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その15

    ふみは涙を拭い立ち上がり車に戻るとお昼ご飯食べようとシオンに言った
    ロイヤルホスト行く?と言いながらゆっくり車を走らせた、それが家に帰る方向では無い事はシオンもわかっている様子で家に帰って食べたいと返事をする

    今日は作りたくないたら美味しいもの食べよう、前を見たままのふみは決意を持った声ではっきりと返事した
    シオンは仕方がないというような顔でいいよという

    すっかり涙も影を潜めた何事もなかったかのような穏やかな表情でふみはロイヤルホストの駐車場に入っていった
    店内に入り好きなもの食べよう!と注文を済ませる

    ふみの心が読めたら、声を発して慰められたら、抱きしめられたら、どうして私には何も出来ないんだろう
    ふみは私の存在さえ知らない
    何とかして思い直してくれ無いだろうか
    誰でもいいからふみを抱きしめてあげて欲しい

    以前、今の状況を唯一打ち明けた友人だと思っていた女性は実はふみの状況に付け込んで何とか一儲けしてやろうという魂胆があったようでふみを焚き付けあれやこれやと入れ知恵を企てた
    今の仕事を続けながら借り入れをして企業したらどうだ、自分も雇ってくれれば協力するとかヒロシを訴えて慰謝料をもらおう
    と一生懸命説得してたんだがふみは首を縦には振らなかった
    信じた自分も悪い、仕事とシオンのこと、メイのことで精一杯で自分でマンションのこと調べもしないで任せっぱなしだったから、10年一緒にいてそんなことする人だとは思いもしなかったから言われるがままにしてしまった自分が悪いんだと言った
    その後、その女性はふみとの連絡を絶った

    ふみは誰にも今の状況を打ち明けることなく一人で抱えていた
    パパには連絡を取ろうと思えばとれるがふみはしなかった
    意地でも助けを求めるつもりはないようだ

    食事を終え家に帰るふみとシオン
    ふみは自室に入り何か考え事をしている
    夜になりシオンをドライブに行こうと誘うが断られる
    行きたいところがあるとふみが食い下がりシオンは仕方がなく車に乗り込む二人とも一言もしゃべらない
    一時間ほど走り真っ暗な海についた、海辺までは距離があるが砂浜まで車が入れるところで車を止めた
    ねぇシオンとふみが言葉を発すると間髪入れずシオンは緊張した声で帰ろうという
    沈黙が続き
    どれだけの時間が過ぎたのだろう
    真っ暗で波の音しか聞こえない
    昼間は観光地でにぎわっているが夜は人気もなく車道もほとんど車が通らない
    うめき声のようにふみが泣き出した
    絞り出すように一言、帰ろうと言って車をUターンさせた
    来た道を戻り家に着いたのは深夜12時を回っていた

    次の日、ほとんど眠っていないふみは早朝から何かを片付けている
    今度は何を始めたんだ、とふみを探すとクローゼットや引き出しを片っ端から開けて何かを袋に入れている

    それらはヒロシからのプレゼントや旅行先の思い出の物だった
    どんどん袋にいれてマンションの一角にあるごみ収集所へ運んでいく、10年も一緒にいればそれなりな数になるのは想像できるがそこまでやるのか?という勢いで捨てていく
    貰ったバックだけでなく旅行で着た服、一緒に選んだアクセサリー、出先で買ったぬいぐるみも
    どうやらヒロシを連想させるものをすべて捨てるつもりらしい

    その勢いでヒロシが使っていた食器や収納棚も処分した
    シオンはふみの勢いに驚きながらも協力していた
    死なれるよりはいいと思ったのだろう、私も同感だ
    ふみは何かを振り切ったように動き週明け弁護士に連絡をいれ債務整理したいと告げた

    弁護士事務所を訪れ手続きを済ませ 何とか40万支払った
    弁護士の話では事情もあるから滞りなく手続きは進むだろうと
    ただ、コロナ禍で活動制限などで状況が読めない部分があるがもう返済に追われることは無いから安心して少し休んでとやつれたふみに優しく声をかけていた

    ふみは弁護士に引っ越しをしたいんだけどと相談し許可を経て予算内でシオンの学校の近くへと移った、そこはみんなで暮らしたところよりかなり手狭であったがふみは相当量の荷物を処分していたので収納はだいぶ余っていた

    この時シオンは高校生になっていた
    この数年後、シオンはボソッとあの時のあ母さん怖かったといっていた
    そう思うのは当然だと思う、今でこそ穏やかな表情になったがあの頃は毎日気迫の迫った表情をしていた

    申請から1年過ぎたあたりで債務整理が成立した
    ふみは看護師としての仕事のみで穏やかに暮らしている

    実は債務整理するにあたり車のローンが60万残っていたのだがそれに関しては車がないと生活ができない地域なので苦渋の決断としてふみはパパに連絡をした
    事情を話し60万貸してもらった
    少し前に心臓の手術を受けたらしく一回り小さくなったパパに申し訳ないと泣きながらふみはお金を受け取っていた
    パパは毎月少しずつ返せと言いとシオンへお寿司のお土産を持たせてふみを見送った

    世の中にはもっとすごい金額の借金を自力で返して生活している人もいるが中には心折れて生きる気力がなくなってしまう人も中にはいる
    ふみも危なかった
    弁護士にふみが語った言葉はこうだった
    あんな奴の為に死のうとしたり必死になって働いてお金稼いでローンを返していくのがばかばかしくなった
    債務整理して信用を失っても自分の人生とシオンとの時間まで失うわけではないことに気づいたし、これ以上あいつに心囚われ続けたくないからと笑顔で言った
    死にたい、死んでしまえとか呪いたくなる気持ちを持って過ごしても幸せにはなれないからこれで忘れたいと続けた

    ふみは人を疑わない所がある
    簡単に人を信じてしまうのだ
    人がいいというか優しいというかこれまで書いていない所でも人に裏切られることが何度となくあったがふみは自分を責めてもその人を責めることはしなかった

    シオンとふたりでやっと平和に暮らしていけるかと思っていたがシオンの病気が日々進行していた

    その16へ続く
    #創作大賞2026 #オールカテゴリ部門

     
     

    あや

     
     
    自分が何がしたいのか見失っていた。カウンセリングをする立場の人間がこれではいけないと自分の殻に閉じこもっていたが一念発起!今できることをしてみようと投稿を始めました。SNSもこれから始めます。 写真や画像、NOTEの仕組みを勉強しながらの投稿になるので何卒お願いします

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