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網膜に焼き付いた5時半

    鳥の声で目が覚める。

    布団から手を伸ばしスマホを見る。まだ5時。アラームじゃなかった。昨日は12時に寝たのに。

    耳を澄まさずとも聞こえる鳥の声。腹は立たない不思議な心地よいリズムだ。どうせ電線にでも乗っているのだろう。

    この鳥はどこから来て、なんのために鳴いているのか、大きさは、色は、仲間は、家族は。
    布団から体を起こすのは億劫で、いつもの日常を始めず、逃げるように思考する。

    想像だけを膨らませていると、スマホからのアラーム。もう5時半。重い体を無理やり起こし、カーテンを開けると目の前に鳥。
    目を擦る手が止まった。あんなに考えを巡らせていた相手が、まさかベランダにいるとは。想像より小さめの鳩だった。首元の鈍く光る、緑とも紫ともつかない不思議な色が網膜に焼き付く。

    でも、鳥も驚いたのかすぐ飛び立ってしまった。
    主を失い、ただの鉄の塊に戻った室外機がベランダに残される。
    鳥にも「早く起こしてごめん」くらいの配慮があればいいのに、なんて勝手なことを考えながら、主のいなくなった場所を見つめた。

    止めたはずのスヌーズが、また現実を催促するように鳴り出した。

    #創作大賞2026
    #エッセイ部門

     
     
    みなさんのためになればと思い生きています。

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