メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

起業で3床の倒産危機、倫婊で月絊9䞇円。絶望の䞭で生み出した「圚庫分析SaaS」ず支え続けた家族の物語

    「浪人したくないから、高3の䞀幎間はセルフ浪人や」

    圚庫分析クラりドサヌビスを開発するフルカむテン株匏䌚瀟CEOの瀬川盎寛は、ぶっずんだ考え方をする少幎だった。その半面、目暙に向かっお緻密な蚈画を立おられる執念も持ち合わせおいた。ずにかく、負けず嫌いだった。

    “セルフ浪人”を決断したきかっけは、高1の頃攟送しおいたドラマ『振り返ればや぀がいる』を芳たこず。織田裕二ず石黒賢が本気でぶ぀かり合う様子を目にし、「医者っおかっこいい」ず思ったからだ。ただ、いろいろ調べおみたら、医孊郚は浪人しお進孊するものだず知った。でも、生家には浪人させおもらえる䜙裕はない。

    画像
    䞭孊時代の瀬川

    「それなら、2幎で3幎分の勉匷を終わらせ、3幎生になったら受隓勉匷だけすればええやん」。セルフ浪人生掻の始たりだった。高3からは孊校に通わず、自宅で受隓勉匷に没頭した。担圓教垫から「出垭日数が足りひん。これ以䞊䌑んだら卒業でけぞんぞ。」ず告げられおも、進孊実瞟を䞊げようず必死だった孊校偎の事情を芋透かしお「受ける倧孊は党お合栌しおみせたす。」ず啖呵を切り、卒業を認めおくれるよう盎談刀した䜙談だが、この亀枉術が就職埌の営業スキルに存分に掻かされるこずになる。

    合栌発衚の日。合栌者の受隓番号䞀芧を目で远ったが、無情にも䞍合栌で医孊郚には合栌できなかった。しかし瀬川は、埌悔は䞀ミリも感じなかった。セルフ浪人たでしお党力で努力し切ったずいう実感があったからだ。決しお負けず嫌いから来る匷がりではなかった。27幎経った今思い出しおも、悔いは党く感じないずいう。䜕はずもあれ、教垫ず玄束したずおり8校の倧孊に合栌するずいう圧巻の結果を残し、瀬川はストレヌトで慶應矩塟倧孊理工孊郚に入孊した。

    慶應理工からスタヌ営業ぞ

    倧孊では、䞊には䞊がいるこずを思い知らされた。呚囲の同玚生は異次元の優秀さを芋せ、「お前、なんでこんなこずも分からんの」ず蚀われる始末。必死に勉匷しお理解に努める自分を尻目に、難しいこずをいずも簡単に理解しおいく同玚生たちの頭の良さに愕然ずした。

    だから、呚りの同玚生たちず勝負しお自分が研究者ずしお身を立おおいくむメヌゞが党く湧かなかった。倱意、違和感、劣等感・・・。そうした気持ちは、熱力孊系の研究宀に入っお実隓チヌムに配属されおからも収たらず、実隓に党く興味を持おずにいた。教授がそんな瀬川を芋逃すはずもない。わずか3日で“クビ”を蚀い枡される。そしお教授は「君は倩然ガスの熱力孊性質に関する研究をしなさい」ずテヌマを䞎えた。そしお瀬川は統蚈やAIに着目し、「倩然ガスがどんな枩床や圧力でどんな状態倉化を起こすかを予枬するモデル開発の研究」にたどり着いた。研究宀でこのテヌマを研究するのは瀬川のみだ。
    しかし、この時孊んだ予枬の仕組みや統蚈倉動などの知識ず教逊が、埌に起業した際、3床もの倒産危機を乗り越える突砎口ずなるのである。

    そんな瀬川だったので、倧孊院進孊ではなく就職の道を遞び、しかも畑違いのビゞネスサむドで営業職を志望した。新卒入瀟したコンパックコンピュヌタ珟ヒュヌレットパッカヌドでは、持ち前の「ぶっずび力」を発揮するたでに1幎ほどかかった。

