
お土産を渡して、ちょっと傷ついた話
「家族と食べました」と言われて、なぜか笑顔が一瞬固まった。
バイト先の人にお土産を渡した。
後日家族で食べたと聞いて、なんか、引っかかった。
その人自身に食べて欲しかったんだよなあと、いや、その人に渡したものだからどう扱おうとなんでもいいのだけれど。
キャッチボールのつもりだった
心の端っこを紙で切ってしまったような。
一瞬だけチクっとするけど同時にごまかせるくらいの極小のささくれ。
気落ち、落胆というほど大袈裟なものじゃない。
影が落ちただけのことなのに痛みとして感じてしまったような感覚。
嫉妬?
の方が近いのかな。でも違う。
自分はその人に向けていたのに、向き合ってもらえず別の人たちの方を向いていたような。
キャッチボールのつもりで投げたボールでその人が他の人たちと遊ぶのを眺めることになった感じ。
恋愛感情はないけれどこれが近しい気がする。
たぶん、期待と違った。
自分の一方通行な感じがしたんだと思う。
「家族と食べました」は良い報告として言ってくれたんだと思う。家族も喜んでたと言っていた。
でもそれを聞いて晴れなかったのだ、太陽がいつもより少し遠くにいる感じがした。
嬉しかった共有を、小さな小さな落胆に変換して受け取ってしまったようだ。
自分だったら、美味しかったありがとう、と言うためにひとつは食べる。
そして、相手に
「美味しい」
「お土産選びのセンスあるね」
「美味しくて幸せ」
「元気出たわ」
みたいな言葉をつい口に出してしまう。
もちろん本気でそう思っている。
根っこは、たぶん、相手に渡してよかったと喜んでもらいたいのだと思う。
喜んでもらいたいから、言葉が増える。その瞬間は全部本気だ。美味しいし、センスあると思っているし、食べられて幸せに感じているし、元気が出てくる。
だから自分は相手にも同じような返しを期待してしまったのかもしれない。
欲しかったのは、手応え
その人が美味しいと感じたこと。
その人自身が受け取ってくれたという手応え。
というような、自分の気持ちをその人に握ってもらえたという確証が返ってくると思っていた。あるいは、もらいたかった。
自分がいつも相手に渡しているものだから、同じように受け取りたかったんだと思う。
正解の感情を仕立て上げる
けれど、自分はずっと、その場に合う感情を作ってきたのかもしれない、とふと思った。
その場面での正解の感情をみぞおちの奥から仕立て上げる。
本気で。
本気だったから嘘ではない。
自然に湧いたものか分からない。
でもさ、本気で思い込むとウソ発見器もすり抜けるっていうじゃない。
それなのかな。