
運転がへたくそで彼女が泣いた
彼女と旅行に行くとき、車を運転する場合は私が運転するのだが、大体半年ぶりくらいの運転になるのに大抵かなりの長距離を運転することが多い。
私も不慣れなので東京の入り組んだ道をスムーズに運転できるわけでもなく、時々もたつくことがある。
大型トラックが転回するのを待っていたら右折できず、かなり歩行者が多い横断歩道に立ち往生し、後進したら後ろの車にぶつかりそうになったり、行く先が一方通行なのに右折しようとして中断して元の進路に戻ろうとしたときに後ろの車の進路を邪魔してしまいクラクションを鳴らされてしまったり、散々だった。
その間困り果てている私を横目に彼女は一言もしゃべっていなかった。
気にせずに、運転が落ち着いてきたのでふと隣を見ると、なぜか泣いている。
「どうしたの。」
「なにもできない自分が不甲斐なくて。」
純粋な人だ、と感心しようとしたが。
じゃあなぜあのとき、何も言ってくれなかったのよ。
ただ、運転できない彼女は、余計な口出しで私を混乱させまいと気を使ってくれたのかもしれない。
それでも、その涙は、私のためじゃなく、自分のためのものだった。
悲劇のヒロインぶらないでほしい、とも思ってしまう。
そう思ってしまう私もいかがなものか。