな䜙裕はありたせん」

     その䞀蚀で、空気が重くなった。

     キララも少し黙った。

    「䜙裕がない」

    「食べるだけで粟䞀杯です」

    「楜噚を盎す朚もありたせん」

    「歌っおも腹はふくれたせん」

    「祭りをしおも、米は増えたせん」

     なるほど。

     これは、恵比寿村ず同じだ。

     貧乏になる。

     䜙裕がなくなる。

     楜しいこずをやめる。

     人ず䌚わなくなる。

     もっず貧しくなる。

     地味に嫌なルヌプだ。

     人間界でも芋た。

    「  歌っおも腹はふくれない、か」

     キララが぀ぶやいた。

     珍しく、ふざけおいなかった。

     でも次の瞬間、顔を䞊げた。

    「じゃ、腹ふくれるたで歌えばよくね」

    「は」

     俺も村人も、同じ声を出した。

    「ちょっず舞台借りるし」

    「匁財倩様、あの舞台はもう」

    「壊れおんでしょ 盎せばいいじゃん」

    「朚がありたせん」

    「じゃ、板倖れおる家あるじゃん。あれ䜿えば」

    「それは屋根です」

    「屋根は倧事だろ」

    「゚ビ、现かい」

    「现かくない」

     キララは舞台ぞ歩いおいった。

     止める間もない。

     やるなず蚀われたらやるタむプだ。

     絶察にトラブルになる。

     俺は頭を抱えた。

    「めんどくせぇ  」

       

     結局、舞台は盎した。

     俺が。

     いや、俺だけじゃない。

     子どもたちが手䌝いに来た。

     それを芋おいた村人たちも、少しず぀近づいおきた。

     キララは口だけ出した。

    「そこ違うし」

    「じゃあやれ」

    「うち総合挔出だから」

    「䟿利な圹職を䜜るな」

    「゚ビ、そこ斜め」

    「ケむむチだ」

    「゚ビの方が呌びやすい」

    「俺の名前より䜜業を芋ろ」

     倧倉だった。

     でも、気づけば人が集たっおいた。

     壊れた倪錓を運ぶ人。

     提灯を拭く人。

     叀い垃を掗う人。

     子どもたちは笑っおいた。

     久しぶりに音がした。

     朚を打぀音。

     垃をはたく音。

     子どもの声。

     ただ祭りではない。

     でも、祭りの準備みたいだった。

     問題は、途䞭で瞄が足りなくなったこずだった。

    「瞄ないの」

    「ございたせん」

    「釘は」

    「ほずんどありたせん」

    「なんで舞台盎そうずしおんだよ、俺たち」

    「゚ビがなんずかするっしょ」

    「投げるな」

     俺はあたりを芋た。

     川の向こうに、叀い瞄の束みたいなものが流れおいる。

     遠い。

     普通なら取れない。

     でも、手には釣竿がある。

     いや、たさか。

     たさかな。

    「  詊すか」

     俺は釣竿を振った。

     針なんか぀いおいない。

     でも、糞が勝手に䌞びた。

    「は」

     糞は川の向こうたで飛んで、流れおいた瞄に絡み぀いた。

     軜く匕く。

     瞄が飛んできた。

     俺の手元に萜ちた。

    「  」

    「  」

     党員が黙った。

     キララが目を䞞くした。

    「今のなに」

    「知らん」

     村人の䞀人が震えた声で蚀った。

    「恵比寿様の犏釣り  」

    「勝手に技名぀けるな」

    「犏釣り」

     キララがにやっず笑った。

    「いいじゃん。゚ビっぜい」

    「ケむむチだ」

    「犏釣りの゚ビ」

    「混ぜるな」

     そのあずも、なぜか釣竿は圹に立った。

     萜ちた倪錓の玐を釣る。

     草むらに埋もれおいた釘袋を釣る。

     屋根の䞊に匕っかかった叀い幕を釣る。

     䟿利すぎる。

     ただし、䜕が釣れるかは俺にも分からない。

    「ガチャかよ」

    「神様ガチャ」

    「嫌な蚀葉を䜜るな」

     キララは笑っおいた。

     村人たちも笑っおいた。

     さっきたで暗かった村が、少しず぀隒がしくなっおいく。

     俺は釣竿を芋た。

     眮けないだけの呪い装備ではないらしい。

     ちょっず悔しい。

       

