気づきの種#62_『大きな声の幻想』~誇るべき無知 と 恥じるべき博識~
人生を楽しく生きるための『気づきの種』を“短い物語”にしてみました。
「投資」「習慣」「幸福」「考え方」などが中心ですので楽しんでもらえましたら何よりです!
【まえがき】

↓“物語”の前に私の想いを少しだけ…↓
未来ある中学3年生に、
「しっかり学校の勉強をして良い学校に行って、しっかり働いて、楽しめるくらいの貯金をしておけば、お金がいっぱいなくても幸せだよ」と言う大人を、みなさんはどう思いますか?
私はこの言葉を聞いていくつか疑問が残りました…。
それを言った大人の常識はそうだったのかもしれませんが、これからの日本はテクノロジーを活用した人が優位に立つ社会になると思われますし、少子化により個々の能力に応じた働き方が必要にもなってくるとも思いますし、インフレも継続すると思われるので過去の常識は多くの場面で非常識になる可能性も高いと私は思っています。
私は、お金のことを人一倍考えていますが、その人はお金の話は嫌いだと言います。
私は、「お金がある=幸せ」だとは思っていませんが「お金はある方が良い」と思っています。
ですが、その人は「お金がなくても幸せ」だと言います。
私は、「お金がない=選択の自由がなくなる」だと思っています。
その人は「学校の勉強をすれば良い人生になる」と本気で思っています。
私は、「無知であること」が問題だと思ったことはありませんが、「無知である自覚がないこと」がこれほど怖いと思ったことはありませんでした。
私は、未来ある中学3年生に
「自分が物事を知らないことは恥でもなんでもないけど、物事を知らないという自覚がないことは成長を妨げるから、それだけは覚えておこうか」とだけこっそり伝えました。
(これらは、親戚が集まった時の話です…)
「無知の知」とは、深い意味のある4文字だなと湯船に浸かりながらしみじみ思いました…。
それでは、少しのお時間ですが”短い物語”をお楽しみください!
『気づきの種』になる!?かも・・・。
『大きな声の幻想』~誇るべき無知 と 恥じるべき博識~
福美(ふくみ)は小さなデザイン事務所で働く、地味で目立たない存在だった。
しかし、彼女の仕事ぶりは緻密(ちみつ)で正確で、クライアントからの信頼は厚い。
彼女の口癖は「まだ勉強不足で」だった。
どんなに褒められても、どんなに成功しても、彼女はいつも謙虚な姿勢を崩さなかった。
ある日、大きなプレゼンの場で、福美のチームが提案する斬新なデザイン案に対して、ベテランのデザイナーである中島が異議を唱えた。
中島は業界歴が長く、自信満々で、いつも自分の意見を曲げない人物だった。
「その案は、流行に逆行している。クライアントはもっと派手なものを求めているはずだ」
中島はそう断言し、自分の過去の成功例を並べ立てた。
福美は静かに中島の意見を聞きながら、提案の意図を丁寧に説明した。
市場調査の結果、クライアントのターゲット層は、派手さよりもシンプルで機能的なデザインを好む傾向にあること、そして、このデザインが長期的にクライアントのブランド価値を高めることなどをデータを用いて論理的に解説した。
しかし、中島は聞く耳を持たず、「お前のような若造に何がわかる」と一蹴した。
プレゼンは結局、福美の案が採用された。
中島は不満そうだったが、クライアントの評価は非常に高く、そのプロジェクトは大成功を収めた。
福美は周囲から称賛されたが、やはり「たまたまです。まだまだ勉強することがたくさんあります」と謙遜(けんそん)した。
後日、中島が福美に尋ねた。
「お前は、どうしてあんなに自信がないんだ?自分の成功を誇るべきじゃないか」
福美は静かに答えた。
「中島さん、私は自分が知らないことの多さを知っているだけです。だから、常に新しいことを学び続けなければならないと思っています」
中島は「無知の知」という言葉を知っていたが、その真意を理解していなかった。
彼は「知っていること」が多ければ多いほど偉いと思い込んでいたのだ。
数年後、福美は独立し、中島は未だに昔の成功体験に固執していた。
あるプロジェクトで、中島はクライアントの要望を無視し、自身の独断で古いデザインを押し通そうとした。
その結果、クライアントとの関係は悪化し、契約は破棄された。
中島は途方に暮れ、福美に助言を求めた。
「どうしたら、もう一度成功できるだろうか?」
福美は優しく微笑んで言った。
「中島さん、あなたは『無知の知』を知っていますね。ですが、あなたはそれを理解する必要はありません。知らない方が幸せなこともありますよ」
福美の言葉は、中島をさらに混乱させた。
彼は「無知の知」が、自分の無知を自覚することだと理解していた。
しかし、福美の言う「理解する必要はない」という言葉が何を意味するのかわからなかった。
後日、中島は福美の真意を理解する。
福美は「無知の知」が、自分の知識不足を自覚し、謙虚に学ぶ姿勢を育む素晴らしい言葉だと信じている。
しかし、その価値を理解できない中島のような人には、その言葉の本当の意味を教えても、逆にプライドを傷つけ、反発を招くだけだと福美は気づいていたのだ。
中島は、自分自身の無知を認められない、まさに「無知」そのものだった。
そして、その無知こそが彼のプライドを保ち、彼を成功へと導いた。
福美は、中島にとって「無知の知」は、むしろ不要な苦しみをもたらす毒のようなものだと知っていた。
だから、彼女は中島にその真実を教えなかったのだ…。
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