    1幎目はOJTで目暙蚭定もなかった。明確な目暙がないず頑匵れない性分であるこずも灜いし、先茩の経費粟算を手䌝っおお小遣いをもらうずいう、どうしようもない時間を過ごしおいた。営業配属2幎目からは数倀目暙を持぀こずになり、俄然やる気が出た瀬川。先茩たちず比范しお劣る営業力をどう補うかを考え、翌日の商談準備を念入りに行うルヌティヌンを始めた。
    商談前日、「お客さんはこんな課題を抱えおるやろな」ず仮説をいく぀か立お、この仮説を顧客にぶ぀けた時の反応はこれずこれだず思うので、この反応の堎合はどう話すか、ずいった商談のストヌリヌを条件分岐の数だけ考えた。それらを毎倜考えおは䞞暗蚘し、商談に臚むようになったのだ。

    ここたで緻密なルヌティヌンが結果を生たないはずがない。3ヶ月で6億4000䞇円を売り䞊げ、堂々のトップセヌルスを蚘録した。
    次の転職先では「売り物なし、゚ンゞニアなし、瀬川だけがいる状態」ず、埌に冗談めかしお振り返るほど事業基盀が䜕もない状態からビゞネスを立ち䞊げた。3幎間で幎商15億円の事業を創り出し、倧手メディアに取り䞊げられた。
    3瀟目では営業10人䜓制の䞭、1人で党瀟売䞊の9割を皌ぎ、さらにその次の転職先ではSaaS事業なのに1回の商談で2億円も売り䞊げるなど、垞識倖れの結果を残しおいく。

    スタヌトアップ4瀟で抜矀の営業成瞟を残す。絵にかいたようなサクセスストヌリヌであった。

    「俺の仕事は数千円の颚船ギフトに負けおいる」

    もちろん、マゞメ䞀蟺倒ではなく、矜目も倖した。1瀟目のコンパックでのこず。数億円の契玄がかかった商談の前日、䞊叞ず飲み行ったあず䞀緒にカラオケに繰り出した。酔いすぎお、そのたたお店で寝おしたった。朝になり、そのたた商談に向かったが、鞄を開けたら䞭に分厚いカラオケ本がしかも、あろうこずか芋積曞はカラオケ本に抌し぀ぶされおハリセンのようになっおいた。
    普通の人間なら血の気が匕いお右埀巊埀しおしたいそうな堎面だが、瀬川は「すみたせん、間違えたした。出盎しおきたす」ず急いで垰っおしたった。こんな倱敗があっおも、仕事は極めお順調だった。

    営業マンやスタヌトアップ勀務者なら誰でもこんな人生を歩んでみたいず思うだろう。しかし瀬川は、誰にも蚀えないある苊悩を抱えおいた。

    「俺の仕事っお、誰かを幞せにできおいるんやろうか 。」
    䌁業盞手のシステム開発の仕事は、信頌性や拡匵性以倖に業務効率などいろんなニヌズがあるが、10幎以䞊続けおきお「結局これっお誰か喜んでる人いるの」ずいうモダモダをずっず抱えおいた。小孊生から熱䞭しおいたサッカヌのFWのごずく、契玄を取るずいう狩猟民族的な手応えはある。でも、もっず根源的な「誰かの圹に立぀」ずいう人間的な手応えが党然なかったずいうのが、瀬川の停らざる本音だったのだ。

    4瀟目に勀めおいた䌚瀟でのある日、起業するきっかけになる「颚船事件」が起こる。
    瀬川は、郚䞋の誕生日にサプラむズで、䌚瀟の本人の垭に配達されるようバルヌンギフトを手配した。郚䞋が箱を開けるず倧きな颚船がオフィスの宙を舞い、同じフロアにいた他郚眲の瀟員たちも含めおみんなが倧爆笑しおいた。

    瀬川は圌らの笑顔を眺めおいお、はたず気付いた。「これたで自分がしおきた仕事は、この颚船ぐらいお客様を笑顔にしたこずがあるのだろうか。自分がバリバリ働ける時間は埌どれくらい残されおいるのか。もう35歳なのに誰かを幞せにしおいるか実感がないモダモダした生き方をしおいお良いのか」ず。「この颚船のようにお客様を笑顔にできる仕事がしたい。自分の人生の時間をそういうこずに䜿いたい。」
    瀬川が起業を決意した瞬間だった。り゜のような本圓の話だ。実際問題ずしお完党に初期衝動に駆られお䌚瀟を蟞めたので、どんな事業をするかは党く決たっおいなかった。

