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妻の異変

    私の妻は、普段とてもよくしゃべる人です。

    日中は家で猫二人と過ごしているため、話し相手は基本的に「ニャー😺」しか言わない。

    その反動なのか、私が帰宅すると、スイッチが入ったようにしゃべります。

    今日あったこと。
    スーパーのレジの出来事。
    ネットの情報。
    猫の行動分析(わりと本気)。

    私は夕食を食べながら、「うん」「へぇ」「それで?」と相づちを打つのが日課です。

    これはもう、我が家の平和維持活動のひとつと言っていいでしょう。

    ところが。

    3年に2回くらいでしょうか。

    突然、完全沈黙モードに入ることがあります。

    話しかけても返事なし。
    最低限の言葉しか話さない。
    空気だけが、異様に重い。

    あれだけ普段しゃべる人が、急に「ミュート設定」になるのです。

    妻は基本的に、思ったことはハッキリと言う性格です。

    喜怒哀楽もわかりやすい。
    特に「怒」は、わかりやすいどころか拡声器レベルです。

    それなのに、この時だけは理由を言わない。

    私は心の中で考えます。

    何か言っただろうか?
    ゴミ出しを忘れたか?
    靴下を裏返しで洗濯に出したか?
    いや、昨日は特に問題はなかったはず…。

    以前、「どうしたの?」と聞いたことがありますが、「はっ?何もないけど?」と冷たく言われるだけ。

    それ以来、私は学習しました。
    この現象は、下手に触れないほうがいい。

    今は、静かに見守るのみ。

    数日すると、なぜか自然に復活します。
    まるでアップデートが完了したかのように、突然よくしゃべり出す。

    そして私は、何事もなかったかのように相づちを再開するのです。

    昨日、その「現象」がまた発生しました。

    さて、今日帰宅したらどうだろうか?
    沈黙は継続中か、それとも通常運転か。

    私としては、その不機嫌な空気に巻き込まれないようにしつつ、心の中のテンションは下げない作戦でいきたい。

    もし今夜も無口なら、読書でもしよう。
    勉強でもしよう。
    自分磨きの時間だと思えばいい。

    とはいえ、

    やっぱり、あのマシンガントークが戻ってくると、ホッとします。

    出会ってから30年。

    それなりに理解しているつもりでも、ときどき「未解明の生態」が現れる。

    夫婦とは、完全に分かり合う関係ではなく、
    ちょっとした謎を楽しみ、続けるものなのかもしれません。

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