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【小説】『🌌光を喰らう白の庭』第18話─白の庭で芽吹く声


    白い天井を、ずっと見つめていた。
    そこには、何も書かれていない。
    ただ、名もない光をくぐり抜けてきた白が広がっていた。

    それが、ひどく懐かしくて、少しだけ怖かった。
    この白の中に、もう一度失うかもしれないものがある気がした。

    ゆっくりと息を吸い込む。
    胸が軋む。
    空気が、肺の奥まで入り込むたび、どこか痛むのに、それでも愛おしい。
    痛いほど確かで、この世界のものだと思えた。

    視線を横に向ける。
    白いカーテンの隙間に、やわらかな光が滲んでいる。
    それは、掌に宿した光と同じ色だった。

    「……おかえり。」

    声がした。
    けれど、その声は空気を震わせたものではなかった。
    胸の奥に、ふと沈む温度のようだった。

    視線を戻すと、白い輪郭がそこにあった。
    ひとりの人影。
    輪郭はまだ曖昧で、目も口も分からなかった。
    でも、その沈黙は、どこまでも優しかった。

    「待っていてくれたのか。」

    喉が乾いて、掠れた声しか出せなかった。
    それでも、白い輪郭は、はっきりと頷いた。

    胸の奥に、苦しいくらいの温度が広がる。
    懐かしさと痛みが、混ざり合っていた。
    きっと、ここに戻ることが怖かったのは、この温度をもう一度知ってしまうからだ。

    そっと視線を落とすと、掌の光が震えていた。
    それは現実の中で、確かに息をしていた。
    名もないまま、何かを語ろうとしている気がした。

    「……分からない。」

    小さく呟く。
    答えはどこにもなかった。
    でも、その分からなさが、いまは少しだけ救いだった。

    視界の端で、白い輪郭が、また頷いた。
    言葉はなくても、伝わるものがあった。
    ここにいることだけで、十分だった。

    「これが……再生なのか。」

    自分に問いかけるように呟く。
    応える声はなかった。
    けれど、名もない光が掌で小さく脈動した。
    その震えは、遠い世界で始まった旅の証だった。

    そして、この場所が、また新しい旅の始まりであることを、どこかで確かに知っていた。

    「……一緒に、生もう。」

    震える声で、ようやく言葉になった。
    白い輪郭が、少しだけ近づく。
    それは、同意の気配だった。

    この白の庭で、何かが芽吹こうとしていた。
    まだ名もない、でも確かなものが。

    カインは、目を閉じた。
    胸の奥に灯る、微かな光を抱きしめるように。

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    東雲ふわり🫧

     
     
    色々なことに興味があるただの大学生。 好きなことを好きなだけ綴る。 🫧ふわふわり、ふわふわる🫧

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