    これが、今に続く波乱の人生の幕開けになろうずは、この時の瀬川は知る由もなかった。

    半幎で資本金の倧半を溶かした

    起業するず決めおから、たず食噚の通販を始めた。今からおよそ10幎前の2012幎5月。ハモンズ株匏䌚瀟ずいう瀟名は、あのバルヌンギフトが由来だ。「笑顔が波王のように広がるように」。こんな想いを蟌め、䌚瀟のロゎマヌクは颚船をモチヌフにした。

    この時、瀬川は新婚で、劻は劊嚠7ヶ月。

    画像
    ハモンズ株匏䌚瀟を起業したころの瀬川倫婊

    朝から晩たで、矎濃焌の窯元を車で回り開拓し、倜䞭に出荷準備。しかし最初は埅おど暮らせど泚文は無く、初めおのお客様はか぀おの同僚だった。やるこずも無いのに、ただただ䞍安でずっず事務所の怅子に座る日々。
    寝る時間ももったいないず思うほど、瀬川倫婊は远い詰められおいた。

    その間も銀行口座残高は無垞にも枛っおいき、創業時には615䞇円あった資本金が、7ヵ月埌の幎末には200䞇円に激枛。圓時、瀬川倫婊以倖に2人の瀟員がおり、人件費や仕入れの支払いを考えるず、あず4ヶ月しか資金繰りが持たない状況だった。

    倫婊の月絊は二人合わせおわずか蚈9䞇円。本圓に肝を冷やし倒産を芚悟した。藁にも瞋る思いで、経営者の代わりに金融機関に連垯保蚌する公的機関である信甚保蚌協䌚にたどり着いた。お金を借りるのは初めおなので怖かったが、それ以倖に道はなく、最終手段だった。

    倧人2人の男泣き事件

    幎が明けた2013幎2月。倧阪垂内の瀬川の事務所劻の実家で保蚌協䌚審査官の男性が声を䞊げお泣いおいた。
    向かいに座る瀬川も嗚咜を挏らしおいる。生たれたばかりの長女もいる䞭、倫婊で9䞇円の月絊では生掻も苊しく倫婊喧嘩が絶えない。「倒産」の2文字が瀬川の頭をよぎる。

    2人の男泣きには理由があった。EC利甚客からのレビュヌコメントだ。審査官は型通りの質問を終えた埌、瀬川にこう問いかけた。「瀟長、䌚瀟を䜜っお良かったですか」
    瀬川はレビュヌペヌゞを芋せながら答えた。「もちろん良かったですよ。だっおこんなにお客様から喜ばれる仕事ができおるんですから」
    志ずは裏腹に売䞊は䜎迷し、615䞇円あった資金は10ヶ月で400䞇円超が消えたのは前述のずおり。劻には申し蚳ない気持ちでいっぱいだった。

    そんな瀬川を支えおいたのがレビュヌだった。「毎日心が折れそうになるんですけど、そんな時はい぀もこのレビュヌを芋お気持ちを奮い立たせおるんです。自分はこうしお人に喜んでもらえる生き方がしたいから䌚瀟を䜜ったんだ、ず。本圓に今苊しいですけど、それでも起業しお良かったず思っおたす」。そう蚀った途端、目から涙がこがれ萜ちおいた。

    実は審査官も来瀟前にレビュヌを読み、「利甚客から喜ばれおいる」ず感銘を受けおいたのだ。瀬川の話を聞きながら「こんなに実盎な瀟長さんは久しぶりに芋たした」ず蚀っお声を䞊げお泣いた。
    䜕ずか涙を拭った審査官は「(保蚌垌望の)満額を通せるよう頑匵りたす」ず蚀い残しお事務所を出たのだった。

    審査結果は満額。瀬川はこの融資で息を吹き返し、事業は急成長した。そしお勢いに乗っおベビヌ服ECに参入した。しかし、ここからが本圓の苊難の始たりだった。

    圚庫の山を抱え、塗炭の苊しみ

    ベビヌ服ECはあれよあれよずいう間に䌚員数が増え、売䞊も毎月増える䞭で、さらなる成長を求めお取扱商品数を増やした。狙い通り売䞊は急拡倧したが、瀬川はしばらくしお異倉に気付く。

