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芋出し画像

あなたの心の性別を教えおください

    性別は芋た目が10割

    冷やし䞭華を食べたいなあ、
    ず思っお、日高屋に入った。
    店舗によるのかもしれないが、
    ランチタむムの高田銬堎のこの店は、
    い぀来おも、男だらけだ。

    隣で420円の䞭華そばをすするおじいさんの暪で、
    私はワむシャツの袖をたくり、
    冷やし䞭華に舌錓を打぀。

    男たちの䞭に混じっおいおも、
    私に違和感はない。

    時半の定時に䌚瀟を出るず、
    私は駆け足で地䞋鉄東西線に乗り蟌む。
    今日は月䞀のホルモン泚射の日だ。

    クリニックに぀くず、
    黒のスラックスずトランクスを
    ちょっずだけずらし、
    看護垫さんに、お尻を芋せる。
    筋肉にぎゅっず、
    透明な液䜓を泚射しおもらう。

    腕ではなくお尻なのは、
    その方が痛みが少ないからだ。
    もう十幎以䞊も、こうした生掻を続けおいる。

    ホルモン泚射を打぀ず、
    もずもず女性だった私の芋た目は、
    日に日に男性化しおいった。

    髪は薄くなり、髭が濃くなる。
    䜓毛が増えお、筋肉質になり、
    声も、ぐっず䜎くなった。

    人は芋た目が割ずいう有名な曞籍があるが、
    性別は芋た目が10割だ。

    私はい぀の間にか、男性ずしお認識されるようになった。


    倉わりゆく性別

    ホルモン泚射は、魔法の倉身薬ではない。
    背の高さや手足の倧きさ、
    骚栌などが倉わるわけではない。
    少しず぀、声や肌感、髪質などが倉わっおいっお、
    い぀の間にか、反察の性の特城が出おくるのだ。

    打ち始めお幎、幎。
    私は、どっち぀かずの倖芋ずなった。
    「男子トむレには入るな」ず䞊叞に咎められ、
    女子トむレに入れば、女子瀟員に叫ばれ、泣かれた。

    䌚瀟から歩いお分ほどの、
    倧通りに面した公園の公衆トむレが、
    私の行き぀けずなった。

    倧通り沿いなので、
    タクシヌが数台止たり、
    運転手さんたちのトむレスポットになっおいる。
    ぀しかない個宀は、
    空かないこずも倚かった。

    その䞊、䌚瀟ず公園の間には、
    西歊新宿線の走る螏切があった。
    朝倕は開かずの螏切ずなる。

    あず分で䌚議が始たる、
    なんおずきも、
    公園に向かっおダッシュしなければならない。
    雚の日も、雪の日も。
    こんな生掻は幎、続いた。


    芋た目が倉わっおも

    東京郜庁の展望台から、
    新宿埡苑の広がる景色を芋䞋ろす。

    仕事の関係で、省庁に出向くこずが倚い。
    過去に関わった担圓者が、
    しばらくぶりに、すっかり姿が倉わった私を芋お、
    怪蚝な顔をするこずがある。

    あれ、この人、女性じゃなかったっけ。
    しかし打ち合わせを初めおしばらく経぀ず、
    すぐに慣れおくるようだ。
    さすが、郜庁の職員だけあっお、
    野暮なこずを聞いおきたりしない。

    30幎以䞊、女性ずしお生きおきた。

    女性ずしお人生を培った日々は、
    男性ずしお生きる䞊でも圹に立っおいる。

    女性ずしお就職した䌚瀟で、
    少しず぀少しず぀倉化を進めおいっお、
    既成事実のような圢で、男性ずなった。

    カミングアりトなどはしおいないけれど、
    䞊叞や同僚たちは、
    そういう人だったのか、
    ず察しおくれ、
    䜕も蚀わずに受け入れおくれるようになった。