     舞台は、倕方たでにどうにか圢になった。

     立掟ではない。

     むしろ傟いおいる。

     板も足りない。

     提灯も半分しか光らない。

     でも、舞台だった。

     キララはその䞊に立った。

    「じゃ、いくし」

    「匟けるのか」

    「ワンチャン」

    「ワンチャンで神事をするな」

    「神様だし」

    「さっきたでショップ店員っお蚀っおただろ」

    「兌業で」

    「雑」

     キララが琵琶を構える。

     村人たちが息をのむ。

     ぜろん。

     音が鳎った。

     昚日より、少し倧きい。

     明るい音だった。

     ぜろん。

     たた鳎る。

     音が広がる。

     壊れた提灯が、ふわっず光った。

     川の氎面がきらきらした。

     子どもが笑った。

     誰かが手をたたいた。

     キララは驚いた顔をしお、それから笑った。

    「なにこれ。楜しいじゃん」

     そのたた、めちゃくちゃな挔奏を始めた。

     䞊手いのか䞋手なのか分からない。

     たぶん䞋手だ。

     でも、音が明るい。

     村人の䞀人が、小さく歌い出した。

     別の人が手拍子した。

     子どもが螊った。

     老人が泣いた。

    「懐かしい  」

     誰かが蚀った。

    「匁財倩様の音だ」

     キララは照れたように顔をそらした。

    「いや、ただ緎習䞭だし」

     俺は少し笑った。

     こい぀は、たぶん本圓に匁財倩だ。

     本人は認めないだろうけど。

       

     その倜、匁財村では小さな灯りがずもった。

     祭りずいうほど倧きくはない。

     食べ物も少ない。

     音楜もぎこちない。

     でも、村人たちは笑っおいた。

     キララは囲たれおいた。

    「匁財倩様」

    「もう䞀曲」

    「キララ様」

    「キララでいいし」

     完党に調子に乗っおいる。

     たあ、いい。

     暗いよりはいい。

     俺は少し離れた堎所で、叀い茶を飲んでいた。

     空には星が出おいた。

     人間界で芋る星より近い。

     いや、死埌の䞖界の星に距離ずかあるのか知らないけど。

     キララの琵琶の音は、倜が深くなっおも止たらなかった。

     途䞭で䜕床か間違えた。

     村人たちはそれでも笑った。

     誰かが歌った。

     子どもが眠った。

     老人が泣いた。

     そしお、俺もい぀の間にか、壁にもたれお眠っおいた。

       

     翌朝。

    「  なんか増えおね」

     目が芚めお、最初にそう思った。

     家だ。

     昚日、壊れた提灯の暪に空き地があった。

     そこに小さな家が䞀軒建っおいる。

    「気のせいか」

     いや、違う。

     昚日はいなかった子どもが走り回っおいる。

     川の向こうで掗濯しおいるおばさんも芋芚えがない。

     それに、人が倚い。

     昚日より明らかに倚い。

    「  ゚ビ」

     隣で起きたキララも目をこすっおいる。

    「ケむむチ」

    「なんか人増えおない」

    「お前もそう思う」

    「うん。おか、家も増えおるし」

    「だよな」

     そこぞ村人がやっおきた。

    「おはようございたす、匁財倩様」

    「昚日より人増えおね」

    「そうでしょうか」

    「いや絶察増えおるし」

    「昚倜、隣の集萜から二家族戻っおきたそうです」

    「戻っおきた」

    「祭りの音が聞こえたそうで」

     村人は笑った。

    「久しぶりに、村に垰ろうず思ったのでしょう」

    「いや、家は」

    「昔の家が、少し戻ったのかもしれたせん」

    「家っお戻るもんなの」

    「神の村ですので」

    「䟿利な蚀葉だな」

     キララが小声で蚀う。

    「うち、なんもしおないし」

    「琵琶匟いただけだろ」

    「ワンチャン匁財倩」

    「盛るな」

     でも、盛っおいるずも蚀い切れなかった。

     昚日より村が明るい。

     人がいる。

     家がある。

     音がある。

     たった䞀晩で、少しだけ村が戻った。

     どういう理屈かは知らない。

     でも、たぶんこれが神様の仕事なのかもしれない。

     めんどくさい予感がした。

       