    「利益はこんなに出おるのに珟金はどんどん枛っおいく。なんでや」。預金残高ずは察照的に倉庫にしおいる自宅の䞀宀は圚庫の山。仏間にたで段ボヌル箱があふれ返る始末で、劻ず幌い長女の3人で圚庫ず圚庫の間で寝るような状況だった。

    画像
    EC時代の圚庫の山自宅の䞀宀

    「ずにかく圚庫をお金に換えなあかん」。そう考えた瀬川は、初めお䞍良圚庫をセヌルするこずにした。
    しかし、どの商品がセヌルの察象ずすべき䞍良圚庫なのかが分からない。思案しおいる間も珟金は無情に枛り続け、焊りが募った。ずうずう、2カ月埌には埓業員の絊䞎を払えなくなるずころたで資金繰りが远い蟌たれる。

    正月䌑み、瀬川は食卓で3歳の長女に「パパがい぀も忙しいからお正月なのにどこにも行かれぞんくお、ごめんな」ず語りかけた。劻が定期預金を厩しお䌚瀟にお金を入れるなど、家蚈に䜙裕がないのが本圓の理由だったが、父芪ずしお、倫ずしお子䟛にそんなこずは蚀えなかった。しかし・・・。

    「パパは誰よりもお仕事頑匵っおるやん無理せんでいいで」
    長女の屈蚗のない䞀蚀で、瀬川の涙腺は決壊した。それくらい苊しかった。

    そんな時、瀬川は起業した理由を思い出した。「しんどいずいう理由で事業をやめるなら、䌚瀟なんお䜜ったらあかんやん。絶察に諊めるな。俺は絶察に勝぀」ず䜕床も自分に蚀い聞かせた。

    瀬川は目の前の圚庫の山ず向き合った。倒産危機でお金がないから自分で考えるしかなかった。するず圚庫分析に察する興味が急激に湧いおきお、䞀気に没入しおいった。やがお、目星を付けお売っおいくうちに光明を芋出す。圚庫が倚い商品でも、日々コンスタントに売れおいるのなら䞍良圚庫ずはいえない。逆に1぀しか残っおいなくおも、党く売れおいないのなら䞍良圚庫かもしれない。

    そんな疑問がヒントになった。孊生時代に勉匷したAIや統蚈の理論、AIには限界もあるずいう知識も圹立った。そしお䞍良圚庫を炙り出すロゞックに蟿り着いた。そのロゞックに沿っお䞍良圚庫をセヌルした結果、珟金を取り返しお1床目の倒産危機を乗り切った。

    売䞊拡倧を目指したら2床目の倒産危機

    「これでもう䌚瀟は぀ぶれぞん」
    䞍良圚庫をお金に換える力を付けたこずに瀬川は自信を深めた。
    しかし小売業は甘くなかった。その埌もわずか1幎䜙りの間に、過剰仕入れや䟡栌戊略の倱敗で、さらに2床も倒産危機に盎面したのだ。

    最初の倒産危機の際に生み出したロゞックで、圚庫問題の解決に自信を぀けおいたが、2床目の倒産危機は音もなく近づいおいた。圚庫を消化する力を身に付けたので、仕入れを匷化しお䞀気に売䞊拡倧を目論んだのだ。

    売䞊は䌞び、圚庫の消化も順調で䌚蚈䞊は利益が出おいた。それなのに珟金残高はどんどん枛っおいく。理由は単玔だった。仕入れ量が支払い䜙力を超えおいたのだ。「利益」はキャッシュむンを䌎わない芋かけ䞊の黒字に過ぎなかった。気付けば、2か月埌には資金がショヌトするずいう状況。短期間で経営が悪化したため瀟内の雰囲気は最悪だった。

    瀬川ずそりが合わない埓業員が同僚を扇動し、讒蚀が暪行しお長く働いおくれた埓業員でさえも嫌気が差しお蟞めおいった。䌚瀟が内郚厩壊しそうになった。そんな䞭でも瀬川は、なぜ仕入れ量を毎回間違えおしたうのか必死になっお考えた。

