
【エッセイ】本屋で選べない(追記)
私は、少し気にしすぎる。
別に気が利くわけではないのだが。
今年度は本をたくさん読もう、と意気込んで本屋に来た。
けれど「何が良い本だろう」「何回も読み直すようないい本はあるかな」とか考え始めて、やる気が空回りしはじめる。
膨大な本の中から選ぶなんてことはできやしない。
きっとどれも面白いだろうけれど、何かを選ぶと何かは選べない。
そう考えると、何も進めなくなってしまう。
しかも、それ以上に周りの目が気になる。
この人この見た目で、こんな本を立ち読みしているのか笑、なんて思われていないだろうか。
結局、小説コーナーで本も取らずに、ぐるぐると廻っている。
そこに、片手に二、三冊の本を持ちながら、いそいそと本を探している人がいた。トートバッグを肘にかけた三十歳ぐらいの方だろうか。
どうやって探しているのか、ものすごく気になる。
自分の近くを通り過ぎ、パッとまた新しい本を手に取る。
そして、パラパラとめくって、片手にすっと収めた。
とっても聞きたい。
本って、どうやって探しているのですか?
最初から目星をつけて来ているのですか?
もしそうなら、その本を知ったきっかけとかって……?
──けれど、話しかける勇気はない。
話しかけて変な奴だなと思われるのが怖い。
あと、漫画みたいに同じ本を取ろうとして手が重なるような、運命を期待している人だと思われても困るし……。
まあ、その人は男性だったが。
そのまま本屋をあとにし、少し歩いて帰った。
P.S.
後日、軽く呑んだ帰りに本屋へ寄った。
気になっている本やデザインに惹かれた本を、迷いなくすっと手に取れる。
ここに人の目は一切ないことに気づいた。
酒を軽く呑んでから本屋へ行くと人目が気にならず買い物ができるという、最低なライフハックを習得しました。
(もちろんお店の迷惑はかけないようにしてます)