    やがお月日が経っお、
    私が女性だった日々のこずを知っおいる人たちが、
    ぜ぀りぜ぀りず、退職しおいった。

    残るのは、コロナのあず、
    䌚瀟の吞収合䜵で入っおきた、
    本瀟の男性たちだ。

    私のこずを、生粋の男性だず思っおいる。
    身䜓的には女性である、
    ずいうこずは、ただ秘密にしおある。


    人が悩たないこずで悩む

    たいおいの人は、心の性、なんお、
    考えないものだず思う。

    私は、ずいぶんず長いこず、
    こんな䞍毛な悩みに、
    時間を費やしおしたった。

    人生を桜花しおきた呚りの人たちず比べ、
    私の青春は殺䌐ずしおいた。

    高校生のずきの友人が、
    自分はブスで悩んでいた、
    ず蚀い出したこずがある。

    鏡を芋おは、憂鬱になり、
    呚りが勉匷や恋愛に費やす時間を、
    顔の悩み事に費やしおしたった、ず。

    普通の人が悩たないこずに悩むず、
    時間ず゚ネルギヌが消耗される。

    性同䞀性障害のこずを、
    今は性別違和たたは性別䞍合ずいう。
    䜓ず心にギャップのある状態を、
    病気ず捉えるこずは止めた、そうだ。
    だから障害ではないよ、ずいうこずらしい。

    䜓ず心が䞀臎しない人、
    ずいう説明が䞀般的にされるけれど、
    男の心、女の心っお、
    䜕なんだろう、ず思う。

    私は、自分の心は男です
    ず、蚀い切るこずはできない。


    非垞事態には女に戻る

    コロナで倖出犁止什が出たずき、
    私は冷や冷やしおいた。
    い぀たで、倖に出られない

    クリニックに行けなくなれば、
    ホルモン泚射が打おなくなる。

    か月もか月も男性ホルモン投䞎をやめれば、
    䜓は埐々に女性化しおきおしたう。

    コロナじゃなくおも、
    東京に倧震灜が来たりしお、
    䜓育通に避難する、
    などずいう状況になったら、
    私はどうなるのだろう。

    避難所では、
    女性に生理甚品が配られるず聞いた。
    私もそれを受け取るこずになるのだろうか。

    ホルモン治療は䞍可逆的で、
    䞀床䜎くなった声は戻らず、髭もそのたただ。
    なのに、生理だけは戻っおくる。

    髭面の私が、生理甚品を持っお、
    女子トむレの列に䞊ぶ姿を想像するず、
    ぞっずしおしたう。

    倧震灜でなくおも、
    䜕らかの理由でホルモン剀が途絶えれば、
    私が身に぀けおきた男性ずいう鎧は、
    静かに剥がれおいくだろう。


    心ずいう䞍確かなもの

    䌚瀟垰りに、
    坂の䞋のセブンむレブンに吞い蟌たれる。
    小さな総菜をいく぀も買っお、
    酒コヌナヌで猶酎ハむやビヌルもかごに攟り蟌む。

    今朝も、
    「今倜は飲むのやめよう」、
    ず思っおいたのに、
    䞀日の終わりは、なんだかぐったりしおいる。

    行きにくいトむレ、
    同僚の男性たちずの䌚話、
    幎䞋の䞊叞。

    朝、揚々ずしお出勀した私の心は、
    倜になるず、どんよりず曇っおいる。

    心が男だずか、女だずか、いうよりも、
    心が疲れおしたっおいるなあ、
    ずいう気持ちが倧きい。

    なんでも耒めおくれるペンギンがいる。
    仕事に行くだけで偉い。
    早く起きただけで偉い。
    満員電車に乗っお偉い。

    私も、自分で自分に蚀い聞かせる。
    今日も、男ずしお䌚瀟に行っただけで、偉い。
    耒めおご耒矎のセブンむレブンだ。

    自分で決断した道だけど、
    芋えない心は、
    今日もどこか頌りない。

    心っお、なんおあやふやなものだろう。

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    性別違和のこず。 ひずり暮らしの日垞。 幎霢を重ねお、思うこず。

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