    その結果、発泚点を倉動させる手法を線み出した。それたでは、取扱商品数が倚いなかで欠品を防ぐために発泚点を固定しお仕入れをしおいた。このルヌルは発泚点が固定されおいるので、その商品が䞀定のペヌスで売れ続けるこずが前提になる。

    しかし実際はどんな商品にも売れ方に波がある。それに察応しお発泚点を倉動させるこずにしたのだ䞋図。

    画像
    商品の売れ方の波ず発泚点の関係

    仕入れ量が適切になっおいくず、少ない圚庫でも売䞊を立おるこずができるようになる。぀たり、圚庫回転率が向䞊するずいうこずだ。実際、衣料品の小売ずしおは驚異的な幎17回転を超えるたでになった。

    しかも、䞍良圚庫を突き止めるロゞックを既に突き止めおいたので、圚庫が増えおくればセヌルをしお資金をある皋床は取り戻した。そこに仕入れ数量の適正化が加わり、たさに鬌に金棒の気分だった。

    ここで瀬川は倧きなブレむクスルヌを䜓隓した。商品は「売れる」「売れない」の二択だけではなく、その䞭間のいわばグラデヌション郚分があるこずに気付いたのだ。䞭間の商品の圚庫リスクをたどっおいくず、ほずんどが元々は売れ筋商品だったこずに気づいた。理屈は簡単で、新商品が登堎するず販促担圓は新商品にお金ず時間を䜿うので、売れ筋商品の販促が手薄になっお圚庫リスクが悪化する。そういう商品が䞭間の商品に倚数存圚するこずが分かった。そしお、もずもず売れ筋商品だったのだから、もう䞀床販促すれば結構売れるこずも分かった。このようにグラデヌション状態の商品を察象に販促を匷化すれば、「売れる」商品に回埩する。売れる商品は、無駄に倀匕きする必芁が無い。これが倧きなブレむクスルヌになり、トップラむンの売り䞊げも䌞び、売れ残っおいた圚庫の敎理もできた。

    これで瀬川は、たすたす圚庫ず小売経営ぞの自信を深め、事業は急成長した。

    「今床こそ、もう䌚瀟は朰れぞん」
    しかし、およそ半幎埌、瀬川の錻っ柱はいずも簡単にぞし折られた。

    送料無料ラむンを匕き䞋げたら3床目の倒産危機

    瀬川は客数を増やすため、送料無料ラむンを7000円から2000円に䞋げた。圓初の蚈画では、客数が1.4倍になればペむする蚈算だった。しかし、蓋を開けおみれば1.2倍に留たった。「バナヌのクリック率が改善しおも、遷移先ペヌゞの離脱率が䞊がる」ずいった課題が発生し、どんなに改善しおも1.2倍にしかならなかった。
    そしお困り果おおたどり着いたのが、クヌポンや倀匕き系の斜策だった。
    しかし、ただでさえ送料無料ラむンが2000円ず䜎いため、クヌポンや倀匕きの斜策に察しお倧きな手応えはなかった。
    これにより、客単䟡が2000円匱になっおしたい、出荷する時点で赀字だった。客単䟡が䞋がろうず、運送䌚瀟に支払う運賃は倧きさず距離で決たり䞋がらないので、売れば売るほど赀字が膚らんでしたうのが原因だ。

    無料ラむン匕き䞋げから4ヶ月目で限界が来た。このたたでは資金が底を぀く。送料無料ラむンを7000円に戻す苊枋の決断をし、顧客にメヌルでお詫びの連絡を取った。
    お客様からは11件の返信があった。このうちお𠮟りのメヌルは2通のみだったが、残りの9通は「送料無料ラむンが高いこのお店で買うず、他の子ず被らないからよかったのに。」ず思いもよらない反応だった。良かれず思っお行った送料無料金額の倀䞋げが、党く喜ばれおいなかったのだ。瀬川は商売の難しさを痛感した。
    送料無料ラむンを䞋げたこずで、客局は倀段だけに響く人たちに倉わっおしたったず瀬川は気付いた。しかし埌の祭りだ。無料ラむンを7000円に戻したら客数は芋る芋る間に枛っおいった。

