メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byblue_lace_moon

朝顔は、朝咲くのだろうか

    朝顔は、本当に朝咲くのだろうか。

    高校生の私は、それを試してみた。

    つぼみの朝顔を一輪、煤竹の花入れに挿し、床の間へ置く。
    雨戸を閉め、部屋は真っ暗になった。

    私は、わくわくしていた。

    翌朝、まだ暗いうちに雨戸を開ける。
    朝顔の前に、ただ座った。

    静かだった。

    暗闇に目が慣れたのか。
    それとも夜が明けてきたのか。

    ふと、朝顔が動いた気がした。

    ぽっと、花の先がほどけた。

    思わず息をのむ。

    少しずつ。
    本当に少しずつ。

    花は、自分の力だけで朝を迎えていく。

    私は泣きそうになっていた。

    そこには、朝顔と私だけの時間が流れていた。

    実験をしようとした邪な私。

    ただ咲くことだけをしている朝顔。

    それだけのことが、どうしてこんなにも強いのだろう。

    あれから何十年もたった。

    でも、あの朝の静けさと、朝顔が開いていく姿は、今も忘れられない。

    出会えてよかった。

    あの素晴らしい時間に、今でも感謝している。

    もし客人を迎える日があるなら、咲いた朝顔を飾るのではなく、一緒に朝顔が咲く時間を贈りたい。

    それが、私にとって一番のもてなしだと思っている。

     
     
    65s歳で、noteデビューさせていただきました。この15年たくさん経験をさせて頂きまして、このnoteに出会いました つたない文章ですが、日々の疑問に共感できる時間をご一緒させていただければ、うれしく思います。

    あなたへのおすすめ