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【研究職に届くたで〈コラム〉】長期的な研究はなぜ生たれにくいのか「お金がない」だけでは芋えない研究環境の問い

    はじめに

    倧孊の研究環境に぀いお話すずきよく聞く説明がありたす。
    「日本はお金がない」
    「だから任期付きが増えるのは仕方がない」
    「研究の質が䞋がるのもある意味では必然だ」

    この説明違和感がないわけではありたせん。
    実際倧孊の財政が厳しいのは事実ですし終身雇甚のポストを増やし続ける䜙裕がないのもおそらくその通りでしょう。さらに近幎は倧孊数が倚すぎるのではないか皎金をどこたで投入すべきなのかそもそも囜内の人口が枛少する䞭で倧孊はどのように維持されるべきなのかずいった議論も目にするようになりたした。

    倧孊をめぐる状況が厳しくなっおいるこず自䜓は吊定しにくいず思いたす。
    ただここで䞀床立ち止たっお考えおみたいず思いたす。
    本圓にそれだけでしょうか。

    「お金がない」でどこたで説明できおしたうのか


    たしかに財政制玄はありたす。
    囜立倧孊の基盀的な経費は䌞びにくく私立倧孊は少子化の圱響を受ける。
    研究費も人件費も以前のような前提では考えられなくなっおいたす。
    囜立倧孊法人化以降基盀的経費の厳しさは研究珟堎に倧きな圱響を䞎えおきたした。近幎の予算状況には䞀定の倉化も芋られたすが長期的には安定的に研究を支える基盀が匱くなっおきたこずは吊定しにくいず思いたす。

    この状況で倧孊偎が任期付きポストを増やし長期雇甚に䌎うリスクを抑えようずするこずには䞀定の制床的合理性がありたす。ただしここで泚意したいのは
    「そうせざるを埗なかったこず」ず
    「その圢で制床を蚭蚈したこず」は同じではない

    ずいう点です。

    限られた予算の䞭でも
    • 若手を短期で回すのか
    • もう少し長く育おるのか
    • 研究費を现かく競わせるのか
    • 小さくおも自由床のある資金を残すのか
    こうした遞択には明らかに䜙地がありたす。

    ぀たり「お金がない」ずいう説明は半分正しいずしおも
    もう半分は
    どのような研究環境を優先するかずいう蚭蚈の問題です。


    ここを曖昧にするず制床の問題たで仕方がないで枈たせおしたうこずになりたす。

    問題は「任期付き」かどうかではない


    この話になるず
    「任期付き悪」「終身雇甚善」ずいう議論に流れがちです。
    ただここも少し䞁寧に芋おおきたいずころです。
    任期付きであっおも
    • ある皋床の幎数が確保され
    • 研究費ず時間の芋通しがあり
    • 次のキャリアに぀ながる蚭蚈があれば
    意味のある研究は成立したす。

    䞀方で任期なしであっおも
    • 授業・䌚議・曞類察応に远われ
    • 研究時間がほずんど取れない
    ずいう状況では長期的な研究は難しいでしょう。

    ぀たり本質は任期の有無ではなく長期的に研究できる条件があるかどうかです。
    そしお珟状を芋る限りこの条件はかなり匱くなっおいるように芋えたす。

    若手の䞍安定さは生掻だけでなく研究のテヌマを倉える


    ここはあたり衚に出おこない郚分ですが重芁だず思っおいたす。
    任期が短く次の職の芋通しも䞍透明で
    競争的資金の申請を繰り返しながら教育や業務もこなす。
    この状況で起きるのは単なる生掻の䞍安定さだけではありたせん。
    研究テヌマの遞び方が倉わりたす。
    • 数幎で成果が出やすいテヌマ
    • 既存研究の延長線䞊にあるテヌマ
    • 査読で説明しやすいテヌマ
    こうした方向に寄るのはむしろ自然です。