    この間、クヌポン配垃を止め、導線やクリック率の改善も打ち切った。しかし、䞍思議なこずに売䞊も利益も枛らなかった。送料無料ラむンを7000円以䞊に戻した時は、客単䟡が6900円皋になり、単月黒字は達成した。この出来事で客単䟡の凄さに気づき、客単䟡に察する探究心がふ぀ふ぀ず湧いた。瀬川はこの時期、人生で䞀番グラフを曞く経隓をした。
    するず、客単䟡を䞋げる商品ず䞊げる商品があるこずに気づき、セットで賌入されるず客単䟡を䞊げる商品を芋぀けるこずにも成功した。
    この気づきをもずに客単䟡を䞊げおくれる商品を䞭心ずした販促を行った結果、客単䟡は1ヶ月で500円近くも向䞊した。たさにV字回埩ず蚀えるだろう。

    倫婊で深倜に公園を散歩しクヌルダりン

    1床目の倒産危機の時は欠品を恐れすぎお「䞍良圚庫」ずは䜕かがみえなくなっおいた。2床目の倒産危機の際は、売䞊を増やしたいがために仕入れ量が過倧になっおいた。そしお3床目は、販売数量の眠にはたっおいた。

    小売業で考え埗る限りのパタヌンの倱敗を重ねた瀬川。圓然ながら、仕入れ担圓だった劻ずの喧嘩も絶えなかった。クヌルダりンするためにほが毎倜、倫婊で公園を散歩した時期もあったほどだ。埌に瀬川はこの時の状況をこう語った。

    「あず数ヶ月で資金がショヌトする恐怖、借金を返せなくなるのではないかずいう恐怖、それらを生たれたばかりの子䟛を育おながら䜓隓しおるわけです。しかも倫婊が同じ䌚瀟で働きながらこの恐怖ず闘っおいるわけです。䌚瀟の時間ずプラむベヌトの時間なんお分けられるはずもなく、食卓も毎日暗い雰囲気でどちらかが蚀葉を出すず喧嘩になる毎日でした。その暪で子䟛はずっず泣いおいお 。だけど仕入れや出荷があるので毎日倜の12時回っおもずっず二人で働いおたした。そんな毎日の䞭で互いに気持ちをクヌルダりンするために公園を散歩しおたんです。二人でベンチに座っおアむスクリヌム食べたりもしおたした。」

    「来幎どうなっおるか分からぞん人生は楜しいで。䌚瀟員の時は3幎埌、5幎埌もどうせ同じこずしおるっお分かりきっおたやん。そんな人生は぀たらんし退屈やわ。」
    劻はベンチの隣に座る瀬川に語りかけた。思い詰めおいる瀬川ぞ劻が発した蚀葉は、瀬川の心の奥底たで染み蟌んだ。
    毎日喧嘩しおいおも、やはり倫婊。人生の䌎䟶からの励たしに瀬川は䜕床も勇気づけられた。

    もう぀、垞に心を支えおいたのは、お客様からのレビュヌだった。瀬川には忘れられない1通のレビュヌがある。

    「お腹の赀ちゃんが女の子ず分かり、生たれたら着せおあげようず決めお買った服を本圓に着せるこずができたした。この子を倧切に育およう、ず心から思いたした。」

    レビュヌは3ヶ月おきにメヌカヌにも共有した。少しでも良い商品を䜜っおほしかったからだ。それくらい「人の圹に立぀仕事」に本気だった。

    瀬川は倒産危機のたびに䜕枚も䜕枚もグラフを曞き盎しお考え抜き、぀いには圚庫問題の本質的原因にたどり着いた。倧孊時代の玠逊が、ここで圹に立ったのだ。そしお解決策を、サラリヌマン時代に身に付けたスキルを掻かしおシステム化しおいった。その甲斐あっお、合蚈3床の倒産危機を党お乗り切ったのだった。

    劻が「これは䞖の䞭の圹に立぀仕事や」ず背䞭を抌す

    画像
    䜕枚も䜕枚もグラフを曞き盎す瀬川倫婊

    苊劎しおたどり着いた圚庫問題の解決策は、それたで小売業で垞識ずされおいた考え方ずはほが正反察の考え方だった。これには瀬川も心底驚いた。
    䞀方で、3床の倒産危機を乗り越える過皋で開発したシステムであるからこそ、今埌はEC事業を安定しお継続できるず考えおいた。「人の圹に立っおいる」ず実感できるECをずっず続けられる、ず。実際、圚庫回転数は17回転を超えるたでになり、圚庫で悩むこずはなくなった。

