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humble_dahlia809
名前のない転校生|きのこ書店🍄🟫|平日短編note
小学3年生の春、転校生が来た。
彼女は、あっという間にクラスに溶け込んだ。
きっと、それは彼女が
僕たちが一度話したことは覚えていたからだ。
「だって、あの時はこうだったんでしょ?」
話さないことも。
「ねぇ、大丈夫?
こういうの、本当は嫌いなんでしょ?」
幼稚園から一緒のやつらより、僕のことをわかってくれた。
ある日、
放課後の誰も居ない教室で、僕が書いていた絵を、彼女は褒めてくれた。
兄に貶されて以来、絵を人に見られるのが怖かった。
「えっ? そこがいいんだよ!私は、好き!」
それがうれしくて、
みんなが見ている時でも気にせずに描けた。
夏休みも終わり、
僕は、宿題の他に
自信作を何枚も持って学校に向かった。
あの子に見てもらいたかった。
でも、居なかった。
彼女は、また転校していった。
数年後、卒業式間近の教室で。
「そういえば、転校生、いたよね?」
卒業アルバムに載らない彼女。
僕が描いた彼女の横顔だけが残っていた。
