
鏡の湖と、ちょっとざわつく気持ち
不思議の国には、
“鏡の湖”と呼ばれる場所があります。
その湖は、
ただ景色を映すだけではありません。
そこに映るのは、
「自分の中にあるもの」だけ。
ある日、
ひとりの住人が湖をのぞき込みました。
するとそこには、
とても素敵な言葉を紡ぐ人の姿が
映っていました。
「いいな」
そう思った瞬間、
胸の奥が、少しだけざわっとしました。
「なんでこんな気持ちになるんだろう?」
住人は少し戸惑いながら、
もう一度、湖を見つめました。
すると今度は、
さっきの“誰か”ではなく、
自分の姿が映っていました。

同じように言葉を持っていて、
同じように感じることができて、
でも、まだ外に出していないだけの自分。
そのとき、住人は気づきます。
「いいな」と思ったものは、
遠くにあるものじゃなかった。
少しだけ、
先に形になっているだけで、
もともと、自分の中にもあったもの。
胸のざわつきは、
「持っていない」サインじゃなくて、
「もう持ってるよ」
っていう合図だったのかもしれません。
その日から住人は、
湖を見たあと、
こう考えるようになりました。
「これ、私ならどう表現する?」
不思議の国では、
ざわつく気持ちも、
ちゃんとヒントになります。
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