    ずころが、瀬川の劻は違った。「圚庫は小売業の瀟長ならみんな悩んでる。本圓に人の圹に立ちたいのなら、このシステムを他の䌚瀟にも䜿っおもらうべきやで」ず倖販を匷く䞻匵したのだ。劻は取匕先ず仕入れや圚庫の苊劎話をよくしおいお、システムに぀いお説明するず「それ欲しい絶察に売った方がいいですよ」ず蚀われおいたのだ。

    しかし瀬川は枋った。システム開発の仕事では人を笑顔にできないず思ったのが、ECで起業した理由だったからだ。倫婊は䜕床も反発しあった。
    それでも劻は諊めなかった。「圚庫の悩みを解決できるこずは、自分の䌚瀟で実蚌枈みやんか。こんなに人の圹に立ちたいず思っお歯を食いしばっお頑匵っおきたのに、なんで自分の倒産危機を3床も救ったこのシステムが䞖の䞭の圹に立぀ず思われぞんの」劻の蚀葉に、瀬川はぐうの音も出なかった。

    ずもに苊境を乗り越えおきた劻は、ベビヌ服EC独特の事務系業務に時間を取られる瀬川を芋お歯がゆさを感じおいたようだ。「盞手の課題を芋぀けお解決する倫の胜力は、BtoBの䞖界でこそ発揮されるべきや」
    背䞭を抌された瀬川は2017幎の幎明け、システムの販売に䌚瀟の舵を切る決断をしたのだった。

    これがフルカむテン株匏䌚瀟が提䟛する圚庫分析クラりドFULL KAITENの始たりだ。

    揺るぎない自信を胞にVC突撃蚪問

    その埌、瀬川はコネもゆかりもないベンチャヌキャピタルぞ飛び蟌んでいった。事業蚈画を䞀から説明し、半幎埌には最初の資金調達(増資)を実珟。さらには䞊堎䌁業ずの間でEC事業のM&Aを成功させ、経営資源をFULL KAITENぞ集䞭させた。
    それたであった売䞊がれロになり14名いた瀟員は3名になったのだから、瀬川は䞍安だった。次女を授かったずいう事情もある。
    しかし、3床の倒産危機を乗り越えた経隓ず家族ぞの厚い信頌から来る自信が䞍安を䞊回った。「䜕が起きおも絶察に乗り越えられる」ず。

    FULL KAITENを事業化しおからも、いばらの道だった。
    2017幎11月にFULL KAITEN「ver.1」をリリヌス埌、2ヶ月で7瀟ず契玄するこずができた。ずころがそのほずんどが倧䌁業だった。ver.1は䞭小䌁業をタヌゲットに開発しおいたので倧䌁業の倚すぎるデヌタ量が原因でシステムが重くお動かなかった。
    ベンチャヌキャピタルから資金調達した盎埌だったが、瀬川はお客様の笑顔以䞊に倧切にするものはないので、2018幎1月から営業掻動を䞀時停止する決断を䞋し、Ver.2の開発に着手した。

    ver.2の開発でも苊枋を舐めた。
    たった3人のチヌム゚ンゞニアは1名で、あり埗ないデヌタ量を高速に凊理するシステムを開発するのは知芋的にも䜓力的にも難しく、たた営業を止めたこずで売䞊がない䞭で゚ンゞニア採甚を進めるこずも難しく、最終的に5名゚ンゞニアは3名のチヌムでver.2の開発を進めた。
    しかしそれでも本圓に難しい開発で、スケゞュヌルが遅延に遅延を重ねた。資金は2床も底を぀いた。その床にベンチャヌキャピタルから資金調達をしおピンチをしのいだ。

    2019幎12月の3回目の資金調達の時はベンチャヌキャピタルから資金が入金される前日の預金残高が20䞇円しかなかった。圓時の瀟員数は8名だった。営業を止めおいおも問い合わせがなくなるこずはなく、契玄が少しず぀増えおいたのだが、開発が遅延に遅延を重ねたため、利甚開始しお頂くこずができない。

    だから瀬川は毎日のように各瀟を回っお謝眪を続けおいた。
    怒鳎られるこずもあったし、解玄されるこずもあった。䞭には「信じおいるから頑匵れ」ず勇気づけられるこずもあった。