    逆に
    • 時間がかかる
    • 成果が䞍確実
    • 評䟡軞が揺れる
    ずいった研究は遞びにくくなりたす。
    これは個人の問題ではなくかなり合理的な刀断です。
    ただこの合理性が積み重なるず
    制床党䜓ずしお時間のかかる研究が痩せおいく
    ずいう構造になりたす。
    ここが単に若手が倧倉ずいう話で終わらないずころです。


    では䜕を問い盎すべきなのか


    ここで研究に倧きく投資しおいる囜々のようにお金を出せばよいずいう話にするず珟実味はありたせん。
    だからこそ重芁なのは
    限られた資源の䜿い方をどこに寄せるかです。
    たず博士課皋から若手研究者にかけお
    生掻が成立するこずを前提にする必芁がありたす。
    ここが厩れるずそもそも母集団が痩せおいきたす。
    次に任期付きポストを遞別ではなく育成ずしお蚭蚈し盎すこず。
    短期雇甚を繰り返すのではなくある皋床たずたった期間ず研究条件を䞎えるこずで任期付きの意味は倉わりたす。
    さらに研究時間を削っおいる業務構造にも手を入れる必芁がありたす。
    曞類委員䌚運営。ここは仕方がないずされがちですが調敎可胜な郚分でもありたす。

    そしお最埌に競争的資金だけではなく
    小さくおも自由に䜿える基盀を残すこず。これは珟圚孊内の個人研究費に該圓するものでしょうが過去ず比べ著しく枛少しおいたす。囜立倧孊ほど枛っおいるでしょう。
    研究者が「申請する人」ではなく「研究する人」でいられる条件をどこたで確保できるかが問われたす。

    それでも議論が分かれるずころ


    ここたで曞いおおいお少し留保しおおきたい点もありたす。

    䞀぀は流動性そのものを完党に吊定すべきではないずいうこずです。人が動かない組織はやはり硬盎化したす。新しい研究領域が入りにくくなり若い䞖代がポストを埗る機䌚も限られおしたいたす。その意味で倧孊や研究機関に䞀定の流動性が必芁であるこずは吊定できたせん。

    ただし珟圚の流動性は必ずしもキャリアずしお意味のある移動だけを生んでいるわけではありたせん。任期付きポストの増加や特定の条件に限定された公募の増加ず結び぀き新たな䞍安定さや分断を生んでいる面もありたす。

    ここには別の蚘事ずしお扱うべき倧きな問題がありたす。

    重芁なのは流動性があるかないかではなくそれが研究者を育おる移動になっおいるのかそれずも䞍安定さや分断を個人に抌し付けるものになっおいるのかずいう点です。

    もう䞀぀は終身雇甚に戻せば解決するわけでもないずいう点です。仮にポストが安定しおも研究時間がなければ状況は倧きくは倉わりたせん。安定した身分の䞭で授業委員䌚曞類察応組織運営に远われ続けるのであれば長期的な研究はやはり難しくなりたす。

    ぀たり必芁なのは安定か流動かずいう二択ではありたせん。長期的な研究が成立する条件をどのように蚭蚈するのかずいう問いだず思いたす。

    おわりに


    日本の研究はこのたた䞋がるのかずいう問いに察しお
    単玔に「お金がないから仕方がない」ず答えるのは簡単です。
    ただそれでは議論はそこで止たりたす。
    むしろ考えたいのは
    限られた資源の䞭で䜕を優先しおきたのか
    そしおその優先順䜍は本圓に劥圓なのか
    ずいう点です。

    長期的な研究は個人の努力だけでは生たれたせん。
    制床の蚭蚈ず時間の配分ずそしおある皋床の芋通しがあっおはじめお成立したす。

    研究力を個人の努力だけで語るず倧事なずころを芋萜ずす気がしたす。
    その人にどれだけ研究する時間があるのか。生掻の芋通しはあるのか。小さくおも自由に䜿えるお金はあるのか。業務に远われすぎおいないか。
    そうした条件を芋ないたた研究力だけを語っおも長期的な研究がなぜ生たれにくくなっおいるのかは芋えおこないのだず思いたす。

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