     朝のうちに、村の長らしい女性が来た。

    「恵比寿様」

    「ケむむチでいい」

    「では、恵比寿様」

    「話聞いおた」

     女性は小さく笑った。

    「人間界ぞ戻る方法をお探しだず聞きたした」

    「知っおるのか」

    「匁財村の叀文曞に、それらしき蚘述がありたす」

    「マゞか」

     思わずキララみたいな蚀い方になった。

     最悪だ。

    「芋せおくれ」

    「こちらぞ」

     案内されたのは、村の奥にある小さな蔵だった。

     叀い。

     埃っぜい。

     クモの巣だらけ。

     ラノベならここで光る本が出おくる。

     ず思ったら、本圓に光っおいた。

    「そこは普通に光るんだな」

     叀文曞は、朚箱の䞭に入っおいた。

     衚玙には、読めない文字。

     でも、俺が觊れるず、文字が勝手に読めるようになった。

    「䟿利機胜あったのかよ」

     そこには、こう曞かれおいた。

    『䞉犏集いお、青韍の鍵を埗よ』

    「䞉犏」

     女性が蚀った。

    「恵比寿様、匁財倩様、そしお倧黒倩様のこずかず」

    「倧黒倩  米の村か」

    『鍵は青き韍が守る』

    「青き韍」

    「この近くの山道に、若い青韍が䜏んでいるず䌝わっおいたす」

    「韍」

     出た。

     急にファンタゞヌ感が増した。

     神様になった時点で十分ファンタゞヌだが、韍はさらに分かりやすい。

    『鍵を開き、䞃犏神殿ぞ至れ』

    「䞃犏神殿」

    「䞃犏神すべおに関わる神殿ず䌝わっおいたす」

    「䞉犏っお蚀った盎埌に䞃犏かよ」

    「たず䞉犏が集わねば、門は開かぬそうです」

    「段階制か。めんどくせぇ」

    「神殿に行けば、人間界に垰れるのか」

     女性は少し困った顔をした。

    「そこたでは」

    「そこたで曞いずけよ」

     俺は叀文曞を閉じた。

     情報が䞭途半端すぎる。

     攻略サむトなら䜎評䟡だ。

     でも、手がかりはできた。

     倧黒倩。

     青韍。

     䞃犏神殿。

     そしお鍵。

     面倒ごずの匂いしかしない。

       

     匁財村を出る時、村人たちは昚日より明るかった。

    「匁財倩様、たた来おください」

    「キララ様」

    「次はちゃんず祭りを」

    「次たでに倪錓盎しずいお」

     キララは笑っお手を振った。

    「うちもたた来るし」

    「調子に乗っおるな」

    「乗るっしょ。村ちょっず明るくなったし」

    「たあな」

    「で、次どこ」

    「䞀回、恵比寿村に戻る」

    「えヌ、たた」

    「準備がいる」

    「倧黒村行くんでしょ そのたた行けばよくね」

    「魚がいる」

    「魚」

    「たぶん」

    「たぶん」

    「なんか必芁な気がする」

    「゚ビ、意倖ず適圓じゃん」

    「お前にだけは蚀われたくない」

    「りケる」

    「ケむむチだ」

     俺たちは匁財村を出お、海沿いの道を戻った。

     垰り道、キララはずっず昚日の話をしおいた。

     誰が歌ったずか。

     誰が泣いたずか。

     誰の手拍子がズレおいたずか。

     正盎、うるさい。

     でも、たあ、悪くはなかった。

       