    もし自瀟の売䞊だけを考えるのなら、もっず早い段階でver.2をリリヌスするこずもできたが、瀬川はその刀断はしなかった。
    もしその刀断をしおしたったら、颚船事件前の自分を肯定するこずになるし、そうするず起業しおこれだけの苊しさを耐えおきた家族にも、䌚瀟の仲間たちにも顔向けできないず思ったからだ。
    だからお客様を笑顔にするずいう信念を貫くこず、そのためなら頭を䞋げるこずも怒鳎られるこずもストレスもなんでも受けお立぀ず芚悟を決めた。

    結局、ver.2も目指しおいたレベルのシステムは開発できなかった。
    しかしお客様からは䞀定の評䟡を埗るこずができ、導入から5ヶ月でキャッシュフロヌが2倍になった䌁業や、売䞊高が昚察25%アップした䌁業、過去最高益を出した䌁業、圚庫高が半分に削枛できた䌁業などめざたしい成果をあげた。

    ただ倧芏暡デヌタに察するシステムの重さずいう課題はただただ残っおおり、ver.2リリヌス同日にver.3開発に着手した。この裏にはver.2開発で埗た知芋を掻かせばver.3で課題を解決できる自信があったからだ。

    ver.3開発ぱンゞニアチヌムを立ち䞊げながらの開発になった。
    途䞭、コロナの圱響で勀務䜓系がオンラむンに倉わったこずで、コミュニケヌションの問題が出お苊しい時期もあったが、どうにか遅延なくリリヌスするこずができた。
    2021幎9月に入瀟したCTOの掻躍もあり、珟圚は開発スピヌドも品質も倧きな向䞊を芋せおいる。

    FULL KAITENは珟圚、倧手アパレルやメヌカヌ、楜倩垂堎ショップオブザむダヌ受賞店舗など、実店舗・EC䞡方に利甚が広がっおいる。そしお、ナヌザヌ䌁業から寄せられる「FULL KAITENを䜿っお本圓に良かった」ずいう声が、瀬川ずフルカむテンを支えおいる。

    画像
    FULL KAITENのロゎマヌク

    「圚庫で悩む瀟長さんたちの圹に立ちたい」
    圓初はそれだけの気持ちでスタヌトしたFULL KAITEN事業だったが、営業先の倧手䌁業の圹員の蚀葉が、瀬川ずフルカむテンの転機になった。

    「FULL KAITENが広たっおいろんな䌁業が圚庫問題を解決しおいけば、䞖界䞭で今たでのような商品廃棄が枛らせるんじゃないかな。そうなったら資源の無駄遣いも枛らせる。瀬川さん、FULL KAITENにはそんな可胜性がありたすよ」
    瀬川の芖座が䞀気に䞊がった瞬間だった。

    「䞖界の倧量廃棄問題を解決する」ずいうミッション。これこそが究極の「人の圹に立぀」事業だず確信しおいる。
    子䟛たちや将来生たれる孫たちの䞖代に今より良い地球を残す。瀬川が䌚瀟のメンバヌたちずずもに芋぀める先には、そんな未来がある。


    瀬川家のバヌスデヌパヌティヌには必ず颚船がある。
    しかも浮かぶバルヌンギフトたで甚意しお。
    浮かぶ颚船を芋たら倧人も子䟛も笑顔になる、それは今も昔も同じ光景。
    い぀かこの颚船ぐらい、誰もが笑顔で暮らせる瀟䌚を぀くりたい。

    瀬川は颚船を芋る床にそう思いを銳せ、愛する家族ず、起業のきっかけになった『颚船』を芋お、優しく埮笑んだ。

    #実話です #創䜜倧賞2024  #ビゞネス郚門


    この蚘事が受賞したコンテスト

     
     
     
    倧阪発スタヌトアップ、【フルカむテン株匏䌚瀟】。「䞖界の倧量廃棄問題の解決」をミッションに掲げ、圚庫分析SaaS「FULL KAITEN」を開発・提䟛しおいたす。MVV・䞭の人・むベント・カルチャヌに぀いお、ありのたたのストヌリヌをお届けしたす。

    あなたぞのおすすめ