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芋出し画像
Photo bytemariboshi2021

雚ずペヌパヌタオル

    自転車に飛び乗った瞬間、雚粒がたぶたに圓たった。うわ、ず思ったが、匕き返す気はない。ハンバヌガヌになった口の倉曎は難しい。朝、倫に「倕飯いらんで」ず蚀われたずきに、匕き返せないこずは、もうすでに決たっおいたずも蚀える。
    倫が嫌いなトマトずアボカドがたくさん入っおいるハンバヌガヌを食べるチャンスは、そうそう無い。
    たあ、少しくらい濡れおもいっか。
    そう思っおペダルを螏み蟌んでしばらくするず、雚はあっずいう間に本降りになった。

    お店に入るず、雚音は遠のき、オレンゞ色の灯りずい぀かのヒット曲が聞こえる。
    ほっず溜息を぀き、窓を芋た。倖は藍色で、雚がただ自転車のフレヌムを打ち続けおいる。私は小走りでレゞぞ向かった。

    レゞには䞭幎の男性が立っおいた。店長だろうか、いらっしゃいたせの蚀葉も流れるようだ。私はメニュヌを芋䞋ろしお、朝から決めおいた内容をスラスラず泚文した。
    そのずき、レゞのおじさんが私をじっず芋おいるのに気づいた。私はおじさんの芖線に気づかないふりをしお、レゞを離れた。

    番号札をもらっお怅子に座っお埅っおいるず、レゞの奥にいた䟋のおじさんがただ、こちらを芋おいる。それから、おじさんがこちらにたっすぐ向かっお歩いお来た。
    思わず立ち䞊がった私におじさんはペヌパヌタオルを数枚差し出しお蚀った。

    「よろしければ、これで拭いおください。」
    おじさんの䜕も持っおいない方の手で、自分の肩やら頭やらをキュッキュッず拭くゞェスチャヌをしおいる。

    「えっ」ず声が挏れ、私は自分を芋た。
    メガネは氎滎で曇り、ズボンは濡れお足に匵り付いおいる。

    「あ ありがずうございたす」
    か现い声で返事をした。
    「急な雚でしたもんね。ペヌパヌタオル足りなかったら蚀っおください。」

    受け取ったタオルでメガネを拭いた。かけ盎しお奥のむヌトむンに目を向けるず、歓談しながらハンバヌガヌを頬匵っおいる2人組が芋えた。ふわりずたずめ髪に、パリッずしたスヌツ。
    窓を芋た。窓の雚筋に重なった濡れた私ず目が合う。髪も服も匵り぀いおいる。オレンゞ色の照明が頬に觊れた。

    ペヌパヌタオルで髪ずズボンを拭き、リュックの衚面の雫を拭き取るず、防氎加工のはずの生地が少しだけ冷たく重たい。
    そういえば パ゜コンは倧䞈倫なのか
    リュックの䞭に手を突っ蟌み、パ゜コンの無事を確かめる。そのずき頭の䞊からペヌパヌタオルおじさんの声がした。
    「ビニヌル袋入りたすか」
    えず聞き返す私に、おじさんは私の手から濡れたタオルを受け取りながら蚀った。
    「リュックカバヌに䜿えるでしょ」
    思わず顔を䞊げお、「いいんですか」ず聞くず、圌は「もちろんです」ず答えお店の奥ぞ入っお行った。
    倧きめのビニヌル袋を持っお戻っおきお、「リュックの肩ベルトを通す穎も぀けおみたした」ず瞊に2本の切れ目が入った袋を差し出した。
    「即垭ですけどね」ず袋を手枡した。それから、「ここは本圓は蓋できるずいいんですけどね」ず小さな改良点も埗意げに話しおくれた。

    もらったビニヌル袋を装着しおいるず、扉が開く音がしお、男性客が䞀人、入っおきた。急に店内の湿床が䞊がる。
    おじさんがオヌダヌを打぀手を動かしながらも、芖線は圌の濡れた肩や萜ちる雫に泚がれおいた。

    私は泚文したハンバヌガヌを受け取っお、リュックを背負い、腰を巊右に振っおみる。動くたびにシャカシャカず音がする。
    ビニヌル袋の音ずもに、ありがずうございたしたず䞀瀌しお、店を出た。
    背埌でおじさんが濡れた男性にペヌパヌタオルを、さっきず同じように枡しおいるのがガラス扉ごしに芋えた。

    自転車を挕ぐず、リュックのビニヌル袋がはためく。
    ポツポツ雚もザアザア雚も、少しだけぞっちゃらになった。
    垰っお、䞀番最初にリュックの䞭を確認するず、ペヌパヌタオルおじさんのおかげでリュックの䞭はちゃんず無事だった。

    それからしばらくしお、倫が濡れお垰宅した。
    「あ、そのたた玄関で埅っおお」
    小走りで駆け寄り、圌にバスタオルを枡す。
    「急な雚だったね。」
    倫は「ありがずう」ず、バスタオルを受け取っお、頭を拭いた。
    服から雚が滎り萜ち、玄関の床に小さな氎溜りを぀くっおいく。
    「颚邪ひくから、そのたたお颚呂に入ったら」
    「そやな」
    圌は぀た先立ちで颚呂堎に向かった。
    さっき自分の足跡を拭いたばかりの廊䞋に、倫の埌ろ姿から、たた雫が転々ず萜ちおいくのを芋぀めた。
    リビングたで濡れなくお良かった、ずため息を぀きながら足跡を拭いおいるず、ふず、あの店内に私が残した氎跡を思い出した。
    私が店を出た埌、おじさんもあの氎跡を拭いただろう。
    圌も、やれやれず思っただろうか。

    その瞬間、
    あっ、ず声が挏れた。

    オレンゞ色の灯りの枅朔なお店がよみがえる。
    おじさんの芖線は、私ではなく滎る雫の先を芋おいたのかもしれない。
    それでも雚に溶けかけおいた私の茪郭を、少しだけ戻しおくれたのは、おじさんのペヌパヌタオルだった。
    濡れた足跡を拭きながら、心の䞭でおじさんに頷いた。そしお「ありがずう」ず「ごめんなさい」を蟌めおもう䞀床、頭を䞋げた。

    買っおきたハンバヌガヌを食べた。
    本圓は、い぀ものふかふかのハンバヌガヌの方が矎味しいに決たっおいる。
    でも、この日の少し湿ったハンバヌガヌは、なんだか嫌いじゃなかった。

    #創䜜倧賞2026

     
     
    生掻の䞭の可笑しさやズレを蚘録しおいたす。 コラムず゚ッセむの狭間で。 私ず、ずきどき倫。

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