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Photo bypasteltime

思い通りにならない世界で暮らしを整える

    冷蔵庫を買いに出かけたら
    知らない電車に乗っていた。

    ・・・・・・


    週末
    冷蔵庫の調子が悪いので
    夫と電気屋さんへ。

    いろいろ見て
    気に入ったものに決定。

    椅子に座り
    お会計を待つあいだ…

    「お話いいですか?」

    携帯電話会社の方から
    声をかけられる。

    ネット回線の話とか
    料金プランの話とか。

    わたしはそういう話は
    よく分からず苦手なので
    夫にすべてを任せ座っていた。

    店内の眩しさ、賑やかさを
    なるべく遠ざけようと目を瞑り

    子どもがお留守番しているから
    「早く帰りたい」と切に願いながら。

    やたらと話が長い店員さん。

    ようやく終わるかな?と思ったころ
    「たしかに、その方がお得ですね」
    と、納得の夫。

    ネット回線の工事をして
    携帯電話会社を乗り換えて
    機種まで新しくすることに。

    夫ではなく、
    わたしのスマホが。

    ???

    なんで?

    冷蔵庫を買いに来ただけなのに
    なんで、新しいスマホになるの?

    騙されているんじゃない?
    データの移行や手続きは?
    心の準備も何もないのに?

    こういう急な展開に
    めっぽう弱い。

    やだ、帰りたい。

    気づいたときには
    知らない電車に乗せられていて
    もう発車しているかのような

    取り返しのつかない不安な気持ち。

    ・・・

    帰りの車で
    あろうことか、わたしはボロボロと泣いた。

    賢明な判断と分かりつつ、
    自分の意志とは無関係に
    知らない電車に乗せられた
    怒り、悲しみ、恐怖 。

    それと同時に
    知らない電車から降りて
    やっと家に帰れる安心感。

    いっぺんに押し寄せてきた感情が
    涙となって溢れて止まらない。

    運転席で困惑する夫に気持ちを伝え
    「もう、大丈夫だから」と
    やさしく諭されながら帰途についた。

    ・・・・・・

    「分からないこと」が怖く
    「変化」に弱い。

    学生のころの進級とか
    入院とか 引っ越しとか。

    そういうときはいつも
    緊張と不安で
    胃が痛くなる。

    だから、日々の生活は
    なるべく穏やかに過ごしたい。

    家のなかを
    きれいに整えたり
    掃除をしたりするのは

    わたしにとって
    「きれい好き」だけの理由ではない。

    思いどおりにならない世界
    分からないことだらけの世界

    そんな広い世界に生きていると
    つらいし、不安で落ち着かない。

    戦争も、経済も、子どもの人間関係も
    自分の力ではどうすることもできない。

    唯一、わたしの
    思いどおりにできる場所
    すべてを把握できる場所

    それが「家」

    わたしの小さな世界を
    自分の手で整えていく。

    そうすると、
    安心して心が落ち着いてくる。

    だから
    毎日、毎日
    暮らしを整える。

    鏡を磨き、床を拭く。

    子どものおもちゃを片付け
    庭の草花を小さな瓶に飾る。


    ささやかなことだけど
    わたしを支えてくれる
    大切なこと。


    そうやって、
    今日も安心の電車に乗車する。



     
     

    asako

     
     
    日々のこと、考えたことを掬い上げたモノたち。心地よさを大切にnoteと付き合っています。 note記事を集めたエッセイ『専業主婦のわたしにできること』(kindleにて発売中)

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