     恵比寿村に戻った瞬間、俺は足を止めた。

    「  増えおる」

    「なに」

     キララが銖をかしげる。

    「家」

    「ほんずだ」

     昚日たで空き地だった堎所に、小屋ができおいる。

     傟いおいた船も䞀隻増えおいた。

     それに、人がいる。

     昚日はいなかった若い男。

     魚を干しおいるおばさん。

     走り回る子ども。

    「゚ビ、昚日こんなんだった」

    「違う」

    「人増えおるし」

    「増えおる」

     するず、村長代理が走っおきた。

    「恵比寿様」

    「増えおるよな」

    「はい 昚倜、持から戻った者たちが村に垰っおきたした」

    「昚日いなかった奎ら」

    「隣の入り江で暮らしおいた者たちです」

    「なんで急に」

    「魚が増えたのです」

    「は」

    「網にかかる魚が昚日の䞉倍になりたしお」

     村長代理は涙ぐんだ。

    「先代様の頃にも、これほどの倧持はなかなか  」

     昚日より明らかに倚い。

     桶の䞭で跳ねる魚。

     干物にされおいる魚。

     小魚。

     倧きな魚。

     謎の魚。

     異䞖界の魚は、芋た目が少し匷い。

     俺ずキララは顔を芋合わせた。

    「゚ビ」

    「ケむむチ」

    「うちたち、なんかした」

    「知らん」

    「怖くね」

    「ちょっず怖い」

     でも、村は昚日より明るかった。

     魚を干す匂い。

     子どもの声。

     船を盎す音。

     昚日は死にかけおいた村が、少しだけ息を吹き返しおいる。

     俺は釣竿を芋た。

     キララは琵琶を芋た。

     たぶん、俺たちは䜕かをした。

     䜕をしたのかは、よく分からない。

     だが、ひず぀だけ分かる。

     これ、絶察に面倒なこずになる。

       

     倕方、俺たちは恵比寿村の広堎で魚を芋おいた。

     昚日より明らかに倚い。

     干物。

     小魚。

     倧きな魚。

     謎の魚。

     異䞖界の魚は、芋た目が少し匷い。

     たたに角がある。

     食えるのか、これ。

    「゚ビ」

    「ケむむチ」

    「倧黒村、行くんでしょ」

    「ああ。叀文曞にそう曞いおあったからな」

    「米の村だっけ」

    「ああ」

    「じゃ、なんずかなるし」

    「䞀番信甚できない蚀葉だな」

    「でも、昚日だっおなんずかなったじゃん」

    「昚日はお前が勝手に舞台を盎し始めお、俺が巻き蟌たれただけだ」

    「結果オヌラむじゃん」

    「その考え方が怖いんだよ」

     キララは笑った。

     恵比寿村の空に、倕日が沈んでいく。

     昚日より人が増えた村。

     昚日より音が戻った村。

     どちらもただ貧乏だ。

     どちらもただ頌りない。

     でも、たぶん少しだけ前に進んだ。

     人は、腹が枛る。

     金もいる。

     米もいる。

     でも、たぶんそれだけじゃない。

     笑う理由もいる。

     歌う堎所もいる。

     誰かず飯を食う堎所もいる。

    「めんどくせぇな  」

    「たた蚀っおる」

    「口癖だ」

    「じゃ、うちはこれ」

     キララはにっず笑っお、琵琶を肩にかけた。

    「なんずかなるし」

    「䞀番信甚できない蚀葉だな」

    「でも、だいたいなんずかなるっしょ」

    「お前が蚀うず、なんずかならない気がする」

    「その時ぱビがなんずかしお」

    「俺に投げるな」

     こうしお、俺たちの次の目的地は決たった。

     倧黒村。

     米の村。

     そしお、たぶん面倒ごずの村。

     垰り道はただ遠い。

     ずいうか、本圓にあるのかも分からない。

     でも、ずりあえず進むしかない。

     釣竿䞀本。

     琵琶ひず぀。

     ギャル䞀人。

     神様生掻二日目。

     すでに垰りたい。


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