
弓恋
私は弓道部に所属しています。
毎日毎日、的前に立ち、弓手や馬手に豆ができるほど練習をしました。
私の学校は、他の学校よりも練習時間が短いし、ちゃんとした講師もついていない。
それでも、私はただ、弓道が上手くなりたいから。弓道で結果を出したいがために的前に立ち続けました。
高校2年生の高校総体のことでした。
私にも好機が訪れた。
個人戦では予選を通過し、準決勝ではプレッシャーといつもよりも温かい気候だったということもあり、握り革が滑り、結果は予選2中、準決皆伐で終了。
何よりも、自分自身の無力さ、未熟さが頭にきました。
ついでに言えば、予選を通過したときには何も言わなかった仮の顧問が準決でダメだった私に言い放った、「当たらない射をしている。」という発言にも。
次の日は団体戦。
団体戦では2回予選で引くことができます。
1回目では2中。
そして、2立目では皆中を人生で初めて経験しました。
3射目が当たった時には「自分はもしかしたらいけるのではないか。」「もしかしたら、皆中できるのではないか。」という、舞い上がる心を律し、「舞い上がるな、冷静になれ、分析していつも通りの射で当てろ。」と、必死に震える四肢を落ち着かせて4射目を射たのです。
第三の時点で、当たることは確信しました。
当てた瞬間、観客席から聞こえてくる仲間たちの掛け声、他校の方々も拍手してくださり、盛り上がっていることを肌で感じました。
嬉しくて、嬉しくて、自分の中の何かの感情が、やっと少し自分を認めた気がしました。
実際、中学時代から弓道部に所属していらっしゃる一人年上の尊敬する先輩にも、控室で「おめでとう。」と称賛の言葉をかけていただき、認められたような気がしました。
そのひと言だけ、そのひと言のために弓道を続けたと言っても過言ではないくらいには、嬉しくてたまらなかったのです。
しかし、たった一人が皆中できたところで予選を通過できるほど、大会は甘くはありませんでした。
結局、団体戦では予選を通過することはできませんでしたが、この大会で皆中したという経験は、私にとって、弓道という武道を本気で愛し、取り組み、上を目指す通過点になりました。
これから、私は今まで以上に弓道を真剣に取り組んでいくことを決意した瞬間でもありました。
両親にはあらかじめ、大会で皆中したら弓を買ってもらう約束をしていたため、これから欲しい弓を選びにネットを駆け回ろうかと思います。